研究活動の検索
研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。「大学見本市2023~イノベーション・ジャパン」に出展
8月24日(木)、25日(金)の2日間、東京ビッグサイト南展示棟(東京都江東区有明)で国内最大規模の産学マッチングイベントである「大学見本市2023~イノベーション・ジャパン」が開催され、本学からは以下の2件が出展しました。
- 超越バイオメディカルDX研究拠点 物質化学フロンティア研究領域 松村和明 教授
【展示タイトル】超越バイオメディカルDX研究拠点 - サスティナブルイノベーション研究領域 高田健司 助教
【展示タイトル】新機能!バイオマス由来桂皮酸を用いたバイオプラスチックの開発
※各ブースの出展内容については、以下を参照ください。
https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/event/2023/08/03-1.html
8月24日(木)に同会場内で開催された研究者ショートプレゼンテーションでは、松村和明教授が「超越バイオメディカルDX研究拠点」をテーマに発表を行い、多くの聴講者によって活況を呈しました。本学ブースには企業関係者をはじめ大学や公的機関の関係者等、2日間で延べ174名もの方々が来訪され、今後の連携における検討等、活発な情報交換の場となりました。

プレゼンテーションの様子


出展ブースの様子
令和5年8月31日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/08/31-1.html化学修飾細菌を利用するがん光免疫療法の開発に成功
化学修飾細菌を利用するがん光免疫療法の開発に成功
ポイント
- 天然の紅色光合成細菌の細胞表面を簡便に化学修飾可能な手法を開発
- 作製した化学修飾細菌は、免疫細胞の効果的な賦活化のみならず、高い腫瘍標的能を有し、近赤外光によって様々な機能を発現可能
- 当該化学修飾細菌の特性と近赤外レーザー光を組み合わせた、新たながん光免疫療法を開発
| 北陸先端科学技術大学院大学(学長・寺野 稔、石川県能美市)、先端科学技術研究科 物質化学フロンティア研究領域の都 英次郎准教授の研究グループは、光と化学修飾細菌を使ってマウス体内のがん診断・治療を可能にする技術の開発に成功した(図1)。 |
図1. 化学修飾細菌を利用するがん光免疫療法の概念
近年、低酸素状態の腫瘍内部で選択的に集積・生育・増殖が可能な細菌を利用したがん標的治療に注目が集まっている。しかし、従来のがん細菌療法は、基本的には抗がん剤の運搬という、いわゆる従来型のドラッグデリバリーシステムの概念を出ない。また、薬効も十分であるとはいえない。さらに、従来のがん細菌療法は、抗がん活性を発現するためには、遺伝子工学を用いた微生物の操作・改変が必須である。米国や欧州ではヒトへの臨床試験が行われ第3相試験に進んでいる例もあるが、使用される細菌は、多くの場合、遺伝子組換えによって弱毒化したサルモネラ菌やリステリア菌であり、体内で再び強毒化するリスクを常に伴っている。
本研究では、低酸素状態の腫瘍環境内で高選択的に集積・生育・増殖が可能で、かつ生体透過性の高い近赤外レーザー光*1によって様々な機能を発現する非病原性かつ天然の紅色光合成細菌*2の表面化学修飾法を開発した。また、当該化学修飾細菌の特性を活用することで体内の腫瘍を高選択的に検出し、効果的な免疫細胞(特にT細胞*3)の賦活化、および標的部位のみを効果的に排除することが可能ながん光免疫療法を開発することに成功した。
本研究を実現するために、がん細胞に対する傷害性の高いT細胞を賦活化可能な免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-L1抗体*4)および生体適合性の高いポリエチレングルコール(PEG)脂質から成る機能性高分子複合体と、紅色光合成細菌を生理食塩水中で30分間混合し、洗浄するだけで、免疫賦活化作用と腫瘍標的能を有し、かつ生体透過性の高い近赤外レーザー光によって近赤外蛍光と熱を発現する化学修飾細菌を開発した(図2A)。また、当該細菌のこれらの特性を活用し、近赤外レーザー光照射と組み合わせることで、体内の腫瘍(大腸がん由来)を高選択的に検出し、光発熱作用と免疫の力によって標的部位を効果的に排除することが可能ながん光免疫療法を構築した(図2B、2C)。さらに、マウス大腸がん細胞、マウスマクロファージ細胞、ヒト正常肺細胞を用いた細胞毒性試験、ならびにマウスを用いた生体適合性試験(血液学的検査、組織学的検査など)を行った結果、いずれの検査からも化学修飾細菌そのものが生体に与える影響は極めて少ないことがわかった。
これらの成果は、今回開発した簡便な細菌の表面化学修飾法が、がん光診断・治療法の基礎に成り得ることを示すだけでなく、界面化学、ナノ・マイクロテクノロジー、光学、微生物工学といった幅広い研究領域における材料設計の技術基盤として貢献することを期待させるものである。
本成果は、2023年8月14日(現地時間)にナノテクノロジー分野の世界最高峰「Nano Today」誌(エルゼビア社発行)のオンライン版に掲載された。なお、本研究は、文部科学省科研費 基盤研究(A)(23H00551)、文部科学省科研費 挑戦的研究(開拓)(22K18440)、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 研究成果最適展開支援プログラム (A-STEP)(JPMJTR22U1)、公益財団法人発酵研究所、公益財団法人上原記念生命科学財団、ならびに本学超越バイオメディカルDX研究拠点、本学生体機能・感覚研究センターの支援のもと行われたものである。

