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研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。多糖膜が超らせん構造によって湿度変化に瞬間応答 -ナノスケールから再組織化-
多糖膜が超らせん構造によって湿度変化に瞬間応答
-ナノスケールから再組織化-
PRポイント
- ナノメートルスケールから階層的に再組織化されたマイクロファイバー
- 湿度変化に瞬間応答して曲がる天然高分子のフィルム
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北陸先端科学技術大学院大学(学長・寺野稔、石川県能美市)の先端科学技術研究科、環境・エネルギー領域の、博士後期課程大学院生ブッドプッド クリサラ、桶葭 興資准教授、岡島麻衣子研究員、金子 達雄教授らは、シアノバクテリア由来の多糖サクランを用いて、水中で自ら形成するマイクロファイバーが乾燥時に2次元蛇行構造、3次元らせん構造など高秩序化することを見出した。さらにこの構造を利用して、水蒸気をミリ秒レベルで瞬間感知して屈曲運動を示すフィルムの作製に成功した。天然由来の代表物質でもある多糖をナノメートルスケールから再組織化材料としたこととしても意義深い。光合成産物の多糖を先端材料化する試みは、持続可能な社会の構築に重要である。
多糖は分子認識や水分保持など、乾燥環境下で重要な役割を果たす。しかし、天然から抽出された多糖が潜在的に持つ自己組織化を活用することはこれまで困難であった。特に、セルロースナノファイバーなど分子構造を制御した透明素材などはできても、外界変化への応答材料には利用されてこなかった。一方で、我々の研究グループはこれまでに、シアノバクテリア由来の多糖サクランに関する研究を進め、超高分子量の物性やレアメタル回収能など様々な特性を持つ多糖であることを明らかにしてきた。本研究では、1)分子・ナノメートルスケールからマイクロファイバー形成の階層化、2)界面移動による秩序立った変形、3)その多糖膜の水蒸気駆動の運動について報告した。 用いた多糖サクランのユニークな特徴として、直径約1 µm、長さ 800 µm以上と他には類を見ない大きなマイクロファイバーを水中で自己集合的に形成する。今回、これが乾燥界面の移動によって蛇行構造やらせん構造に変形することを解明した。乾燥した多糖フィルムの内部では、このねじれた構造がバネ様運動を引き起こす。このメカニズムを利用して、水滴が接近した際、瞬時に屈曲する運動素子の開発に成功した(図)。 本成果は、科学雑誌「Small」誌に6/9(米国時間)オンライン版で公開された。なお、本研究は文部科学省科研費はじめ、旭硝子財団、積水化学工業、澁谷工業の支援のもと行われた。 |
<背景と経緯>
天然高分子など生体組織が水と共生して高効率なエネルギー変換を達成している事実に鑑みれば、持続可能な社会への移行に向けて学ぶべき構造と機能である。例えば、ソフトでウエットな高分子ハイドロゲルは人工軟骨や細胞足場など医用材料をはじめ、生体機能の超越が有望視されている。同時に、刺激応答性高分子を用いたケモメカニカルゲルや湿度応答する合成高分子フィルムなど、しなやかに運動するアクチュエータの研究も注目されてきた。これに対し、天然物質の多糖を再組織化させて先端材料とする研究は発展途上にある。
我々はこれまでに、シアノバクテリア由来の多糖サクランに関する研究を進め、超高分子量、レアメタル回収能など様々な特性を持つ天然高分子であることを明らかにしてきた。さらに直近の研究では、サクラン繊維が水中から乾燥される際に、空気と水の界面にならび一軸配向膜を形成することも見出している。
<今回の成果>
1.多糖サクランのマイクロファイバーの微細構造(図1)
用いた多糖サクランは、直径約1 µm、長さ 800 µm以上と他には類を見ない大きなマイクロファイバーを水中で自己集合的に形成する。このマイクロファイバーを電子顕微鏡で観察すると、直径約50 nmのナノファイバーが束となり、ねじれた構造をとっていることが分かった。これは、人工的に形を作ったわけではなく、多糖が潜在的に持つ自己集合によるものである。他の多糖やDNAやタンパク質の自己集合体と比較しても、驚異的に大きなサイズである。
2.乾燥界面の移動によってファイバーがしなやかに蛇行・らせんを描いて変形(図2)
今回、これが乾燥界面の移動によって蛇行構造やらせん構造に変形することを解明した。界面移動がゆっくりの場合、マイクロファイバーが一軸配向構造、もしくは蛇行構造を形成する。一方、界面移動が早い場合、3次元的な超らせん構造を形成する。1本のマイクロファイバーが蛇行構造をとった後に超らせん構造をとることから、界面がマイクロファイバーの変形に強く寄与していると考えられる。
