高温超伝導体ジョセフソン接合

 超伝導素子の基本をなすのは、ジョセフソン接合である。これは、超伝導体/絶縁層(バリア)/超伝導体の構造でできており、ふたつの超伝導体間の絶縁層を電子、または、電子対がトンネルすることで電流が流れる。図には、低温超伝導体素子の典型的 I-V 特性を示す。電圧 0 でも流れる電流がジョセフソン電流である。

 接合の性能はバリア材料に大きく依存する。これは、特に高温超伝導体で著しい。良いバリアの発見は重要な課題である。 代表的高温超伝導体である、YBa2Cu3O7-x(YBCO)と本研究で用いるペロブスカイト Mn 酸化物は格子定数が近く、二つは積層膜を作りやすい材料である。

 ペロブスカイト Mn 酸化物(Pr0.5Ca0.5MnO3)をバリアとする高温超伝導体接合の特性を図に示す。YBCO 接合では、低温超伝導体接合のような I-V 特性の強い非線形性はない。素子の高速性を示す IcRn 積が 13 mV を超えるものもあり(通常は 5 mV 程度以下)、作製法を改善すれば高性能素子の可能性があることを示す。

 高温超伝導体接合の構造は図の二つが代表的であり、ランプ型接合は微小接合面積の実現が容易である。現在、ランプ型接合で高性能接合(高 IcRn 積)実現を目指している。


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