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図2.(A) 化学修飾細菌の調製方法
(B) がん患部における化学修飾細菌の可視化(近赤外蛍光を検出) (C) 化学修飾細菌の抗腫瘍効果 |
【論文情報】
| 掲載誌 | Nano Today(エルゼビア社発行) |
| 論文題目 | Cancer immunotheranostics using bioactive nanocoated photosynthetic bacterial complexes |
| 著者 | Sheethal Reghu, Seigo Iwata, Satoru Komatsu, Takafumi Nakajo, Eijiro Miyako* |
| 掲載日 | 2023年8月14日 |
| DOI | 10.1016/j.nantod.2023.101966 |
【用語説明】
レーザーとは、光を増幅して放射するレーザー装置、またはその光のことである。レーザー光は指向性や収束性に優れており、発生する光の波長を一定に保つことができる。とくに700~1100 nmの近赤外領域の波長の光は生体透過性が高いことが知られている。
近赤外光を利用して光合成を行う細菌。水の分解による酸素発生は行わない。
免疫を担うリンパ球の一種。活性化したT細胞は、サイトカイン(細胞同士の情報伝達を行うタンパク質の総称)を分泌するヘルパー細胞や、がんや感染細胞を殺傷するキラー細胞などのエフェクター細胞に分化する。
細胞上のPD-1に結合してPD-1とPD-L1あるいはPD-L2との結合を阻害し、T細胞の活性化を維持する抗体のこと。
令和5年8月29日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/08/29-1.htmlMeet up Chubu イベント「超越バイオメディカルDX研究拠点」見学会を開催
7月27日(木)、中部経済産業局および中部経済連合会主催の、連携パートナーを探索するためのオープンイノベーションプラットフォームである『Meet up Chubu』が、本学の「超越バイオメディカルDX研究拠点(eMEDX)」にて開催されました。現地参加とオンラインのハイブリッド形式で行われ、当日は約60名の多種多様な業種・業界の方々にご参加いただきました。
最初にeMEDX拠点長である物質化学フロンティア研究領域の松村 和明教授から施設概要の紹介があり、その後、eMEDX施設内のオンラインツアーをライブ配信で行いました。
続いて、松村教授、同じく物質化学フロンティア研究領域の都 英次郎准教授の研究紹介が行われました。各セッションの最後には参加者からたくさんの質問があり、活発な意見交換がなされました。
最後に、寺野稔学長からの挨拶では、eMEDXの展望について発言がありました。
eMEDXでは、本学が誇る世界トップレベルのバイオメディカル分野の研究に、スーパーコンピューターを活用したデータ駆動型のDXを組み合わせ、医療・ヘルスケア・メディカルなどに関わる広い分野でのイノベーションを目指すとともに、技術や知識をシェアして共創する「シェアードオープンイノベーション」という新しい考え方に基づき、多種多様な業種・業界の会員企業間のざっくばらんな交流を推進することで、北陸から世界のバイオメディカルを変えるイノベーションを共創していきます。

学長挨拶

松村和明 拠点長・教授

都英次郎 准教授

研究紹介の様子
| 施設に関するお問い合わせ先 北陸先端科学技術大学院大学 未来創造イノベーション推進本部 担当:山廣、竹田 〒923-1292 石川県能美市旭台1-1 E-mail:emedx@ml.jaist.ac.jp |
令和5年8月10日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/08/10-1.htmlサイエンスヒルズこまつで子ども向け科学教室「JAISTサイエンス&テクノロジー教室」を開催
8月5日(土)、サイエンスヒルズこまつにおいて、「JAISTサイエンス&テクノロジー教室」を開催しました。同教室は、小松市との包括連携協定に基づく青少年の理科離れ解消に向けた取組のひとつであり、サイエンスヒルズこまつがJR小松駅前に開館して以来、毎年実施しているものです。
今年度1回目となる「混ぜると白色になって光り続ける絵の具?」には、9組の小学生と保護者が参加しました。はじめに物質化学フロンティア研究領域の上田純平准教授から、光の三原色と色の三原色の原理と仕組みについての説明がありました。その後、光る絵の具の成分について説明を受けた子供たちは、実際に、光る絵の具を使った作品づくりに熱心に取り組んでいました。




令和5年8月8日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/08/08-1.html学生のPUNYASLOKAさんとPATNAIKさんがCEAT2023においてBest Presenter Awardを受賞
学生のPUNYASLOKA, Saibrataさん(博士後期課程2年、物質化学フロンティア研究領域、松見研究室)とPATNAIK, Kottisa Sumalaさん(博士後期課程1年、物質化学フロンティア研究領域、松見研究室)がThe clean energy and technology conference(CEAT)2023において、Best Presenter Awardを受賞しました。
CEAT2023は、クリーンで再生可能なエネルギーの研究、開発、応用、提唱に関わる問題に焦点を当てた国際会議です。マレーシアのマラヤ大学が主催し、本学やマレーシア国立大(UKM)等との共催で、令和5年6月7日から6月8日にかけて、現地とオンラインでのハイブリッド形式にて開催されました。
同会議は、クリーンエネルギーと技術、電動モビリティの分野において、アカデミア及び産業界との国際的な意見交換のプラットフォームを提供することを目的として開催され、マレーシア国内及び国際運営委員会の審議により、口頭発表の中から優れた発表を行った学生に対し、Best Presenter Award(優秀講演賞)が授与されました。
CEAT2023は、International Symposium on Electric Mobility (ISEM)と併催で行われました。
※参考:CEAT2023ホームページ
■受賞年月日
令和5年6月8日
【PUNYASLOKA, Saibrataさん】
■研究題目
Study of Storage and Rate Capability of Lithium-Ion Secondary Batteries Using Bithiophene Containing Imine-Based Conjugated Polymer as Anodic Active Material
■研究者、著者
Saibrata Punyasloka, Noriyoshi Matsumi
■受賞対象となった研究の内容
ドナーアクセプター構造を有する共役系高分子をリチウムイオン二次電池用負極活物質として用いることにより、急速充放電能において好ましい特性が発現することが見出された。また、充電メカニズムにおけるキャパシティヴな寄与及びインターカレーションによる寄与に関しても電気化学的に分析しつつ、本系における挙動の詳細な知見を明らかにした。
■受賞にあたって一言
I would like to thank the 6th Clean Energy and Technology Committee for considering me for the award. I also would like to take this opportunity to extend my sincere and heartfelt gratitude to Prof. Noriyoshi Matsumi for his constant guidance. Further, I would also like to thank all the members of the Matsumi Lab, friends, and family for their continual support. I see this award as a motivation and encouragement which will push me forward in my research career and help me achieve greater heights.
Thank you.