3.多糖膜の水滴接近に伴う瞬間応答(図3)
乾燥した多糖膜の内部では、このねじれた構造がバネ様運動を引き起こす。このメカニズムを利用して、水滴が接近した際、瞬時に屈曲する運動素子の開発に成功した。時空間解析から、水滴が接近/離隔した際、曲った状態とフラットな状態を可逆的にミリ秒レベルで屈曲運動を示すことが分かる。このような瞬間応答は、湿度変化を膜中のねじれた構造が瞬時に水和/脱水和を大きな変化に増幅したためと考えられる。
<今後の展開>
天然多糖を再組織化することで、水蒸気駆動型の運動素子をはじめ、光、熱など外界からのエネルギーを変換するマテリアルの構築が期待される。多糖ファイバーに機能性分子を導入しておくことで、湿度だけでなく、光や温度の外部環境変化に応答するソフトアクチュエーターである。本研究の成果は、天然由来の代表物質でもある多糖をナノメートルスケールから再組織化材料としたこととしても意義深い。光合成産物の多糖を先端材料化する試みは、持続可能な社会に非常に重要である。
![]() マイクロファイバーはナノファイバーが束になってねじれた状態。 |
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C 図2. 乾燥界面の移動によってまっすぐなファイバーが蛇行構造やらせん構造に変形A. 蛇行構造をとったマイクロファイバー。B. 界面移動による高次構造化。C. 1本のマイクロファイバーが蛇行構造やらせん構造をとった様子の顕微鏡画像。 |
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| 図3. 多糖膜の水滴接近に伴う瞬間応答 A. 多糖フィルムに水滴を接近させた際に示す屈曲運動と時空間解析。水滴が接近した際、ミリ秒レベルで屈曲運動を示す。 B. 屈曲変形の概念図。乾燥した多糖フィルムの内部にあるファイバーのねじれた構造がバネ様運動を引き起こし、高速な屈曲変形を示す。 |
【用語説明】(Wikipedia より)
※1自己組織化:
物質や個体が、系全体を俯瞰する能力を持たないのにも関わらず、個々の自律的な振る舞いの結果として、秩序を持つ大きな構造を作り出す現象のことである。自発的秩序形成とも言う。
※2シアノバクテリア:
ラン藻細菌のこと。光合成によって酸素と多糖を生み出す。
※3多糖:
グリコシド結合によって単糖分子が多数重合した物質の総称である。デンプンなどのように構成単位となる単糖とは異なる性質を示すようになる。広義としては、単糖に対し、複数個(2分子以上)の単糖が結合した糖も含むこともある。
※4サクラン:
硫酸化多糖の一つで、シアノバクテリア日本固有種のスイゼンジノリ (学名:Aphanothece sacrum) から抽出され、重量平均分子量は2.0 x 107g/mol とみつもられている。
※5界面:
ある均一な液体や固体の相が他の均一な相と接している境界のことである。
【論文情報】
| 掲載誌 | Small (WILEY) |
| Vapor-sensitive materials from polysaccharide fibers with self-assembling twisted microstructures | |
| 著者 | Kulisara Budpud, Kosuke Okeyoshi, Maiko K. Okajima, Tatsuo Kaneko DOI: 10.1002/smll.202001993 |
| 掲載日 | 2020年6月9日(米国時間)にオンライン掲載 |
令和2年6月11日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2020/06/11-1.html学生の中野さんが2019年度日本化学会北陸地区講演会と研究発表会において優秀ポスター賞を受賞
学生の中野 雅元さん(博士前期課程2年、生命機能工学領域、藤本研究室)が2019年度日本化学会北陸地区講演会と研究発表会において優秀ポスター賞を受賞しました。
今回、2019年度日本化学会北陸地区講演会と研究発表会は、11月29日に石川県金沢市において開催されました。
■受賞年月日
令和元年11月29日
■発表者名
中野雅元、Siddhant Sethi、本田望、中村重孝、藤本健造
■発表題目
標的シトシンの周辺環境が光化学的C to U変換に及ぼす影響
■研究概要
本研究では、DNA鎖中でのシトシンをピンポイントでウラシルに変換する際の周辺塩基の影響を評価した。従来、光化学的にシトシンをウラシルへの変換する際には90°Cの加熱を必要としており、遺伝子疾患の治療法としての細胞内応用は困難であった。そこで、変換部位周辺の塩基を変化させた際の変換効率を調べ、極性が非常に重要であることを見出した。さらに、リン酸の付与により細胞内に適応可能な条件でのシトシンからウラシルへの変換を見出した。以上の成果は今後のウラシルからシトシンへの変異に基づく遺伝子疾患の治療法として期待される。
