学内進学のアレコレ
学内進学試験の時期
JAISTの入学時期は4月と10月の2回なので,学内進学試験もこのタイミングに合わせて行われます。
JAISTでは,修了できる時期が年4回(6月,9月,12月,3月)となっていますが,学内進学試験が実施されるのは9月修了と3月修了のときのみなので,学内進学試験を受けるためには修了時期を9月または3月に合わせる必要があります。
それ以外の時期に修了した場合,進学試験は一般入試を受験することになります。このようなケースだと,入学までの期間が空白になってしまうため,内部進学を希望する人のほとんどが9月修了または3月修了に合わせて修了するといった感じです。
学内進学の要件
学内進学(博士課程への内部進学)の最も基本となる要件は,受け入れ先の教員が受け入れを許可していることです(入試の願書には受け入れ先の教員のサインが必要です)。
そのため,自分で勝手に願書を出して進学試験を受験するといったことはできないことになっています。願書を出す前に必ず受け入れ先の先生と進学についての相談をしておきましょう。
また,研究室によっては内部進学について独自のルールを設けている場合があります(例えば,私がいる研究室では「学振申請書(DC1)の提出」が内部進学を認める条件として課されています) 。
もしそのような研究室独自のルールが設けられている場合,条件をクリアできないと願書に先生のサインがもらえないと思うので,内部進学について独自のルールがないかを早めに先生に確認しておくことが重要です(できれば研究室訪問時,遅くとも展開配属決定時には必ず確認しましょう)。
学内進学試験の内容
学内進学試験は,修論審査と進学後の研究計画発表の2部構成になっていて,これらをまとめて学内進学試験としています(実際には,前半を修論審査,後半を入試と呼んでいる場合が多い)。
学内進学試験では修論審査が進学試験の一部として扱われるため,修論審査期間中に実施されます。そのため,進学試験は他の学生の修論審査と同じプログラム中に組み込まれることになります。
出願時には,これまでの研究内容として修論の内容を4p以内,進学後の研究計画を2p以内にまとめた書類をそれぞれ作成し,願書など入試に関する事務書類と一緒に提出します。
※学内進学者用の書類と一般入試受験者用の書類は異なっているのでご注意ください。学内進学者用の書類はこちらで入手可能です(JAIST公式ページ(学内専用))。
試験時間は,修論審査(25分:発表15分,質疑応答10分)と入試(20分:発表10分,質疑応答10分)で合計45分となっています。
修論審査については,他の学生の修論審査と全く同じ形式で行われます(他の学生も聞くことができる,評価方法も同じ)。詳しくは修論審査のページ。
入試は修論審査が終わった直後に続けて実施されますが,入試は完全非公開で行われます。そのため,修論審査が終わると同時に修論審査を聴講していた人は退出するよう指示されます。
入試では進学後の研究計画について発表することになりますが,完全密室である以外はほぼ修論審査と雰囲気は変わらない感じです(質問は若干厳しめな気はしましたが)。
入試の試験官は,修士の申請学位と進学希望研究室の学系が一致している場合,修論審査に当たった3人の先生方+主指導教員が引き続き担当します(例えば,修士は知識科学の学位を申請していて,進学後も引き続き知識科学系研究室に所属するといった場合です)。
しかし,修士の申請学位と進学希望研究室の学系が異なる場合は,試験システムもそれに合わせて変わってきます。
例えば,進学後に情報系研究室から知識系研究室に変わる場合や知識系研究室に所属しながら修士は情報科学の学位を申請している場合がこれにあたります。
修士の申請学位と進学希望研究室の学系が異なる場合,修論審査は申請学位と一致する学系に所属する教員2名以上を含む3名+主指導教員による審査となりますが,入試の方は進学希望研究室がおかれている学系の教員が試験官を担当することになるようです。
このような試験システムのため,申請学位と研究室の学系が異なる場合は修論審査に引き続いての入試は難しいので,修論審査と入試の試験日時はおそらく違うと思われます。詳しいことは試験前によく確認しておきましょう。
合否の通知と合否基準
学内進学試験の合否は試験の当日中にはわかりません。
修論審査の結果に関しては,審査直後に審査員の先生方による話し合いで決定されるため,当日中に主指導教員の先生から教えてもらえます。
しかし,入試の評価については試験官(審査員)の先生方が個別に付けることになっていて,試験終了後すぐに入試係の事務員さんが回収していってしまうため,主指導教員の先生すら合否はわからないようになっています(なんとなくは勘でわかるらしいですが)。
学内進学試験の合否は後日改めて知らされることになります。合否通知は基本的には事務の入試係で手渡しされます(メールで取りに来いと通知が来る)。よく言われる「分厚かったら合格の封筒」が事務員さんと自分の目の前で渡されるので,何とも言えない気分になりますね…。
学内進学試験に合格するには少なくとも修論審査をB以上で合格することが必要とのことです。修論審査が事実上の足切りということです。
入試の評価については基準等全くわかりませんが,修論審査会の出来に結構相関しそうな印象です。つまり,修論審査の出来が良ければ,入試もおそらく大丈夫だろうという感じです。
なので,学内進学試験を受験する人はとにかく修論の完成度を高めて修論審査と入試に臨んでください。
博士課程向けの奨学金制度
博士後期課程の人は現行の制度が続く限り学費がかかりません(ただし標準年限内に限る)。
というのも,JAISTには博士後期課程の希望者全員に対して学費相当分の給付金を大学が出してくれるUA(University Assistant)という雇用型奨学制度があるので,お金がなくて進学を断念しようと考えている人には朗報だと思います。詳しくはUAの紹介ページ。
ほかにもJST次世代研究員(学内)や学振特別研究員(学外)といった月額20万円+研究費がもらえる大きめの支援制度もあります。
これらは,申請書を書くのが大変ですが,採択されると経済的にはとりあえず安定するのではないでしょうか(ただしUAやDRFとの併用は不可)。
特に,学振特別研究員は全国区で競争相手がいる制度で,採択率は20%と非常に低いですが,学振特別研究員に採択されるとお金がもらえるだけでなく,研究者としての大きな経歴の一つになるので,春頃は多くのM2学生や博士課程学生が申請書を書くのに心身を削っています。
学振特別研究員DC1の申請書は,M2の5月末ごろに締め切りが来ます。学振申請書は,簡単にはかなりできあがった研究計画書を書かされるので,進学希望M2学生が学振DC1に申請するには,M1の3月末に提出する研究計画書の段階でかなり内容が固められている必要があります(ここで固まっていないと申請はかなり厳しい)。
JAISTは展開配属されるのが他の大学院より遅いため,研究のスタートもそれに合わせて遅れています。そのため,全国区に競争相手がいる学振の申請で若干不利になっているのは事実だと思います。ですので,それらを意識して有意義なM1の期間を過ごしてください。