■研究題目
Preparation of Anodic Active Materials Suitable for High-Rate Charge-Discharge by Pyrolysis of Poly(benzimidazole/amide) Copolymers
■研究者、著者
Kottisa Sumala Patnaik, Bharat Srimitra Mantripragada, Rajashekar Badam, Koichi Higashimine, Xianzhu Zhong, Tatsuo Kaneko and Noriyoshi Matsumi
■受賞対象となった研究の内容
ポリ(ベンズイミダゾール/アミド)共重合体を前駆体とした焼成により得た窒素ドープカーボンにおいては、層間距離がポリベンズイミダゾール由来の窒素ドープカーボンと比較してさらに拡張し、リチウムイオン二次電池の負極活物質として、イオン拡散能や急速充放電能においてさらに優れた特性が観測された。また、本材料を用いて構築したフルセルも良好に作動した。
■受賞にあたって一言
I would like to take this opportunity to thank the 6th Clean Energy and Technology Conference (CEAT) jury members for bestowing me with this award. I would like to take this opportunity to thank Matsumi Sensei for his invaluable guidance and support all the time. I would also like to thank all our colleagues in Matsumi lab, family members, friends, and loved ones who helped me receive this award. This award motivates me to do more hard work and inspires me to perform better in the future. I hope my research work can benefit society at large in the future.
令和5年8月7日
液体金属ナノ粒子を活用するがん光免疫療法の開発に成功
液体金属ナノ粒子を活用するがん光免疫療法の開発に成功
ポイント
- 免疫賦活化作用を有する多機能性の液体金属ナノ粒子の開発に成功
- 当該液体金属ナノ粒子がEPR効果により腫瘍に集積し、マウスに移植したがんの可視化と、免疫賦活化ならびに光熱変換によるがん治療が可能であることを実証
- 当該ナノ粒子と近赤外光を組み合わせた新たながん診断・治療技術の創出に期待
| 北陸先端科学技術大学院大学(学長・寺野 稔、石川県能美市)、先端科学技術研究科 物質化学フロンティア研究領域の都 英次郎准教授の研究グループは、液体金属ナノ粒子*1を活用した新しいがん光免疫療法の開発に成功した(図1)。 |
ガリウム・インジウム(Ga/In)合金からなる室温で液体の金属(液体金属)は、高い生体適合性と優れた物理化学的特性を有することが知られており、とりわけナノ粒子化した液体金属をバイオメディカル分野に応用する研究に大きな注目が集まっている。都准教授の研究チームでも、免疫賦活化作用のある物質を液体金属に組み合わせ、がん患部に選択的に送り込むことができれば、免疫による高い抗腫瘍作用の発現が期待できるだけでなく、生体透過性の高い近赤外光*2を用いることで、患部の可視化や光熱変換を利用した、新たながんの診断や治療が実現できるのではないかと考え、研究をスタートさせた。
図1. 近赤外光が液体金属ナノ粒子に当たり、免疫細胞
(T細胞と樹状細胞)を活性化している様子(イメージ)
研究チームは、液体金属をがん患部まで送り、免疫細胞を賦活化させるために、液体金属表面に免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1抗体*3)、免疫調整薬(イミキミド*4)、蛍光試薬(インドシアニングリーン*5)、ポリエチレングリコール-リン脂質複合体*6を吸着させたナノ粒子の作製を試みた。Ga/In液体金属、イミキミド、インドシアニングリーン、ポリエチレングリコール-リン脂質複合体の混合物に超音波照射後、抗PD-L1抗体を添加し、一晩培養するだけで、球状ナノ粒子の構造を水中で安定的に維持可能な簡便なナノ粒子を形成できることを見出した。この方法で調製した液体金属ナノ粒子は、10日以上の粒径安定性を有していること、細胞に対し高い膜浸透性を有し毒性が無いこと、近赤外光照射により発熱が起こることが確認できたため、がん患部の可視化と治療効果について試験を行った。
大腸がんを移植して1週間後のマウスに、液体金属ナノ粒子を投与し、24時間後に740~790 nmの近赤外光を当てたところ、がん患部だけが蛍光を発している画像が得られ、当該ナノ粒子がEPR効果*7によりがん組織に取り込まれていることが分かった(図2A)。そこで、当該ナノ粒子が集積した患部に対して808 nmの近赤外光を照射したところ、免疫賦活化と光熱変換による効果で14日後には、がんを完全に消失させることに成功した(図2B)。

