研究開発マネジメントの研究
人材や組織に関心あり
技術開発の戦略的資源である技術人材を活性化させ,より効果的に活用することは技術系企業における重要な課題の1つです.私は技術人材を活性化するための効果的なミドルマネジメント方法に関心をもって研究してきました.組織の活性診断手法,および4つの活性化アプローチからなる技術人材の活性化マネジメント方法を提案し,日本の大手自動車会社の開発部門に適用しその効果を分析してきました.
活性診断を様々な組織で行っています
活性化診断手法はサービス企業にも適用し組織活性度の評価にも用い,現場の経営管理者に納得性の高い組織内評価情報を提供しました.現在,中核的考え方を書籍として分担執筆中です.
試行錯誤のマネジメント
最近では,活性度の実際的な効果としての創造的成果との関連性を分析しています.科学技術人材の試行錯誤という,技術イノベーションにとって不可欠な行為に着目し,これまでブラックボックスであった「難局面での研究開発行動」を開発成果に応じてパターン化することに成功しています.この研究はADLの濱崎氏,某企業研究所の板谷氏と議論をしながら進めています.技術組織論の重要なテーマです.
これから
これまでの研究で,組織の活性化,個人の生産的な試行錯誤行動,それぞれについて発見事項が得られていますが,それらをつなぐ「組織の活性化が個人行動へどのように影響するか」という問いはまだ十分に研究できていません.企業への大規模調査や実験室での認知実験を含め様々なアプローチから分析することで,この問いについて答えていく必要があると考えています.
技術経営の研究は価値のあるイノベーションを実現するために,サービス研究と一体となって研究を進めていく必要があると考えています.現在,技術経営の国際会議PICMETを2014年に日本・金沢に招致する活動に関わっていますが,そこでは「インフラとサービスの統合」という統一テーマを設定しています.
また試行錯誤行為は,サービスの文脈では(突発的な顧客の要求に柔軟に迅速に対応できる)サービスの即興性に向けた議論にもつながるかもしれません.これはサービス・アートの研究として国際的に研究が始まったばかりです.技術経営研究の知識を活かしてこうしたサービス領域の課題にも幅を広げることを目指します.