京都大学の工学部にいた頃から、学際的な活動に興味をもち、様々な大学と連携してプロジェクトを立ち上げるなどしてきました。当時からエンジニアというより、技術やアイデアを社会に生かしていく仕組みを考えることに関心が高かったですね。大学院に進む際も、学部横断的な内容を自由に学びたいという気持ちが強く、その思いを叶えるべくJAISTを進路に選びました。
私が取り組んだ研究テーマは「地域活性化におけるアイデアの創造と実践」というもので、地域社会を活性化するために提案されたアイデアが継続的に実践されていくための要因を探るものでした。 JAISTに特有なのは、自分で課題を見つけて研究計画をつくる点で、つまり研究における“問い”を自ら設定しないといけないことです。学術的に、かつ社会的にも価値があり、さらに修士の場合は2年間という時間の制約の中で結論を出せること。それらを満たす適切な問いを見いだすことはまさに試行錯誤であり、非常に困難でした。しかし、今こうして会社で仕事をしていると、同じように様々な制約がある中で、正しい問いを見つけ、短時間で解決することを求められます。JAISTでの経験はとても良いトレーニングになったと実感しています。
留学生が多く、各国の文化に触れられたことも貴重な経験でした。考え方や常識の違いを知り、また、例えばお祈りなど宗教的行為も日常的に接して自然に受け入れられる素地ができました。話す人の母国語によりクセの違う英語にも慣れ、多様性に対する柔軟さを得られたのは、ビジネスの上でも役立つ大きな財産になったと感じています。