本文
プログラムの概要
目的
知識社会に求められる「知的協働能力」
私たち北陸先端科学技術大学院大学は、日本における大学院教育・研究・経営を改革・先導するために創られた日本最初の独立大学院です。1990年の創設以来、教育・研究・経営の分野で様々なイノベーションを実施してきました。本プログラムは、パイロット・スクールとしての本学が、教育分野でのイノベーションとして最近発表した、学生一人ひとりのキャリア目標の実現を支援する「新教育プラン」の一環です。
近年、本学に限らず大学院では学生が多様化しており、新卒学生に加えて、多様な年齢層の社会人学生や、世界中からの留学生が増えています。そのように多様な背景と目的を持って入学してくる彼らを、どう教育して彼らのキャリア目標の実現を支援するのかは、大きな課題です。また、これまで大学院ではグループワークを重視した教育はあまりおこなわれてきませんでしたが、社会の仕事のほとんどは何らかの協働を伴い、21世紀の「知識社会」では多様な専門職種の人たちが協力しながら知識と価値を創造する知的協働能力が求められています。
「多様性」というリソースを活かして
多様性は知識創造には欠かせない条件です。本プログラムを推進する知識科学研究科は、次のような重層的な多様性を有しているという特徴があります。
1) 異なる専門背景を持った教員の教育研究分野の学際的多様性
2) 様々な学部出身者、経験的暗黙知を持つ社会人、新しい学術的知識を持つ新卒が入り交じる学生集団の多様性
3) 男性と女性のジェンダー的多様性
4) 最近の留学生増加による国際的・文化的多様性
そうした意味で、本研究科は「知識社会」が求める知識創造能力を持つ人材を育成するのに誠にふさわしい環境を備えているといえるでしょう。
本プログラムの目的は、そのような多様性を活かしながら、グループワークを通じて知識を創造できる研究者や高度職業人を養成することなのです。
育てる人材
協調性、創造性、コミュニケーション能力を持つ人材
・異分野・異文化の人たちと知識を共有・共創するためのコミュニケーション能力
・組織的に知識や価値を創り出すプロジェクトを企画し、マネージする能力
【卒業後に期待される姿】
博士号取得者
・大学教員、公的研究機関の研究者
・企業が求める「経営のわかる研究者・技術者」
・プロジェクトチームリーダー
修士号取得者
・後期課程進学者
・経営マインドを持つ企業技術者、研究者
・プロジェクトチームで活躍する技術者、研究者
教育内容
次の4つを柱として、上記人材の育成をめざします。
コースワークにおけるグループワークの推進
知識科学研究科が当初から実施してきたコースワークでのグループワーク(学生グループによる事例討議や調査研究など)をさらに推進。異分野・異文化の人たちと協働する能力を学習させます。
スキル教育
- 本学がこれまで行ってきた英語でのテクニカル・コミュニケーション教育に加えて、新たに日本語技術表現教育を実施。知識の伝達・共有のためのコミュニケーション力をさらに高める教育を行います。
- 知の創造・共有・活用の理論・実践であるナレッジ・マネジメント(知識経営)の理論を学びながら、ナレッジ・マネジメントの技術・手法と、ブレインストーミングなどの集団的知識創造手法を習得させ、知識創造を体験させます。
プロジェクトマネジメント教育
実務経験者によるプロジェクトマネジメント教育と、企業でのインターンシップによるプロジェクト現場体験によって、学生にプロジェクトを企画しマネージする基礎的能力を体得させます。
※実務経験者派遣、企業でのインターンシップは、日本プロジェクトマネジメント協会の協力により実現しました。
アクションリサーチ(学生プロジェクト)
学生たちがプロジェクトチームを編成し、地域の組織(行政、企業、学校など)が抱える問題の科学的解決に向けて取り組みます。地域組織との連携、リサーチデザイン、助成申請書の作成、リサーチの実行(文献研究・フィールドワーク)、研究報告書提出・プレゼンまでの一連の知識創造プロセスを体験させます。
※学内の学生向け公募提案型研究助成制度を活用することにより、各プロジェクトは研究助成金を得ることができます。
推進体制
対象研究科・専攻
知識科学研究科 知識科学専攻 [博士前期課程・博士後期課程]
→北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科ウェブサイトへ
代表者
梅本 勝博(うめもと かつひろ) 知識科学研究科 教授(知識科学専攻・社会知識領域)
→北陸先端科学技術大学院大学 研究者総覧 梅本勝博教授のページへ
→梅本勝博研究室のウェブサイトへ
本教育プログラムは、平成19年度文部科学省・日本学術振興会(JSPS)による「大学院教育改革支援プログラム」に採択されています。
→文部科学省 大学院教育改革支援プログラムのページへ
→日本学術振興会 大学院教育改革支援プログラムのページへ