■受賞にあたっての一言
この度は、2019年度日本化学会北陸地区講演会と研究発表会に起きまして、このような章を頂けたことを大変光栄に思います。本研究の遂行にあたり、日頃よりご指導いただいている藤本健造教授にこの場をお借りして心より御礼申し上げます。さらに、多くのご助言やディスカッションに乗って頂いた藤本研究室の皆様に深く感謝いたします。

令和元年12月20日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2019/12/20-1.html生命機能工学領域の塚原教授の人為的なRNA編集技術に関する研究がライフサイエンス専門誌日経バイオテクONLINEにおいて紹介
生命機能工学領域の塚原 俊文教授の人為的なRNA編集技術に関する研究がライフサイエンス専門誌日経バイオテクONLINEにおいて紹介されました。
■掲載誌
日経バイオテクONLINE
*有料会員制のサイトのため、一部情報のみ無料でご覧いただけます。
■概要
遺伝子疾患の治療法としてゲノム編集技術が注目されているが、現状では全ての標的細胞で目的のDNA編集を引き起こすことはできないため、意図しない遺伝子変異を誘導する危険性がある。そのため、塚原研究室では一過的な分子であるRNAの編集技術の研究に取り組んでいる。今回は、RNAの塩基を配列特異的に脱アミノ化し、遺伝コードを修復する技術について概要を紹介した。
なお、11月21日(木)には本研究に関するセミナーの開催も予定しています。詳細は、こちらをご覧ください。
令和元年10月23日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2019/10/23-1.html物質化学領域の都准教授らの論文がNanoscale Advances誌の表紙に採択
物質化学領域の都 英次郎准教授、YU, Yue特任助教(物質化学領域、都研究室)、YANG, Xi研究員(同領域、同研究室)らの論文がNanoscale Advances誌の表紙に採択されました。なお、本研究成果は日本学術振興会科学研究費補助金[基盤研究A、基盤研究B、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)]の支援のもと、株式会社ダイセルと行われた共同研究によるものです。
■掲載誌
Nanoscale Advances
■著者
Yue Yu, Xi Yang, Ming Liu, Masahiro Nishikawa, Takahiro Tei, Eijiro Miyako
■論文タイトル
Anticancer drug delivery to cancer cells using alkyl amine-functionalized nanodiamond supraparticles
■論文概要
ナノスケールの薬物担持体はドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用が期待されている。本研究では、アルキルアミンを表面化学修飾したナノダイヤモンド(直径約5 nmの球状粒子)が自己組織化現象によりナノ集合体に変形することを見出した。また、形成されるナノ集合体の粒子径は、導入するアルキルアミンの鎖長を変えることで、およそ20 nmから90 nmの範囲内で容易に調整できることがわかった。一方、当該ナノダイヤモンド集合体に抗ガン剤(カンプトテシン)を封入し、薬物担持体としての機能を調査したところ、ポリエチレングリコールを修飾したポリマーミセルやリン脂質系のナノエマルジョンといった従来からDDSに良く利用されているナノキャリアと比較して、より効果的な抗がん活性を示すことが細胞やマウスを用いた実験より明らかとなった。
本研究成果により、がん医療に向けたナノダイヤモンド集合体を活用する機能性ナノメディシンの実現が期待される。
論文詳細はこちら

令和元年9月12日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2019/09/12-1.html蛍光タンパク質フォトルミネッセンスの電気制御に成功
蛍光タンパク質フォトルミネッセンスの電気制御に成功
ポイント
- 蛍光タンパク質とは下村脩らが発見したGFP及びその類縁分子の総称で、大きさおよそ4ナノメートル、基礎医学・生物学研究に広く利用されている。今回、金属と水溶液の界面に蛍光タンパク質を配置し、そのフォトルミネッセンス(蛍光)を電気制御することに世界で初めて成功した。
- この原理をもとに、蛍光タンパク質を用いた微小ディスプレイの作成と動作にも成功した。