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図2.(A) 液体金属ナノ粒子の標的腫瘍内における蛍光特性
(B) 液体金属ナノ粒子による抗腫瘍効果(腫瘍は完全消失) |
さらに、液体金属ナノ粒子の細胞毒性と生体適合性を評価した。2種類の細胞[マウス大腸がん由来細胞(Colon-26)、ヒト胎児肺由来正常線維芽細胞(MRC5)]を培養する培養液中に、液体金属ナノ粒子を、添加量を変えて投与・分散させ、24時間後に細胞内小器官であるミトコンドリアの活性を指標として細胞生存率を測定した結果、細胞生存率の低下は見られず、細胞毒性はなかった。また、液体金属ナノ粒子をマウスの静脈から投与し、生体適合性を血液検査(1週間調査)と体重測定(約1ヵ月調査)により評価したが、いずれの項目でも液体金属ナノ粒子が生体に与える影響は極めて少ないことがわかった。
これらの成果は、今回開発した液体金属ナノ粒子が、がん診断・免疫療法の基礎に成り得ることを示すだけでなく、ナノテクノロジー、光学、免疫学といった幅広い研究領域における材料設計の技術基盤として貢献することを十分期待させるものである。
本成果は、ドイツの化学・生物系トップジャーナル「Advanced Functional Materials」誌(Wiley社発行)に7月28日(現地時間)に掲載された。なお、本研究は、文部科学省科研費 基盤研究(A)(23H00551)、文部科学省科研費 挑戦的研究(開拓)(22K18440)、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 研究成果最適展開支援プログラム (A-STEP)(JPMJTR22U1)、公益財団法人発酵研究所、公益財団法人上原記念生命科学財団、ならびに本学超越バイオメディカルDX研究拠点、本学生体機能・感覚研究センターの支援のもと行われたものである。
【論文情報】
| 掲載誌 | Advanced Functional Materials(Wiley社発行) |
| 論文題目 | Light-Activatable Liquid Metal Immunostimulants for Cancer Nanotheranostics |
| 著者 | Yun Qi, Mikako Miyahara, Seigo Iwata, Eijiro Miyako* |
| 掲載日 | 2023年7月28日 |
| DOI | 10.1002/adfm.202305886 |
【用語解説】
室温以下あるいは室温付近で液体状態を示す金属のこと。例えば、水銀(融点マイナス約39℃)、ガリウム(融点約30℃)、ガリウム-インジウム合金(融点約15℃)がある。
800~2500 nmの波長の光。とくに700~1100 nmの近赤外領域の波長の光は生体透過性が高いことが知られている。
免疫チェックポイント阻害剤の一つ。がん細胞や抗原提示細胞が発現するPD-L1に結合することによりT細胞上のPD-1との相互作用を阻害する。この結果、T細胞への抑制シグナル伝達が阻害され、T細胞の活性化が維持され、抗腫瘍作用が発現される。
樹状細胞を活性化させることが知られており、早期の基底細胞皮膚がんや特定の皮膚疾患の治療に用いられる薬物。
肝機能検査に用いられる緑色色素のこと。近赤外光を照射すると近赤外蛍光を発することができる。
ポリエチレングリコールとリンを含有する脂質(脂肪)が結合した化学物質。脂溶性の薬剤を可溶化させる効果があり、ドラッグデリバリーシステムによく利用される化合物の一つ。
100nm以下のサイズに粒径が制御された微粒子は、正常組織へは漏れ出さず、腫瘍血管からのみがん組織に到達して患部に集積させることが可能である。これをEPR効果(Enhanced Permeation and Retention Effect)という。
令和5年8月4日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/08/04-1.html人間情報学研究領域のホ准教授らが国際会議RSS2023においてBest System Paper Awardの Finalistに選出
人間情報学研究領域のホ アン ヴァン准教授、修了生のBUI, Son Tienさん(令和5年3月博士後期課程修了、ホ研究室)および河野 晋也さん(令和5年3月博士前期課程修了、ホ研究室)が国際会議Robotics : Science and Systems(RSS)2023において発表した論文が、Best System Paper AwardのFinalistに選出されました。
RSSは、ロボティクス分野で権威あるトップカンファレンスの一つです。第19回となった今回は、令和5年7月10日から14日にかけて、韓国テグにて開催されました。
*参考:RSS2023
■年月日
令和5年7月14日
■研究題目、論文タイトル等
ROSE: Rotation-based Squeezing Robotic Gripper toward Universal Handling of Objects
■研究者、著者
Son Tien Bui, Shinya Kawano, Van Anh Ho
■対象となった研究の内容
本研究で提案したバラの花の機能と美しさに着想を得たROSE(ROtation-based-Squeezing grippEr)ロボットハンド(以下、ROSEロボットハンド)は、大面積接触と閉じた構造を特徴とし、より優しい把持接触と汎用的な把持性能を実現した。具体的に、ROSEロボットハンドでは、柔らかい素材であるソフトマテリアルを使用したスキンを作成し、樹脂製の軸部分の回転により動作するシンプルな機構を提案した。これにより、把持物を傷つけず、かつ制御の複雑さを軽減することに成功した。また、少量のソフトマテリアルと樹脂素材を用いた回転部分を3Dプリントにより形成することで安価に製作できる。さらに、ROSEロボットハンドの空間を閉じようとする動作により、単純な把持のみならず掴む動作も行えるため、把持対象が限定されない。
■選出にあたって一言
この度、RSSのようなトップ国際会議にBest System Paperファイナリストとして選ばれたのは、大変光栄です。この研究に貢献してきたHo研究室の修了生や現在のメンバーなどに感謝いたします。

令和5年8月3日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/08/03-1.html物質化学フロンティア研究領域の都准教授らの論文がAdvanced Science誌の扉絵に採択
物質化学フロンティア研究領域の都 英次郎准教授らの「阿吽の呼吸で癌を倒す!-灯台下暗し:最強の薬は腫瘍の中に隠されていた-」に係る論文が、Advanced Science誌の扉絵に採択されました。
なお、本研究は、科研費基盤研究(A)(23H00551)、科研費挑戦的研究(開拓)(22K18440)、科学技術振興機構(JST) 研究成果最適展開支援プログラム (A-STEP)(JPMJTR22U1)、公益財団法人発酵研究所、公益財団法人上原記念生命科学財団、ならびに本学超越バイオメディカルDX研究拠点、本学生体機能・感覚研究センターの支援のもと行われたものです。
■掲載誌
Advanced Science, Volume 10, Issue20
扉絵掲載日:2023年7月26日
■著者
Yamato Goto, Seigo Iwata, Mikako Miyahara, Eijiro Miyako*
■論文タイトル
Discovery of Intratumoral Oncolytic Bacteria Toward Targeted Anticancer Theranostics
■論文概要
腫瘍組織から強力な抗腫瘍作用のある複数の細菌[A-gyo(阿形)、UN-gyo(吽形)、AUN(阿吽)と命名]の単離に成功しました。なかでもAUN(A-gyoとUN-gyoからなる複合細菌)は、様々な癌腫に対して高い抗腫瘍活性を示すだけでなく、近赤外光を照射すると、標的とする腫瘍内で強い蛍光を発現することが明らかになっています。
扉絵詳細:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202370131
論文詳細:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202301679

