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共鳴板(soundboard)

共鳴板(soundboard) の部品は四角形なので、まず胴横木(belly rail) 側を切断する。良い方 の面を選んだら、後端が調律ピン板(wrest plank) の辺に揃うように設計図をかぶせ、 胴横木(belly rail) 側とケース(casework) 前面側のそれぞれについて切断部分の境界線を印 す。設計図の上から尖ったもので突くとよい。穴を目印に鉛筆で線を引き、定 規と小刀でその線に沿って切断する。木目を横切って切断する際には、慎重に 外側から内側へ向かって切らなければならない。なぜなら外向きに切断すると 共鳴板(soundboard) は簡単に割れてしまうからである。組み合わせて大きさを確認し ながら、さらに削っていく。このとき共鳴板(soundboard) はラック(rack) と鍵盤部右側面 (right key cheek) には 密着し、胴横木(belly rail) の側には僅かにせり出すように削る。(この余分部分は接 着後に削り取る。) 調律ピン板(wrest plank) 側には多少隙間をつくる。この時点で 共鳴板(soundboard) は後部と前部ではややきつく組合わさっているが、後に収縮して ゆるくなる。

共鳴板(soundboard) の辺を削ったら、次は設計図に示された部分を薄くする。下側面 は指定された線から角に向かって次第に薄くなるように削る。角では2mmの厚 さとなるように成形する。よく研いだカンナで木目を横切るように一方の端か ら削る。もし共鳴板(soundboard) が割れるのが心配だったら、平らな木辺に目の荒い 紙ヤスリを巻いて使ってもよい。時間はかかるがこの方法でも結果は同じであ る。

取付け前、共鳴板(soundboard) は底板(baseboard) のように湿度の変化に応じて膨張・収 縮する。取付け後は、きっちりと固定されているが、じめじめした天気では圧 力がかかり、また注意を怠ると乾燥した気候では張力がかかる。この張力のせ いで共鳴板(soundboard) が割れることがある。解決策としては、共鳴板保持材(soundbar) を取り付 ける前に、共鳴板(soundboard) を約2mm収縮させることである。この値は通常の気候 の場合である。かなり乾燥した気候だったら(約30%)、1mm収縮すれば十分で ある。もし湿度が高かったら(約80%)、3mmは収縮させた方がよい。 共鳴板(soundboard) をひっくり返して、定規をその上、調律ピン板(wrest plank) 近くに置く。正 確に300mmの距離で短いナイフ傷を二カ所つける。(傷は木目を横切るようにつ ける。)それぞれの傷を丸で囲って、後で見つけ易くしておく。この印のお陰 で収縮の具合を正確に調べることができる。同様の印を胴横木(belly rail) の終端近 くと中間の位置にもつける。結果として3つの組のナイフ傷と鉛筆の印ができ る。そうしたら日光下、もしくは均等に熱を出す電気ストーブの前約1メート ルの位置に置く。 共鳴板(soundboard) が熱源に向かって湾曲したら裏返して、もう一方の側を暖める。 このようして上で指定したように収縮させる。最後にもう一度ナイフ傷の間隔 を確認し、予定通り収縮していたら共鳴板保持材(soundbar) を接着するまでビニール袋に入 れて密封しておく。

共鳴板(soundboard) はきつく取り付けてはいけない。ケース(casework) との間には多少の隙間が なければならず、これはマホガニーの飾りで覆われる。唯一問題となる箇所は 胴横木(belly rail) の前面に沿うところ、外から見える部分である(訳注:胴横木(belly rail) の左側面)。設計図を元に共鳴板(soundboard) の正確な形を印し、木目に沿うところ はよく研いだカンナで削る。木目を横切る際はよく研いだ小刀で削るが、慎重 に一方の端から内向きに削り、絶対に木目に対して直角に小刀を使ってはいけ ない。共鳴板(soundboard) が瞬く間に割れてしまうからである。すべての側面に1mm の隙間ができるまで、共鳴板(soundboard) の調整と取付テストを繰り返すこと。いう までもないが、胴横木(belly rail) 前面にせり出した部分は削らずに残しておくこと。 この部分は共鳴板(soundboard) を接着した後に削り取る。

共鳴板保持材(soundbar) の長さを印すには、部品を設計図の上に載せ、特定の角度で置い て両端を印す。この角度はそれぞれの端が共鳴板支持材(soundboard liners) のほぼ中心に位 置するくらいの角度である。長さを測ったら、ノコギリかノミで両端を垂直に 切断する。部品をひっくり返し、両端部分で厚さ1.5mmになるよう、なだらか に削る。(付属の設計図、図1) 共鳴板保持材(soundbar) を共鳴板支持材(soundboard liners) の正しい場所 に橋渡しするように置き、両端が支持材の表面と揃うよう、共鳴板支持材(soundboard liners) のその部分を 1/4'' のノミで削ってはめ込む。そうしたら両面テープを 共鳴板保持材(soundbar) の両端に貼り、上から収縮させた共鳴板(soundboard) を正確な位置に載せ る。こうすれば共鳴板保持材(soundbar) を共鳴板(soundboard) の正確な位置に貼りつけられる。 共鳴板(soundboard) に共鳴板保持材(soundbar) の両端を鉛筆で印したら、両面テープを剥し、正確 な位置に接着する。このとき接着剤は多めに付けて、共鳴板保持材(soundbar) の下のすべて の部分からはみ出るくらいにする。接着して圧力を加えるため、同じくらいの 高さの角材を150mmほど離して並行に置き、ブロックかレンガを2、3個、その 角材と共鳴板保持材(soundbar) の両方に載るように置く。(写真17) 共鳴板保持材(soundbar) は 共鳴板(soundboard) に対して垂直に取り付ける。乾燥したら共鳴板保持材(soundbar) を設計図に示 したようにほぼ三角形に成形する。道具はよく研いだカンナか、小刀もしくは 紙ヤスリを使う。形はすべての面を厳密に三角形にする必要はなく、適当な量 の木材を取り除けばそれでよい。なおこの時点では絶対に共鳴板(soundboard) を接着 してはいけない。



Tsutomu Fujinami
Wed Dec 8 11:06:30 JST 1999