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現在の社会の発展はコンピュータの性能向上なしには実現しなかったと言える。 特に、インターネットの普及により、膨大な数の人々が日常的にコンピュータを利用するようになっている。コンピュータはモータなどにくらべ、あまり電力を使わないと考えられがちだが、その数、利用度が巨大となるにつれ、全電力消費に占める割合が大きなものとなり、エネルギー問題的にも深刻な問題となることが予想されており、低消費パワーのコンピュータ素子の開発が課題となっている。 本研究室では、超伝導体を用いた新素子開発とそのための基礎研究を第一のテーマとしている。超伝導素子は高速で、かつ現在使われている半導体素子(トランジスタ)にくらべ、飛躍的に低消費パワーであることが期待されるが、コンピュータ実現にはまだ、多くの問題を抱えている。 これらの問題の有力な解決法として、半導体トランジスタに匹敵するもの、超伝導トランジスタ、の開発がある。本研究では、特異な物性を示すペロブスカイトMn酸化物を障壁層に用いることによる高温超伝導トランジスタ実現の可能性の探索とその開発を目指す。 一方、低温超伝導体素子(トンネル接合)は、強く非線形なIV特性をもっている。この非線形性を用いた、ミリ波、サブミリ波電磁波検出器は超低雑音なセンサーとして、電波天文学の中心的素子である。本研究室では、障壁層に磁性酸化物を用いる新素子を開発した。第二のテーマは、この素子の性能を向上させ、最終的にはこの素子が適している超低雑音サブミリ波イメージングアレーの実現を目指す。 遷移金属酸化物は特異な物性を示すまだ未知な部分の多い物質である。 第三のテーマとして、これを用いた高性能熱電材料の開発を目指す。 |