低温超伝導体サブミリ波検出用新素子の開発

 低温超伝導体接合の強い I-V 特性の非線形性を利用した、ヘテロダインミキサは超低雑音で、100 GHz から 700 GHz 付近までのミリ波、サブミリ波領域で、電波天文学の中心的素子である。動作上限周波数は用いる超伝導体のエネルギーギャップできまり、Nb 素子で 700 GHz、NbN 素子で 1400 GHz 程度である。性能は落ちるが、これらの倍の周波数までが利用範囲である。 このとき、ジョセフソン電流はむしろ高雑音の原因となるので、通常外部磁場を加え抑圧している。しかし、高周波数となるにしたがい、素子面積を小さくする必要があり、このとき必要な外部磁場が超伝導を破壊する近くまで大きくなっている。

 本研究室では以前、バリアに磁性酸化物を用いると外部磁場なしにジョセフソン電流が抑圧されることを見いだした。最近、実用的な薄膜接合でもその製作に成功した。今後、Nb および NbN 接合で非線形性の向上を目指す。

 さらに、高周波化の問題点はミキサーに必要な局発源の確保が難しいことがある。しかし、ジョセフソン接合に弱い磁場を加えることにより、局発源として利用可能であることが示されている。 本素子とジョセフソン接合発振器との組み合わせは容易であり、イメージングアレーの開発を目指す。これにより、観測時間の激減、生体材料などの分光用の使いやすいイメージングアレーを可能にすることと期待している。


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