高専で電子制御を学び、大学工学部3年に編入、そしてJAISTに進みましたので、理系の道をずっと歩んできたことになります。今でいう“リケジョ”ですね。小学生の頃に、父が初期のパソコンを買ってくれたのも、科学の世界に入るきっかけの一つでした。大学院への進学を考えたのは、学部4年で就職活動を始めた頃のこと。自分にはこれならNo.1と誇れるものもなく、どうしても多数の学生の中の一人に埋もれてしまう。それなら、“レア度”を高めるしかないと、当時は希少だった、女性で理系のドクターを目指しました。
工学部では暗号について勉強していましたので、JAISTでも同じ領域での研究をしたいと思い、情報セキュリティに関わる宮地充子先生の研究室に入りました。そこで取り組んだのは「電子署名」。いわば印鑑を電子化したもので、今の仕事にもつながるテーマです。研究室では週に1回、研究の状況を発表する場が設けられていて、宮地先生から細かな指摘や質問を受け、他のメンバーからも意見が交わされました。そうしたやりとりによって、自分が気付いていない点が見えてくるとともに、問題が生じた時の考え方や解決の手順といった、研究とはどう進めるべきかについての理解が深まり、とても良い勉強になりました。また、プレゼンに関してもスライド等のつくり方や話の組み立て方、言葉遣いなどを学べたことはとても有益で、プレゼンの機会が多い現在の仕事で大いに役立っています。在学当時は気付いていませんでしたが、JAISTできめ細かな指導を受けられたことで、社会で必要な力が幅広く身についたと今は感じています。