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北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)(学長・浅野哲夫、石川県能美市)の先端科学技術研究科のTRISHA, Farha Diba(博士後期課程学生)、濱宏丞(博士前期課程学生・研究当時)、生命機能工学領域の今康身依子研究員、平塚祐一准教授、筒井秀和准教授らの研究グループは、蛍光タンパク質のフォトルミネッセンス(蛍光)を電気的に制御する手法を世界で初めて確立し、この原理を用いた微小ディスプレイの作成と動作に成功した。
蛍光タンパク質とは、下村脩らによりオワンクラゲから最初に発見された緑色蛍光タンパク質(GFP)及びその類縁分子の総称で、大きさおよそ4ナノメートル、成熟の過程で自身の3つのアミノ酸が化学変化を起こし明るい蛍光発色団へと変化する。生体内の細胞や分子を追跡したり、局所環境センサーを作ったりすることが可能になり、GFPの発見は2008年のノーベル化学賞の対象になった。蛍光タンパク質は多様な光学特性を示すことでも知られ、例えば、フォトスイッチングという現象を使うと、蛍光顕微鏡の空間解像度を格段に良くすることができ、その技術も2014年のノーベル化学賞の対象に選ばれた。 研究グループは、金薄膜に蛍光タンパク質を固定化し、±1~1.5V程度の電圧を溶液・金属膜間に印加することによりフォトルミネッセンスが最大1000倍以上のコントラスト比で変調される現象を発見した。またこの原理に基づいた、大きさ約0.5ミリのセグメントディスプレイの試作と動作に成功した(下図)。 本成果は、5月8日(水)に「Applied Physics Express (アプライド・フィジックス・エクスプレス)」誌に掲載された。 なお、本研究は、国立研究開発法人理化学研究所・光量子工学研究センターとの共同研究であり、また、科学研究費補助金、光科学技術振興財団、中部電気利用基礎研究支援財団などの支援を受けて行われた。 |

<今後の展開>
基礎医学・生物学研究で広く使われている蛍光タンパク質の性質は、溶液や細胞内環境において詳しく調べられてきた。今回、金属―溶液の界面という環境において、新たな一面を示すことが明らかになった。現状での表示装置としての性能は既存技術に比べれば動作速度や安定性の点で及ばないものの、今後、電気制御メカニズムの詳細が明らかになれば、蛍光タンパク質の利用は、分子センサー素子など、従来の分野を超えてより多様な広がりをみせる可能性がある。
<論文情報>
"Electric-field control of fluorescence protein emissions at the metal-solution interface"
(金属・溶液界面における蛍光タンパク質発光の電圧制御)
https://iopscience.iop.org/article/10.7567/1882-0786/ab1ff6
T. D. Farha, K. Hama, M. Imayasu, Y. Hiratsuka, A. Miyawaki and H. Tsutsui
Applied Physics Express (2019)
令和元年5月16日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2019/05/16-1.html修了生の高橋さんが公益財団法人井上科学振興財団の第35回井上研究奨励賞を受賞
修了生の高橋 麻里さん(平成30年3月博士後期課程修了、物質化学領域・前之園研究室)が公益財団法人井上科学振興財団の第35回井上研究奨励賞を受賞しました。
井上研究奨励賞は、理学、医学、薬学、工学、農学等の分野で過去3年の間に博士の学位を取得した37歳未満の研究者で、優れた博士論文を提出した若手研究者に対し、公益財団法人井上科学振興財団より贈呈される名誉ある賞です。
第35回井上研究奨励賞においては、全国の大学から推薦された140名の優れた候補者の中から、厳正なる選考の結果40名に贈呈されます。贈呈式は2019年2月4日、東京都内にて開催される予定です。
■受賞年月日
平成30年12月6日
■博士論文題目
細胞小器官の高選択的磁気分離技術構築に向けた磁性-プラズモンハイブリッドナノ粒子の創製とオートファゴソームの単離への応用に関する研究
平成30年12月7日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2018/12/07-1.html学生のYUAN, Xidaさんが平成30年度北陸地区高分子若手研究会にて優秀ポスター賞を受賞
学生のYUAN, Xidaさん(博士前期課程2年、物質化学領域、松村研究室)が平成30年度北陸地区高分子若手研究会にて優秀ポスター賞を受賞しました。
