フロー外挿予測を用いた,遮蔽,発生領域におけるオ プティカルフロー推定



はじめに


時間的に連続する画像から画像中の動物体を解析する手法として,画像上の画 素毎における動きベクトルを求めるオプティカルフロー推定法がある.
しかし,物体が 次のフレームで他の物体の蔭に隠れてしまう遮蔽領域,また,物体が次のフレー ムで出現する発生領域においては,勾配法では運動の不連続,輝度値の急激な 変化,ブロックマッチング法では,対応点の消失によりフロー推定精度が低下 してしまうという問題点がある.
この問題点を解決するために従来,以下のような手法が用いられている.
従来手法
しかし,上記の手法は遮蔽,発生領域の抽出を行わず,本来ならば遮蔽,発生 領域である領域に,近傍の領域のフロー を割り当てるために,本来動きの不連続がある領域の動きが連結したり,動き の連続性が考慮されていないフロー推定となってしまう.
そこで,本研究では,遮蔽,発生領域を抽出し,遮蔽,発生領域の所属する領域 を決定し,遮蔽,発生領域のフローu, v成分 をそれぞれ座標(x,y)による関数と考え,遮蔽,発生領域のフローをその所属領域から外挿予測することにより, 動きの連続性を考慮した高精度なオプティカルフロー推定をおこなう.

本手法の処理過程



まず,『画像中のどこで遮蔽,発生が生じているのか』 という情報を抽出するために動きの異なる物体 間で遮蔽,発生が生じているという特徴抽出を以下の手順でおこ なう(上図).

処理1.1画素単位で遮蔽,発生領域抽出可能な精度をもつオプティカ ルフロー推定をおこなう.
処理2.推定されたフロー情報から動きの連続性に基づく領域分割をおこな う.
処理3.フロー情報と領域情報を用いて遮蔽,発生領域を抽出する.


遮蔽,発生領域のフローを外挿予測するために『抽出された遮蔽,発生領域 がどの動き領域に属するのか』を決定する必要がある.このために更に以下 の手順で処理を行う(上図).

処理4.抽出された遮蔽,発生領域情報と領域分割情報を用いて遮蔽, 発生領域の所属領域を決定する.
処理5.遮蔽,発生領域の属する領域におけるフローを用いて遮蔽,発生領 域のフローを外挿予測する.


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