令和5年7月28日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/07/28-1.html"ROSE"ハンド:バラの花から着想を得た包み込むように掴むロボットハンドを開発
"ROSE"ハンド:バラの花から着想を得た包み込むように掴むロボットハンドを開発
ポイント
- バラの花から着想を得て、物を包み込むように掴むソフトロボットハンドを開発した。
- ロボットハンドとして十分な把持力を持ちながら、素材にソフトマテリアルを使用することで把持物やその周辺を傷つけずに掴むことが可能である。
- ロボットハンド制御の複雑性を軽減させたシンプルな構造かつ優れた耐久力を持っており、多様な用途に使用できるため、幅広い分野での社会実装が期待される。
| 北陸先端科学技術大学院大学(学長・寺野稔、石川県能美市)人間情報学研究領域のホ アン ヴァン(Ho Anh Van)准教授は、バラの花から着想を得て、物を包み込むように掴み、かつ汎用性に優れたソフトロボットハンドを開発した。開発したロボットは、簡素化された制御機能と優れた耐久性を有しており、今後、農業分野における収穫作業代替ロボットとしての普及だけでなく、幅広い分野への応用が期待される。 |
【研究の背景と目的】
昨今、様々な分野でソフトハンドロボットが導入されている。特に、農業分野においては、ロボットハンドによる収穫作業の自動化が進められており、「農作物を傷つけずに収穫する」ための有用な手段として注目されている。
農業用のロボットハンドとしては、デリケートな農作物を把持することが可能なものがすでに開発されているが、イチゴやモモといった特にデリケートな農作物を対象とした把持の結果は芳しくない。また、ロボットハンドの普及が進まない原因の一つとして、ロボットが高価であることが挙げられる。ソフトロボットを含めたこれまでのロボットハンドは、対象物に特化した専用のロボットハンドとして開発されており、それに加えて、高度なセンシングや制御を必要としている。そのため、開発コストが高まることでロボットハンドの価格が上昇し、導入コストに影響していると考えられる。
本研究では、これらの課題を解決するため、"低価格であり、収穫物を傷つけない優しい把持が可能で、十分な力を持つロボットハンド"をコンセプトに、新しい農業用ロボットハンドの開発を目指した。さらに、農業だけでなく他分野での活用を視野に入れた、対象物を選ばず、また把持物とその周辺を傷つけずに把持することができるロボットハンドの実現を目指した。
【研究の内容】
■アイデア:
設計概念として、1)収穫物を傷つけないためにソフトマテリアルを用いる、2)ロボットハンドの制御を簡素化する、3)製作コストを低くする、4)対象物を選ばず汎用性に優れた把持を実現する、ことを目指した。以上を踏まえ、本研究で提案したバラの花の機能と美しさに着想を得たROSE(ROtation-based-Squeezing grippEr)ロボットハンド(以下、ROSEロボットハンド)は、大面積接触と閉じた構造を特徴とし、より優しい把持接触と汎用的な把持性能を実現した(図1、2)。
具体的に、ROSEロボットハンドでは、柔らかい素材であるソフトマテリアルを使用したスキンを作成し、樹脂製の軸部分の回転により動作するシンプルな機構を提案した。これにより、把持物を傷つけず、かつ制御の複雑さを軽減することに成功した。また、少量のソフトマテリアルと樹脂素材を用いた回転部分を3Dプリントにより形成することで安価に製作できる。さらに、ROSEロボットハンドの空間を閉じようとする動作により、単純な把持のみならず掴む動作も行えるため、把持対象が限定されない。

図1:開発したROSEロボットハンド

図2:設計概念
■特徴:
図2のように、ROSEロボットハンドの先端は半球の頂点を押し込み、窪ませた様な形状をしている。この窪みの底を軸とし、外側のスキンとこの軸を逆方向に回転させることでスキンにねじれを発生させ、それが窪んだ空間を閉じるように動作し把持を可能としている。従来の人の指を模倣したようなソフトロボットハンドでは適切な姿勢制御が必要であるが、ROSEロボットハンドは大面積接触と閉じた構造により、様々な対象物の把持を可能としている。特に、従来のロボットハンドでは困難であった油に浸した対象物の把持が可能であることが実験で示された(図3)。

図3:オリーブオイルタンクから浸したゆで卵の把持の様子
■動作ビデオ(YouTubeへリンク):https://youtu.be/E1wAI09LaoY
■他の技術との差:
前述したように、農業用ロボットハンドの課題の一つとして、収穫物を傷つけず、かつ潰さずに収穫することが挙げられる。この課題を解決するために様々な農業用ロボットハンドが開発されているが、特定の農作物の収穫に限られたものが多く、高価な導入コストという問題までは完全に解決できていない。
一方、このROSEロボットハンドは、対象物を選ばない把持が特徴である。通常のソフトロボットハンドは制御が難しいが、ROSEロボットハンドはそのシンプルな機構によりこの種の課題を解決した。例えば、農業用ロボットハンドでは、主に人の指を模したロボットハンドが多く使用されるが、把持の際に対象物の形状や柔らかさなどによって制御を工夫しなければならない。ROSEロボットハンドは、空間を閉じる動作により包み込むような把持を行うため、対象物によって制御を変える必要がなく、対象物を選ばずに把持することが可能である。結果として、導入コストの軽減につながると考えられる。
また、ROSEロボットハンドは、耐久性に優れている。耐久実験として、「把持対象物の上空からスタート→対象物まで下降→把持→持ち上げ→再び元の対象物があったところまで下降→把持解除→スタート地点へ戻る」という一連の流れを繰り返し行った。その結果、40万回の把持動作に成功した。それ以降は、スキンが破損したものの把持力の低下は見られなかった(図4a)。
さらに、把持した状態での引張強さを測定指標とし、把持力の測定を行った。ROSEロボットハンドが物体を掴み、保持し続けたままで、ROSEロボットハンドにかかる垂直方向の荷重を増加させ、破損するまでの荷重を計測した。その結果、平均400Nの荷重に耐えられることが分かり、耐久性が十分であることが確認できた(図4b)。
このように、従来のソフトロボットハンドの課題の一つとして挙げられる耐久性も十分に備えており、ROSEロボットハンドは他の技術と差別化できる優れたソフトロボットハンドである。