高分子学会北陸支部では、高分子科学を基軸として研究を展開する若手の交流と、更なる研究の活性化を目的として、毎年若手研究会を開催しています。高分子科学と他の研究分野を融合することによる新規材料の研究・開発に従事し、活躍している研究者の講演および、学生を中心としたポスター発表や交流会が行われます。このうち、ポスターセッションでは、優れた発表を行った学生へポスター賞が授与されます。
■受賞年月日
平成30年11月16日
■論文タイトル
「過ヨウ素酸塩酸化セルロースの分解に関する研究」
■論文概要
過ヨウ素酸により酸化させたセルロースのアミノ酸との反応による分解過程を詳細に調べた研究であり、細胞足場材料やドラッグデリバリー材料への応用が期待される。
■受賞にあたって一言
高分子学会北陸支部若手研究会におきましてポスター優秀賞を頂きまして、大変光栄に思います。学会に参加することで、自分の研究を見直し、たくさんの考え方に出会うことが研究者としての喜びだと感じました。特にご指導頂きました松村先生及び支援して頂いた松村研のメンバーに深く御礼申し上げます。今後も謹んで研究し続けたいと考えております。

平成30年11月27日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2018/11/27-1.html学生の高橋さんがIUMRS-ICAM 2017 国際会議において2件の奨励賞を受賞
学生の高橋麻里さん(博士後期課程3年、物質化学領域・前之園研究室)がIUMRS-ICAM 2017 国際会議において2件の奨励賞を受賞しました。
IUMRS(International Union of Materials Research Society)は、学術的材料研究の振興を共通の関心とする学術団体から構成される国際機関で、毎年各国で材料科学に関する国際会議を開催しています。IUMRS-ICAM(International Conference on Advanced Materials)2017は、日本MRSの主催で2017年8月31日~9月1日の期間、京都大学吉田キャンパスにて開催され、4分野30シンポジウムに総勢1908名が参加しました。
奨励賞(Award for Encouragement of Research)は、優れた講演を行った若い研究者に贈られる賞であり、各々のシンポジウムで厳正なる審査が行われ、上位約10%の発表者しか受賞できない栄誉ある賞です。
■受賞年月日
平成29年10月17日
■タイトル
(1)シンポジウム: A-4 (Magnetic oxide thin films and hetero-structures)
Transition from Linear to Oscillatory Behavior of Exchange Bias Revealed with Progression of Surface Oxidation of Ag@FeCo@Ag Core@Shell@Shell Nanoparticles
著者:M. Takahashi, P. Mohan, D. M. Mott, and S. Maenosono
(2)B-7 (Nano-biotechnology on Interfaces)
Imaging and Isolation of Autophagosomes using Magnetic-Plasmonic Ag@FeCo@Ag Core@Shell@Shell Hybrid Nanoparticles
著者:M. Takahashi, P. Mohan, K. Mukai, Y. Takeda, T. Matsumoto,K. Matsumura, M. Takakura, T. Taguchi, and S. Maenosono
■概要
(1)シンポジウム: A-4 (Magnetic oxide thin films and hetero-structures)
Ag@FeCo@Agコア@シェル@シェルナノ粒子における交換バイアスを調べたところ、強磁性体FeCoが反強磁性体CoFeOへ酸化することで交換バイアス磁場が振動現象を示すことが分かった。
(2)B-7 (Nano-biotechnology on Interfaces)
磁性-プラズモンハイブリッドAg@FeCo@Agコア@シェル@シェルナノ粒子を用い、細胞内小器官の一つであるオートファゴソームのイメージング及び磁気分離を行った。
■受賞にあたって一言
共同研究者の方々をはじめ、応援してくださった皆様に心より感謝申し上げます。私が初めて国際学会で口頭発表をした場がIUMRSでその当時も賞を頂き、おそらく学生生活最後の国際学会での発表となった今回のIUMRSでも発表した2件において賞を頂けたことを大変嬉しくまた光栄に思います。これを励みに今後も研究に対して真摯に向き合い、邁進して参りたいと思います。
