JAIST生活Tips

JAISTでの研究活動


主テーマ研究

JAISTで修士号を取得するには,修士論文研究・課題研究・博士研究計画調査という3種類の方法があります。
ほとんどの学生は修士論文研究によって修士号を取得します。修士研究では新規性の有無が評価の上で重視されます。
課題研究では,特定の課題についてのレビューが中心となる感じでしょうか(やってる人が少ないので詳しくはわかりません)。課題研究は修士論文研究ほどの負荷がない(?,先生方の間でよく議論が湧くらしい)ということなのか,課題研究選択者は修論研究選択者より多くの単位を講義を受講することによって修得しなければいけません。
博士研究計画調査は,博士後期課程に進学を希望する人しか選択することができません。5年一貫教育の一環ということだと思いますが,詳しくはよくわからないです。
課題研究や博士研究計画調査を選択している人はそこまでいないように思います。指導教員の先生に指示されるということもあるようですが,基本的にはみんな修論研究をやる感じです。


テーマの設定

知識系の研究室では,テーマはかなり自由でバラエティに富んでいる印象です。 中には先輩の研究を引き継ぐとか,先生に振られたテーマをやる場合もあると思いますが,多くの場合で指導教員の先生が学生がやりたいことを尊重してテーマを設定してくださるように思います。
研究室ごとに大テーマはあるでしょうけど,研究を進めるのはほかでもない自分なので,まずは自分のやりたいことを包み隠さず指導教員の先生に話してみることを強くお勧めします!
やりたいテーマを持ち込めば,それをどのように研究として落としていくかを一緒に考えてくれます。 やってはいけないのは,先生に忖度したり,先生の顔色を窺ってテーマを決めてしまうことです。 先生が喜ぶ,あるいは指導しやすいであろうテーマではなく,自分がリラックスして取り組めるようなテーマを設定することが大事です。
例えば,自分のプライベートで困っている問題,なぜか異常に興味を持った現象,マイナーな技術のいいところをもっと世間に知ってもらいたいなどから始めたりします。自分にはこういう認知特性があってそれを何とかしたいとか,なんでそうなるのかを知りたいなどは認知系の研究室ではよくある話です。
繰り返しますが,大事なのは忖度せずに自分の興味ややりたいことを指導教員の先生とよく話し合うことです。


研究計画書

M1にとって最大の難関は研究計画書(Research Proposal: RP)の提出です。修了予定の1年前に提出が完了していないと最終審査が受けられません。4月入学の人が2年間で修士課程を修了するためには,3月末日が提出期限となります(提出できないと卒延が確定する)。
研究計画書の提出には条件があり,所定の単位数を修得していること,副テーマ指導教員が決定していることなどがあります。これを頭の片隅に置きながら計画的に講義を履修しましょう。
また,研究計画書には主指導教員,副指導教員,副テーマ指導教員のハンコ(または承認メール)が必要なので,計画書ができたら各先生方にアポを取って内容を確認してもらうことになります。ギリギリだと先生方が忙しくて見てもらえない可能性がある(先生方は自分の研究室の学生+副指導/副テーマの学生の計画書を見ないといけない)ので早めに提出しましょう。

知識科学系の場合は,12月の半ばに研究計画書の事前提出(仮提出)をするという制度があります。本提出の前に副指導教員の先生に研究計画書を見てもらい,アドバイスをもらって本提出の計画書をブラッシュアップすることを目的としています。
ここで提出しなくても直接修了には影響しませんが,事前提出を直近の目標にすることで研究が進む人も多いです(それを狙った制度でもある)。なので,事前提出で一旦計画書という形にすることは大事だと思います。


中間発表

標準年限(2年)で修士課程を修了する予定の人には,修了の半年前に中間発表がやってきます。具体的には,4月入学の人の場合,M2の9月に中間発表会があります。
中間発表会では,それまでの研究の進捗を発表し,先生方からさまざまなコメントをもらうことができます。あくまでも発表会であって,審査ではないので出来が悪かったからといって留年が決まるとかはありません。

発表会の形式は年度によって異なりますが,全学の中間発表はポスター発表形式になります。(※コロナ禍の現在は,オンラインで持ち時間30分の口頭発表形式になっています)
全学の中間発表では,学生1人に対して2名の先生が割り振られ,発表時点での進捗に対してコメントをつけてくれます。
また,発表会はかなりオープンな感じで行われるため,他の学生や他学系の先生方,インダストリアルアドバイザーと呼ばれる学外の方(他研究機関や企業にお勤めの方)も見に来る場合があります。

知識科学系では,全学中間発表だけでなく独自の中間発表会も行われます(※現在は,全学中間発表のみになっています)
全学中間発表はポスター発表なのですが,知識系独自の中間発表は口頭発表形式で行われます。
こちらは学生1人に対して知識科学系の先生方が3人割り振られます。発表者一人当たりの持ち時間は,発表と質疑応答合わせて20分です。
知識科学系の中間発表会ですが,知識科学系の研究室に所属しながら情報の学位を目指す人も申し出れば発表することができますし,先生によっては強めに参加を促されると思います。

中間発表では,発表時間<質疑応答となっていて,かなり時間をかけて現在の研究内容を見てもらうことができます。
発表するという経験を積むためにも中間発表会には参加しておいた方がよいです。ここで発表しておかないと,場合によってはいきなり最終審査で発表になりかねないです。 学生それぞれで進捗は違うと思うので,中間発表では今できているところまでを一生懸命発表すればよいと思います。いまからがんばってやりまーす!の体で発表する人もいますし(私です)。
また,中間発表会は学内の人であれば自由に見ることができるので,M1のうちからいくつか見ておいて早めの心構えをしておくのも大事です。