図4:(a)繰り返し動作による耐久実験の様子
(b)把持力の測定の様子

本研究成果は、2023年7月10日から14日まで韓国で開催の国際会議Robotics: Science and Systems (RSS2023)で発表された。
なお、本研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)・戦略的創造研究推進事業さきがけ「IoTが拓く未来」研究領域(JPMJPR2038) (研究課題「タッチIoT : 触れるインターネット実現のための肌感覚送受信機の開発」)の支援を受け行った。
【波及効果・今後の展開】
従来のロボットハンドは把持が対象物に特化しており、精緻であるが汎用性に優れていなかった。これは、対象物や周辺に危害を加えないために必要不可欠な要素として、対象物によって特定のセンシングや制御を設定していたためでもある。しかし、昨今のソフトロボティクス研究の発展により、新たな機構を持つソフトロボットハンドが開発されている。ソフトロボットハンドは、柔らかい素材や空気などを使用した機構などが多く、制御面の工夫が強みである。ROSEロボットハンドもその一つであり、他のソフトロボットハンド同様に、今後需要が増加していくと考えられる。
ここで、本提案技術が想定する製品・サービスとして、次の二つを挙げる。第一に、果物の種類を選ばずに収穫作業を代替するロボットである。第二に、被介護者のQOL(Quality of life)を向上させるための生活支援介護ロボットである。本提案技術の汎用性を基に、幅広い分野でこれらの製品と新たなサービスを提供することで、ソフトロボットハンドの普及促進が期待される。
【論文情報等】
| 題目 | ROSE: Rotation-based Squeezing Robotic Gripper toward Universal Handling of Objects |
| 著者 | Son Tien Bui, Shinya Kawano, Van Anh Ho |
| 国際会議名 | Robotics: Science and System(RSS2023) |
| 会議発表日 | 2023年7月13日 |
| 論文掲載URL | https://roboticsproceedings.org/rss19/p090.html |
| DOI | 10.15607/RSS.2023.XIX.090 |
令和5年7月14日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/07/14-1.htmlサスティナブルイノベーション研究領域の高田助教が新化学技術推進協会 新化学技術奨励賞を受賞
サスティナブルイノベーション研究領域の高田 健司助教が公益社団法人新化学技術推進協会(JACI)の第12回新化学技術研究奨励賞を受賞しました。
JACIでは、産学官交流連携活動の一環として、新化学技術研究奨励賞を設けています。本奨励賞は、化学産業界が必要とする技術課題を設定し、その実現に貢献することができる若手研究者の独創的な萌芽的研究テーマを発掘・奨励する目的で毎年公募しています。
※参考:JACIホームページ
■受賞年月日
令和5年6月26日
■研究題目
「バイオアラミドの水溶化/水不溶化を利用したバイオコンポジット材料の創成」
■研究概要
本研究では、バイオ由来でありながら驚異的な力学強度を示す桂皮酸二量体由来のポリアミド(バイオアラミド)の水溶性をコントロールすることで他の水溶性樹脂と複合化(コンポジット化)して、さらに強い材料を作ることを目的としています。本研究の達成によってバイオ分子である桂皮酸や水溶性天然高分子をベースとした新しい材料への展開が期待できます。
■受賞にあたって一言
本研究課題に関して受賞できたこと大変光栄に存じます。新化学技術推進協会および本奨励賞の選考委員の皆様に深く感謝申し上げます。本研究成果により得られる材料が新時代のイノベーションを切り拓けるよう邁進してまいります。また、研究に関して多くのディスカッションとアドバイスをいただいた金子達雄客員教授はじめ、本研究提案のインスピレーションを与えていただいた研究室の皆様、および研究協力者の方々にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
令和5年7月4日
出典:JAIST 受賞https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/award/2023/07/07-3.html金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 第1回共同シンポジウムを開催
令和5年6月26日(月)、本学小ホールにおいて、金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学 第1回共同シンポジウムを開催しました。
金沢大学と本学は、融合科学共同専攻における分野融合型研究を推進してきましたが、本年度より、融合科学共同専攻にとどまらず、両大学間の共同研究の発展と促進を目指し、共同シンポジウムを開催することといたしました。
第1回である今回は、「エネルギー関連材料・デバイスにおける最新研究の展開」をテーマに開催し、寺野 稔学長による開会挨拶後、本学 サスティナブルイノベーション研究領域 大平圭介教授、金沢大学 理工研究域 機械工学系 辻口拓也准教授、金沢大学 ナノマテリアル研究所 當摩哲也教授、本学 融合科学共同専攻長 松見紀佳教授にそれぞれエネルギー関連の最新研究についてご講演いただき、金沢大学 和田隆志学長の挨拶をもって閉会となりました。
本シンポジウムが、今後の両大学間の共同研究の発展と促進を目的としていることから、各講演者は、自身の研究内容の説明に加えて、「どのような研究分野との共同研究が可能か」という点も併せて講演されました。
オンライン配信とのハイフレックス形式にて開催しました本シンポジウムには、両大学より多くの方が参加され、質疑応答の時間には研究者間による活発な意見交換が行われました。次回は金沢大学を会場として開催される予定であり、本シンポジウムが今後両大学間の共同研究発展の端緒となるよう推進して参ります。

開会の挨拶をする寺野学長

講演① 「シリコン系太陽電池の高性能・低コスト・長寿命化技術の開発」
大平圭介 教授(本学 サスティナブルイノベーション研究領域)

講演② 「ギ酸を中心とした循環型社会の構築に向けた要素技術開発」
辻口拓也 准教授(金沢大学 理工研究域 機械工学系)

講演③ 「軽くて柔らかい有機材料を用いた太陽電池の長寿命化と実用化」
當摩哲也 教授(金沢大学 ナノマテリアル研究所)

講演④ 「次世代型蓄電池の開発を目指した部材開発」
松見紀佳 教授(本学 融合科学共同専攻長)

閉会の挨拶をする金沢大学 和田学長
令和5年6月28日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/06/28-1.html学生のXIONGさんが、国際シンポジウムEM-NANO2023においてStudent Awardを受賞
学生のXIONG, Weiさん(博士後期課程2年、ナノマテリアル・デバイス研究領域、大島研究室)が第9回有機・無機エレクトロニクス材料とナノテクノロジーに関する国際シンポジウム(EM-NANO2023)において、Student Awardを受賞しました。
EM-NANO2023は令和5年6月5日~8日にかけて金沢市で開催されました。先端的な材料やそれを用いたデバイスに関する研究に関する講演が約300件あり、そのうち、学生発表が約140件ありました。この中で優れた発表を行った学生10名に対し学生優秀賞が授与されました。
*参考:The 9th International Symposium on Organic and Inorganic Electronic Materials and Related Nanotechnologies (EM-NANO2023)
■受賞年月日
令和5年6月7日
■研究題目、論文タイトル等
引張り変形のその場透過電子顕微鏡法によるMoS2ナノシートのリップル構造評価
■研究者、著者
XIONG, Wei
■受賞対象となった研究の内容
2次元材料の構造的な新しさの一つに、2次元材料の伸縮による原子レベルの波紋構造の形成がある。しかし、このような構造に関する実験的な報告はほとんどない。
本研究では、2つの電極間に吊り下げたMoS2ナノシートを伸張できるin-situ透過型電子顕微鏡(TEM)ホルダーを開発し、MoS2ナノシートの原子レベルの波紋構造を観察することに成功した。得られたTEM像を解析したところ、波紋構造はアームチェア方向に沿って形成されていることがわかった。幾何学的位相解析(GPA)法を用いてTEM像を解析することで、波紋構造の周期と振幅を推定することができた。0.26%、0.51%、0.77%、1.02%の引張ひずみでリップル構造の周期と振幅を推定した。その結果、MoS2ナノシートは引っ張りに対して非線形な力学応答を示すことがわかった。
■受賞にあたって一言
It's my honor to receive the "Student Award" in EM-NANO2023. Participating in this academic conference has benefited me a lot. I have listened to many excellent presentations and read many creative posters at this conference. The experiences and conversations during this trip made me think more deeply about my research. I will also put the inspiration and ideas I got at this conference into practice in my future experiments. For this honor, I would like to express my sincere gratitude to my supervisor, Prof. Yoshifumi Oshima, his profound knowledge gave me strong support in my study and research, his peaceful personality made me feel no pressure to get alone with him in life. I also want to thank Dr. Lilin Xie, a graduate of our lab, his research work has given me great convenience and confidence, and it has a great weight in this award I have received. Also, I'd like to thank assistant professor Kohei Aso and the laboratory members for their help in my life, study and research.
令和5年6月15日
名古屋国際学園(名古屋インターナショナルスクール)の生徒が来学 -SDGs特別授業&施設見学-
5月18日(木)、名古屋国際学園(名古屋インターナショナルスクール)の9年生(中学3年生相当)41名が来学し、SDGsに関する特別授業を受けました。
授業に先立ち、グローバルコミュニケーションセンターの元山琴菜講師から歓迎の挨拶があり、幅広い研究領域があることや、留学生・外国人教員の比率が高いといった本学の特色について紹介がありました。
その後、サスティナブルイノベーション研究領域の宮田全展講師によるSDGsの観点からのエネルギー変換に関する特別授業を開講しました。異なる金属間の電圧を温度差に変換するペルティエ効果と呼ばれる現象の科学実験もあり、生徒たちはペルティエ効果によって水が一瞬にして凍る様子に驚いていました。
続く施設見学では、本学の留学生による解説のもと、貴重図書室の『解体新書』(杉田玄白著)や情報社会基盤研究センターの大規模並列計算機「KAGAYAKI」、JAISTギャラリーのパズルを興味深く見ていました。留学生と生徒が、互いの出身国について紹介しあう場面も見られました。
今回の訪問は、SDGsの達成に寄与する科学技術について学ぶとともに、国際色豊かな大学院の雰囲気を体験する有意義な機会となったようです。