平成29年10月20日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2017/10/20-1.html生命機能工学領域の藤本研究室の論文がWiley社刊行 ChemBioChem誌の表紙に採択
生命機能工学領域の橋本浩寿(平成26年3月修了)、中村重孝助教、藤本健造教授の研究成果を中心とした論文が国際化学会誌の表紙に採択されました。
■掲載誌
ChemBioChem (Wiley, IF = 2.845)2017年 20巻表紙
■著者
Shigetaka Nakamura(助教), Hirokazu Hashimoto, Satoshi Kobayashi, Kenzo Fujimoto(教授).
■タイトル
Photochemical acceleration of DNA strand displacement using ultrafast DNA photo-cross-linking
(超高速DNA光架橋反応を用いたDNA鎖交換反応の光化学的高速化)
■概要
DNA鎖交換反応は体内においても遺伝子複製や転写の際に起こる生化学的に重要な反応であるとともに、試験管内でもPCRやチップ上での一塩基多型解析などライフサイエンス分野でも使用されている重要な反応です。しかし、反応の進行には時間を要する為、遺伝子解析のボトルネックとなっており、その高速化が求められていました。今回、超高速DNA光架橋反応を用いることにより、光照射をトリガーとしてDNA鎖交換反応を高速化することに成功しました。また、光照射のエネルギーに従い、DNA鎖交換反応の速度を制御可能であることも見出しました。
今後は高速遺伝子解析や細胞内遺伝子操作の高速化に向けた応用が期待されます。
論文詳細: http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cbic.201700511/abstract


平成29年10月12日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2017/10/12-1.html生命機能工学領域の藤本研究室の論文が英国王立化学会刊行 Organic & Biomolecular Chemistry誌の表紙に採択
生命機能工学領域の藤本研究室の論文が、英国王立化学会刊行 Organic & Biomolecular Chemistry誌の表紙に採択されました。
■掲載誌
Organic & Biomolecular Chemistry (Royal Society of Chemistry, IF = 3.564)2017年 5109-5111頁
■著者
Shigetaka Nakamura(助教)、Yang Hui (M2)、Chihiro Hirata、Fluorian Kersaudy、Kenzo Fujimoto(教授)
■論文タイトル
Development of 19F-NMR chemical shift detection of DNA B-Z equilibrium using 19F-NMR
(19F-NMRを用いたDNA B-Z構造転移の19F-NMRケミカルシフトの開発)
■内容等
細胞内での核酸構造は生命機能と密接に関係することが報告されており、その解析手法について様々な手法が報告されている。今回、高い生体透過性と尖鋭性を有するフッ素核磁気シグナルに注目し、DNAのB-Z構造変化をトリフルオロメチルシチジンやトリフルオロメチルチミジンを組み込んだDNAを用いる事により、フッ素核磁気シグナルの変化から定量的に検出できることを明らかにした。また、1本鎖状態のDNAも識別することが可能であり、従来の光学的手法と比較しても大幅な検出時間の短縮が可能である。今後、従来は困難であった細胞内の核酸構造検出への応用が期待される。
詳細: http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2017/OB/C7OB00706J#!divAbstract

平成29年7月25日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2017/07/25-1.html環境・エネルギー領域の桶葭助教、金子教授らの研究成果が米国化学会刊行Langmuir誌の表紙に採択
環境・エネルギー領域の桶葭興資助教、金子達雄教授らの研究成果が米国化学会刊行Langmuir誌の表紙に採択されました。
■掲載誌
American Chemical Society, Langmuir 2017, 33, 4954 - 4959.
