大学時代、私はナノ分野の最先端にいました。しかし、この研究が世界・未来とどう繋がっているのか見えない。モノ創りが好きな私は、新規な製品を創製し、その製品が社会や人々にどう影響を及ぼすのという革新の一連を捉える学問を求め、模索の結果、知識科学研究科に行き着きました。文理融合の知識を取得するなかで、技術があっても衰退するという現代企業のジレンマを取り上げ、イノベーションと経営を論ずる講義はとくに印象深く、現在の仕事にも役立っています。また、情報系出身の学友が社会へ向ける視点や洞察から影響を受け、グループワークで問題解決に取り組むというゼミ形態は非常に学ぶものが多かった。学びたいという意欲に対してその機会を限りなく与えてくれる環境がJAISTにはありました。
現在の勤務先では再生医療機器の設計に取り組んでいます。私の専門性、そして企業で自ら学んだ知識を携え、希望部署への移動を“説得”した結果です。これも、JAIST 時代に身に付けたノウハウです。
大学院進学を前にして迷う人へ伝えたい。ロジカルに考えて安穏な進路を取るより、好奇心とか興味といった感性や感情で選ぶほうが人生はおもしろい。私にとってJAISTというチャレンジは、明日を拓くための第一歩だったように思います。