本学の紹介

科学実験を見つめる
名古屋国際学園の生徒

貴重図書室の見学

大規模並列計算機
「KAGAYAKI」の見学
令和5年5月22日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/05/22-1.html固体電解質薄膜トランジスタを用いたバイオセンサの製品化に着手 ~短時間で複数の核酸・病原体を同時に検出~
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| 三菱マテリアル株式会社 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 |
固体電解質薄膜トランジスタを用いたバイオセンサの製品化に着手
~短時間で複数の核酸・病原体を同時に検出~
三菱マテリアル株式会社と北陸先端科学技術大学院大学(石川県能美市) バイオ機能医工学研究領域の高村禅教授、廣瀬大亮助教は、共同で新規の固体電解質薄膜トランジスタを用いたバイオセンサを開発し、実用化に向けた製品開発に着手しました。
医療の分野における遺伝子検査では、一般的にPCR(Polymerase Chain Reaction)法など核酸を増幅して検査する方法が用いられていますが、検査機器が高価であり、また、大型のため用途が限定されています。
三菱マテリアルでは、従来より金属や酸化物など様々な材料に薄膜を形成するための研究開発を行っており、湿式成膜による薄膜材料開発に関する高い技術力を有しています。このたびの共同開発ではその技術を応用し、検知部に独自に開発した固体電解質薄膜トランジスタを用いた新たなバイオセンサを開発しました(模式図参照)。
本バイオセンサでは、微小な電荷による電圧変化を検出することでPCRなどの増幅法に比べて短時間で検査結果を得ることができます。また、微細加工技術を利用してセンサ素子を並列に複数個配列することができるため、複数の核酸・病原体の同時検出が可能となります。さらに、固体電解質薄膜トランジスタ自体が小さいため、バイオセンサの小型化が可能であり今後も用途の拡大が見込めます。
今後は測定可能な核酸の種類を拡張するとともに、複数の種類を含む病原体を同時に検出可能なセンサの製品化に取り組み、実用化に向けた製品開発を推進します。
三菱マテリアルグループは、「人と社会と地球のために」という企業理念のもと、これからも非鉄金属素材およびライフヘルスケア分野に付加価値の高い製品の開発・提供を通じて、豊かな社会の構築に貢献してまいります。

新開発のバイオセンサ
【性能】
固体電解質薄膜トランジスタの表面に負の電荷を有する核酸が特異的に吸着した場合、表面電荷の変化が生じ、変化に対応した電圧変化を大きなシグナルとして読み取ることが可能です。(図1参照)

図1 新規開発品によるシグナル増強について
固体電解質薄膜トランジスタを用いて、大腸菌に含まれる稀薄な核酸について、増幅することなく検出できることを確認しました。(図2参照)。