修士論文の執筆と提出

研究の成果は修士論文としてまとめます。どんな感じのものか知りたい場合は,JAISTリポジトリで管理されているので参考にするとよいです。
修士論文を書くにあたっては,指定のテンプレを利用して書きます。フォーマットが指定のものでないと書類等が受理されない可能性が高いので十分気を付ける必要があります。
3月修了の場合,修士論文の提出は2月のはじめに締め切りがやってきます。現在JAISTでは修士論文は電子ファイルでの提出となっていて,製本等はしなくてもよいことになっています。

また,学位論文の提出に先駆けて学位申請書の提出期限がやってきます。これを提出しないと審査が受けられないので必ず提出してください。提出しないと卒延が確定します(9月修了の場合は,学位申請書の提出締め切りが通常より早いので注意です)。
学位申請書を提出するためには条件があり,副テーマ研究も含めた審査を受けるために必要な単位数をすべて満たしていないと受理されないことになっています。学位申請書を提出したのに後で事務から単位不足を指摘されて絶望するということのないように(私の周りにも数人いました),修得単位数は適宜学務システムでチェックしておくことが大切です(学務システムは足りない単位数を教えてくれる親切仕様になってます)。それでもどうしても不安になってしまうという人は,教務係に行けば教えてくれるので聞きに行きましょう(ここで足りないと言われてももはやどうしようもないわけですが…)。
ちなみに,在学中の最終学期(例えばM2の2の2期)でギリギリ単位を拾えば何とかなると思う人もいるかもしれませんが,最終学期の単位認定は学位申請までに間に合いません。必要単位は早めにそろえておきましょう。


修論審査会

修論審査では持ち時間25分でこれまでの研究の成果を口頭発表します。時間の割り当ては,発表>質疑応答です。
審査にあたる先生は3人です。審査する先生は申請した学位によって異なります。知識科学で学位申請した場合は,知識科学系の先生方が審査に当たります。知識科学系の研究室に所属しつつ情報科学で学位を申請した場合は,情報科学系の先生を2人以上含む3人の先生によって審査されます。
審査結果は審査会直後に指導教員の先生から直接伝えられます。発表者は発表を終えてそのまま研究室に戻ることになるのですが(この間に評価が決められる),先生が研究室に帰ってくるまでの間はソワソワしながら合否結果を待つことになります。みんなそうです。
修論審査の評価は,合格A,B,C,不合格Dの4段階で付けられることになります。これは修論審査の評価であって,科学技術研究論文という科目の評価ではありません。科目の評価は修論審査の結果や日頃の取り組みなどを総合的に判断して100点満点で別につけられます(成績表に載るのはこれ)。
よく「修論審査で落ちることはありますか?」と聞かれますが,答えはYESです。残念ながら落ちる人は少数ながらいます。実際に落ちた人の発表を目撃したことはないですが,知人が何人か落ちたらしいことを後から知りました。
研究進捗がイマイチのときは,自主的に留年を決めるか,ダメ元で審査を受けてみるか,難しいところではありますね。先生によってはGOサインを出してくれない場合もあるので,そうなると残ってやらざるを得ないのでがんばりましょう。
中間発表会と同様,修論審査会も他の学生が自由に見ることができるので,M1のうちに先輩の発表を見て心の準備をしておくとよいです。
ちなみに,ほとんどの人がスーツで審査に臨みます。私服の人は稀ですね。

学内進学をする人は,ほとんどの場合で修論審査の後に続けて入試を受験することになります。なので,修論審査と入試の両方の準備を審査会の日までに終わらせなければいけないので大変です。
学内進学試験に関しては学内進学のページで詳しく説明しています。


副テーマ研究

JAISTには主テーマ研究(修士研究/博士研究)の他に副テーマ研究が必修単位になっています
副テーマ研究では主指導教員とは別の先生と一緒に別の研究プロジェクトを進め,最終レポートを提出することで単位認定となります。研究の進め方や指導の仕方は先生ごとに異なるのでよい勉強になります。
※副テーマの単位はインターンシップに行って修得することもできます。

副テーマは個人副テーマ研究またはグループ副テーマ研究のどちらかの方法を選択します。

博士前期課程においては,個人もしくは学生起案型グループ副テーマを選択した場合,標準的には3~4か月かけてじっくりやることになります。
個人副テーマでは学生と先生が1対1で取り組み,学生起案型グループ副テーマでは自主的に集まった学生グループに対して先生1人が指導します。
自分がやりたいこと(修論研究に関係するテーマや全く異なるテーマでもOK)をやったり,講義の延長だったり,課題を振ってもらったりとテーマはさまざまです。
また,副テーマは学外の先生にメンターをお願いすることもできます。その場合は,学外の教員にメンターをお願いするだけではなく,学内の教員に副テーマの代理教員をお願いする必要があります(副テーマの成績等の管理や学内書類の承認をお願いすることになります)。学外の先生にお願いする場合は別の書類手続きが少し必要なので,代理教員や教務係によく確認するようにしてください。

一方で,教員提案型グループ副テーマの場合,研究テーマはあらかじめ決められたテーマの中から興味のあるものを選択する形になります。また,日程がほぼ固定で短期集中で終わらせる感じです。
早く終わらせたい人は教員提案型グループ副テーマを選ぶ傾向にある気がします。
ただ,教員提案型グループ副テーマは応募者多数の場合にメンバー選考があるので, 選考に漏れた場合,個人副テーマでやらざるを得なくなるという面もあります。

最終レポートはグループ副テーマであっても,学生ごとに提出を求められます。きちんと取り組んでいないとレポート内容で貢献度が丸わかりです。さぼらずに取り組みましょう。


(C) MIYAMOTO Maki 2022-