■著者
Kosuke Okeyoshi*, Gargi Joshi, Sakshi Rawat, Saranyoo Sornmkamnerd, Kittima Amornwachirabodee, Maiko K. Okajima, Mayumi Ito, Shoko Kobayashi, Koichi Higashimine, Yoshifumi Oshima, Tatsuo Kaneko*
■論文タイトル
Drying-induced self-similar assembly of megamolecular polysaccharides through nano and submicron layering
■論文概要
超高分子量の天然多糖類水溶液を乾燥させると、気液界面を利用してナノメータースケールとサブミクロンスケールで自己相似的に層構造を形成することが立証された。ここでは、分子スケールからミリスケールに至る階層的な構造形成が面状の気-液晶界面で誘起されることが電子顕微鏡観察法と偏光観察法により明らかになった。今回解明された多糖類サクランの階層構造を活用することで、電気、光学、細胞工学など多分野における新規材料の創製が期待される。
■採択にあたって一言
本研究を遂行するにあたり、応用物理学領域の大島義文准教授はじめ、ナノマテリアルテクノロジーセンター伊藤真弓研究員、小林祥子研究員、東嶺孝一技術専門員に大変お世話になりました。この場をお借りして心より感謝の意を表します。
参考: http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.langmuir.7b00107

平成29年5月25日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2017/05/25-1.html生命機能工学領域の藤本教授らの研究チームが超高速遺伝子解析用試薬の実用化に寄与
生命機能工学領域の藤本健造教授らの研究チームは、 日華化学株式会社(本社:福井市、代表取締役社長:江守康昌、以下日華化学)と共同研究を行い、同研究室の保有する研究成果と、日華化学のコア技術である精密有機合成の知見を生かし、超高速遺伝子解析用試薬の安定供給・品質の確保を実現しました。
この試薬は、藤本教授らが発明者である基本特許を使用しており、国内外の研究者や企業から多くの問合せを受けていました。今回、日華化学との共同研究を通じて、合成プロセスの改良により大幅なコストダウンと安定供給を実現したものです。今後、国内外の研究者や企業での利用、応用が期待されます。
■研究概要
藤本研究室では、光を用いて遺伝子を操作する全く新しい独自の技術を追求しています。藤本教授が開発した核酸試薬を用いることで、DNAを自在に光で高速操作できるようになり、高速遺伝子解析が可能となるだけでなく、細胞内の遺伝子発現を光制御できるようになりました。研究室では、これからも医療・健康分野に焦点を当てながら、生命科学の枠を超えて様々な分野への貢献を目指し研究を進めています。
■今後の展開
光を用いた核酸類操作は、従来の酵素を用いた遺伝子操作と比較して操作性、機械化への適用度、コスト、時空間制御といった点で優れていると考えられます。LED光を照射した時だけ、照射した場所にのみ操作でき、しかも誰もがスイッチ1つで操作可能なユーザーフレンドリーな技術として期待されています。細胞内での遺伝子発現制御にも最近有効であることが見出されており、手軽な遺伝子診断システムをはじめ、局所疾患への医療応用など幅広い分野への貢献が期待されます。
日華化学株式会社プレスリリース
http://www.nicca.co.jp/01topics/2016/09/post-194.html
平成28年9月15日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2016/09/15-1.html



図2. 乾燥界面の移動によってまっすぐなファイバーが蛇行構造やらせん構造に変形