図2 大腸菌検出結果
【関連情報】
本リリースで紹介している固体電解質薄膜トランジスタは、以下のJournalに掲載されています。
Journal of Applied Physics 127, 064504 (2020)
令和5年5月19日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/05/19-1.htmlサスティナブルイノベーション研究領域の大平教授の研究課題が「NEDO先導研究プログラム」に採択
サスティナブルイノベーション研究領域の大平 圭介教授の研究課題が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2023年度「NEDO先導研究プログラム」のエネルギー・環境新技術先導研究プログラムに採択されました。
NEDO先導研究プログラムは脱炭素社会の実現や新産業の創出に向けて、〔1〕エネルギー・環境分野(エネルギー・環境新技術先導研究プログラム)、〔2〕新産業創出に結びつく産業技術分野(新産業・革新技術創出に向けた先導研究プログラム)において、2040年以降(先導研究開始から15年以上先)の実用化・社会実装を見据えた革新的な技術シーズを発掘・育成し、国家プロジェクトを含む産学連携体制による共同研究等につなげていくことを目的として、先導研究を実施するものです。
NEDOは〔1〕および〔2〕について公募を実施し、応募件数139件中25件のテーマを採択しました。
*参考:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
■研究課題名
次世代型超高効率太陽光パネルの実現に向けた要素技術の研究開発
■研究テーマ名
リサイクル容易な曲面・超軽量結晶Si太陽電池モジュールの開発
■研究期間
2023年5月~2026年3月
■研究概要
本研究では、封止材を用いない、あるいは剥離可能な封止材を用いた新概念結晶Si太陽電池のモジュールの開発に取り組みます。モジュールに使用する各部材が接着されていないため、廃棄の際の分解・分別や、部材リサイクルが容易となります。さらに、耐荷重や形状の問題で設置が難しかった建材への太陽光発電導入につながるよう、軽量化と曲面加工が可能となるモジュールの実現も目指します。本研究は、京セラ、新潟大学、青山学院大学、岐阜大学と共同で実施します。
■採択にあたって一言
近未来に予測されている太陽電池モジュールの大量廃棄時代に備え、廃棄や部材リサイクルの問題への対応が急務となっています。しかし、廃棄・リサイクルに適した太陽電池モジュールの開発は、あまり活発に行われていません。本研究を通して、太陽電池モジュールの構造を根本から見直し、新たなスタンダードとなるようなモジュールを実現したいと思います。
令和5年5月18日
出典:JAIST お知らせ https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/info/2023/05/17-1.html阿吽の呼吸で癌を倒す! -灯台下暗し:最強の薬は腫瘍の中に隠されていた-
阿吽の呼吸で癌を倒す!
-灯台下暗し:最強の薬は腫瘍の中に隠されていた-
ポイント
- 腫瘍組織から強力な抗腫瘍作用のある複数の細菌(A-gyo、UN-gyo、AUNと命名)の単離に成功
- なかでもAUN(A-gyoとUN-gyoからなる複合細菌)は、様々な癌腫に対して高い抗腫瘍活性を示すだけでなく、近赤外光を照射すると、標的とする腫瘍内で強い蛍光を発現
| 北陸先端科学技術大学院大学(学長・寺野 稔、石川県能美市)、先端科学技術研究科 物質化学フロンティア研究領域の都 英次郎准教授の研究グループは、マウス体内の腫瘍組織から強力な抗腫瘍作用のある複数の細菌の単離に成功した。 |
近年、低酸素状態の腫瘍内部で選択的に集積・生育・増殖が可能な細菌を利用した癌標的治療に注目が集まっている。しかし、従来の癌細菌療法は、基本的には抗癌剤の運搬という、いわゆる従来型のドラッグデリバリーシステムの概念を出ない。また、薬効も十分であるとはいえない。さらに、従来の癌細菌療法は、抗癌活性を発現するためには、遺伝子工学を用いた微生物の操作・改変が必須である。なお、米国や欧州ではヒトへの臨床試験が行われ第3相試験に進んでいる例もあるが、使用される細菌は、多くの場合、遺伝子組換えによって弱毒化したサルモネラ菌やリステリア菌であり、体内で再び強毒化するリスクを常に伴っている。
一方、腫瘍組織内に細菌が存在していることは古くから知られており、近年の研究では、腫瘍の種類ごとに独自の細菌叢が保有されていることが分かっている。また、このような腫瘍内細菌叢が抗癌剤の補助あるいは阻害の要因になっていることも明らかになっている。しかし、腫瘍内から直接細菌を取り出し、細菌そのものを癌の治療薬として活用する研究は皆無であった。
本研究では、マウス生体内の大腸癌由来腫瘍組織から主に3種類の細菌の単離・同定に成功し、これらの細菌にA-gyo(阿形;Proteus mirabilis*1)、UN-gyo(吽形;Rhodopseudomonas palustris*2)、そしてAUN(阿吽;A-gyoとUN-gyoから成る複合細菌)とそれぞれ命名した(図1)。これらの細菌を、大腸癌を皮下移植した担癌モデルマウスの尾静脈に投与したところ、低酸素状態の腫瘍環境内で高選択的に集積・生育・増殖が可能で、かつ高い抗腫瘍効果を示すことを発見した。とりわけ、AUNは、単回投与にも関わらず、A-gyoとUN-gyoの協奏作用により細胞障害性の免疫細胞を効果的に賦活化し、大腸癌、肉腫(サルコーマ)、転移性肺癌、薬物耐性乳腺癌といった様々な癌種に対して強力な抗腫瘍活性を示すことが明らかとなった(図2A)。また、AUNは、生体透過性の高い近赤外光*3によって標的とする腫瘍内で近赤外蛍光を発現することが分かった(図2B)。さらに、マウスを用いた生体適合性試験(血液学的検査、組織学的検査、細菌コロニーアッセイなど)を行った結果、いずれの検査からもAUNそのものが生体に与える影響は極めて少ないことが分かった。
これらの成果は、今回発見した細菌を用いた癌の診断・治療法の基礎に成り得るだけでなく、細菌学や腫瘍微生物学などの研究領域への新しい概念の創出として貢献することを期待させるものである。
本成果は、学際的オープンアクセスジャーナル「Advanced Science」誌(Wiley社発行)のオンライン版に2023年5月8日に掲載された。なお、本研究は、文部科学省科研費 基盤研究(A)(23H00551)、文部科学省科研費 挑戦的研究(開拓)(22K18440)、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 研究成果最適展開支援プログラム (A-STEP)(JPMJTR22U1)、公益財団法人発酵研究所、公益財団法人上原記念生命科学財団、ならびに本学超越バイオメディカルDX研究拠点、本学生体機能・感覚研究センターの支援のもと行われたものである。
図1. AUN(A-gyoとUN-gyoから成る複合細菌)がまさに
"阿吽の呼吸"によって癌細胞を倒している様子(イメージ)

図2. (A) AUNによる抗腫瘍効果(腫瘍は完全消失)
(B) AUNの標的腫瘍内における蛍光特性
【論文情報】
| 掲載誌 | Advanced Science(Wiley社発行) |
| 論文題目 | Discovery of Intratumoral Oncolytic Bacteria Toward Targeted Anticancer Theranostics |
| 著者 | Yamato Goto, Seigo Iwata, Mikako Miyahara, Eijiro Miyako* |
| 掲載日 | 2023年5月8日 |
| DOI | 10.1002/advs.202301679 |
【用語解説】
酸素の存在下および不在下の両方の環境で生存可能な腸内細菌科に属するグラム陰性桿菌(通性嫌気性菌)。運動性、鞭毛を有する数マイクロメートルの棒状の形態を有する。寒天培地上では、Swarming(群化)により独特の波状のコロニー(白色)を形成する特性がある。
酸素の有無に関わらず生存可能な通性嫌気性の紅色非硫黄細菌に属し、運動性のある数マイクロメートルの棒状のグラム陰性桿菌。また、バクテリオクロロフィルから成る光捕集タンパク質を介した光合成を行う。
800~2500 nmの波長の光。とくに700~1100 nmの近赤外領域の波長の光は生体透過性が高いことが知られている。
令和5年5月8日
出典:JAIST プレスリリース https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/05/08-1.html


