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ガイドタング(guide tongue)

すべての平衡ピン(balance pin) の「ほぞ穴」を広げて鍵盤レバー(key) が自由に動くようになった ら、ガイドタング(guide tongue) を挿入し、ラック(rack) のスロットに差し込んだ状態でも自由に 動くようにする。タング(tongue) はポリウレタン製でシート状につながったまま提供 されているので、ばらばらに切り離さなければならない。タング(tongue) を挿入する 鍵盤レバー(key) 側スロットは多少幅にばらつきがあるから、タング(tongue) を薄くしなければ ならない場合がある。薄くするには、どちらかの平らな面が下になるように作 業台に置き、端が作業台の端からそう遠くない所で止まるようにして、ノミで 表面を薄く削り取る。ポリウレタンは柔らかいから容易に削れる。先の方を少々 削ってやると、ガイドタング(guide tongue) はスロットの奥へ簡単に入っていくはずである。 ガイドタング(guide tongue) と鍵盤レバー(key) 側スロットの位置関係については設計図の部分図CCを参 照のこと。ガイドタング(guide tongue) はしっかりと差し込むが、鍵盤レバー(key) 部品の後端を割らな いよう注意する。接着剤を付ける必要はない。(写真26および27)もしスロット が緩くなりすぎたら、熱湯を少々垂らしてやればまたきつくなる。

ラック(rack) 側スロットに合うようにタング(tongue) を削るには簡単な道具が必要である。 この道具は幅10mm、高さ15mmの角材を材料とし、これを作業台の端の方に固定 して、7mm × 3mm の段をつくる。この段差がタング(tongue) 先を削る際に有用 となる。(付属の図4を参照) タング(tongue) を削るには小刀や鋭利なナイフが便利だ ろう。手順はまず先端から少し離れた部分を軽く削り、それから先端部分を削 り、最後に面取りする。気分としては、まず屋根の形を作り、それからその尾 根を削り取る感じである。鍵盤を裏返して、もう一方の側に対しても同様の作 業を繰り返す。そうしたらラック(rack) 側スロットに差し込んでみて動きを確認する。 鍵盤レバー(key) が自由に動き、かつ左右どちら側にも引っかかりがなくなるまで少しづつ 削っていくこと。(付録の図5を参照)

それぞれの鍵盤レバー(key) を組み込む際には、隣の鍵盤レバー(key) との間隔を端で測り、ほかの 鍵盤レバー(key) と同じように間隔があいているか確認すること。もし間隔が等しくなかっ たら、新しくガイドタング(guide tongue) を付け直す。ガイドタング(guide tongue) にはスペアが沢山用意 されているので心配する必要はない。新しいタング(tongue) を差し込んだら、今度は 一方の側を他方よりやや多めに削って間隔を正す。鍵盤レバー(key) については正面から 見て水平かどうか、ラック(rack) の上面と比べて確認し、必要に応じて平衡ピン(balance pin) を左右に曲げて調節する。鍵盤レバー(key) 部品は高品質のライムから切り出されている が、多少の曲がり・ひねりは避けられない。板が鍵盤レバー(key) の間で切り込みを入れ られているからであり、特にそれぞれの鍵盤レバー(key) がつながっているあたりでそれ が著しい。この段階で鍵盤レバー(key) 前面を水平に調整する理由は、表面に板を貼った 後では鍵盤レバー(key) 間の間隔が変わってしまうからである。鍵盤レバー(key) の高さが不揃いかも しれないが、これは板を貼った後に修正できる。ここでは鍵盤レバー(key) のひねりだけ に注意を払う。水平に調整した結果、隣合った鍵盤レバー(key) が接触するようになるか もしれない。もしそうなったら、間隔が所定通りになるまで接触部分を紙ヤス リで削ること。間隔が広い分には問題ない。もし鍵盤レバー(key) のひねりが甚だしいよ うだったら、後端を正しく合わせたうえ、カンナで削って前面を水平に整える。 このように削ってしまっても、前面に板を貼ればわからなくなるから気にする ことはない。(付録の図17参照) 黒鍵レバー(sharp key lever) も水平にしなければならないが、 これはそれほど重要ではない。

注記: この作業が終わったら、すべての鍵盤レバー(key) を弾いてみて、静かにかつ引っ かかりなく素早く元の位置に戻るかどうか確認する。

鍵盤レバー(key) を取り外す場合は、まず前面を押し下げることにより後端を持ち上げなければ ならない。この角度ならば鍵盤レバー(key) は平衡ピン(balance pin) から簡単に外れる。単に前面 を持ち上げるだけでは平衡ピン(balance pin) から外れない。



Tsutomu Fujinami
Wed Dec 8 11:06:30 JST 1999