研究室の選択と決定
受験前に研究室とコンタクトをとる
JAISTでは,入学後に研究室訪問をする期間が設けられますが,すでに研究したいテーマやそれに関連する研究室にある程度目星がついているという人は,受験前に希望する研究室の先生とコンタクトを取ってみましょう。
先生によっては,オープンキャンパスに参加してみてと言ってくれたり,場合によっては直接研究室に呼んでくれたりします。
そのような機会を得られたら,研究したいテーマについて話したり,研究室のことを聞いたりして,どんどん情報を得ていきましょう。
先生にもよりますが,受験の際に提出する小論文(という名の研究計画書)を添削してもらえる場合がありますし,合格後に事前内定を出す条件とされる場合もあると思いますので,受験前の研究室訪問はぜひ行っておいた方がいいでしょう(おそらくほかの大学院では当たり前のように行われている)。
JAISTには導入配属(仮配属)制度があるので,4月入学の場合,展開配属(正式配属)になるのは夏前になります(他の大学院ではほぼ入学と同時期に正式配属されるのだと思います)。
そのため,新入生が研究室で本格的に活動を始められるのは入学から約3か月後ということになります。
内定が出ているにしろ出ていないにしろ,すでに先生との顔合わせが済んでいて,研究室がほぼ決定している人であれば,入学直後から研究室への出入りもしやすいと思いますし,早めに研究に取りかかることができるのではないかと思います。
受験前に先生とコンタクトを取っていて,入試書類に希望研究室としてその先生の名前を書いた場合でも,研究室訪問を経て違う研究室を希望する人もいます(私です)。
JAISTの導入配属期間にはこのようなこともあるので,ぜひ様々な方法で自分に合っていそうな研究室を見つけてください。
入学後の研究室訪問
JAISTでは,制度のページで紹介しているように,導入配属制度があります。
新入生はこの期間中に興味のある研究室に訪問し,先生とテーマについて面談したり,所属学生と触れ合ったりして,研究室についての情報を得ます。
研究室訪問の期間は入学から約2か月間となっていて,研究室訪問期間の終わりに配属先希望調査票と研究室訪問レポートを提出します。
研究室訪問では,3つ以上の研究室を訪問し,最終的に第1希望から第3希望までを決めて,各研究室の先生方と事務に「研究室訪問レポート」というのを書いて提出します。
配属先希望調査票に加え,このレポートと訪問時の面談などをもとに配属が決められることになります(研究室によっては講義の成績なども考慮するらしい)。すべての希望が通らず,再度研究室訪問からやり直しになる例も稀にあるらしいので,人気の研究室を希望する人は要注意です。
レポートのフォーマットは自由ですが,訪問日,訪問した研究室,学生番号,自分の名前などの必要事項は忘れずに記入しましょう。
レポートの内容は,
- 自分がやりたいテーマの概要
- そのテーマをなぜこの研究室でやりたいのか,なぜこの研究室でできると思ったのか
- 雰囲気など生活面から研究室を選んだ理由
などが書かれていれば十分でしょう(A4用紙1枚以内)。
事前内定制度で内定をもらっている人も,この機会にほかの研究室の雰囲気に触れてみることを推奨します。内定もらってるけど興味があったから来てみましたという人も何人か見たことあるので遠慮せずに訪問しましょう。
内定をもらっている人は,あくまでも「内定」なので,違う研究室に興味が出てきたという場合は変更しても大丈夫です(その際は内定を出してくれた先生に必ず伝えましょう)。
学内進学を考えている人はこの時点で先生に伝えておきましょう(むしろ先生の方から聞いてくることが多い気がしますが)。
進学の意思がある学生にはそのつもりで先生も指導をされるので,もし入学した段階で進学を考えているのなら伝えておいた方がいろいろな情報が得やすいです。
研究室によっては学内進学にあたって独自の条件を課している場合があるので,このような情報も早めに掴んでおくとよいと思います。
※先生方は基本的に忙しい合間を見つけて10人以上と面談します。
書類の締め切り3日前にアポを取ってくる学生が毎年少なからずいるそうですが,ギリギリにアポを取っても面談してもらえない可能性が高いので,早め早めの行動を!
研究室選びのポイント(研究テーマ)
2年間,人によってはもっと長くお世話になる研究室です。人によって何を重視して選ぶかは異なると思いますが,テーマと雰囲気というのは大事なポイントだと思います。
テーマについては,自分のやりたいことをなんとなくてもいいのでとにかく先生に話してみましょう。
その際は,方法よりも特に興味のある現象,問題などについて話すのがよいです。
例が雑ですが,「AIに興味がある」では広すぎるので,AIのどのような現象,問題に興味があるのかを考えてみるとより具体的です。
人によっては,AI自体を研究対象としたい(AIの性能向上など)のか,AIを使って何かをしたい(AIを利用した新手法の開発など)のかを混同している場合があるので,まず自分は何をしたいのかを明確にできるとよいですね。
自分がやりたいテーマがこの研究室でできるのだろうかなどの不安があれば,研究室訪問の段階で正直に「このようなテーマで指導していただくことはできますか?」と聞きましょう。
難しい場合は,よりテーマに合っているほかの研究室を紹介してくれたりします。そういう話にならなかった場合でも,「このテーマに近い研究室をご存じないですか?」とか直接聞いてみるとたいてい関連した研究室を教えてくれます。
あと,研究室訪問の期間中に副テーマ指導教員となってくれそうな先生にも目星をつけておくとあとあと助かります。
研究室選びのポイント(雰囲気)
研究室の雰囲気も研究室選びの上では大事な要素なので,先生にお願いするなどして所属学生の生の声を聞かせてもらうとよいです(できれば先生には席を外してもらった方が本音が聞きやすい)。
どんな行事があるとか,先輩と後輩の仲は良い方かとかいろいろ聞きたいことはあると思います。気になることはできるだけ早いうちに聞いておきましょう。
また,各研究室で行われるゼミは,研究室ごとにかなり雰囲気が異なっています。
多くの研究室で正式配属前であってもゼミに参加させてくれると思うので,研究室訪問時に先生にお願いして実際にゼミを見学させてもらうという人が多いです。
ゼミの雰囲気も研究室選びにおいては重要な要素だと思うので,ぜひ一度見学させてもらうとよいでしょう。
正式配属の時期と配属後のこと
研究室訪問期間が終了し,希望研究室を届け出ると,教授会を経て展開配属先が決定されます(JAISTでは正式配属のことを「展開配属」と呼びます)。
展開配属先が大学から発表されるのは入学から3か月後になります(4月入学の場合はだいたい6月末です)。
配属先が大学から発表されるまでには結構時間があるので,先生によって正式発表前に配属決定を知らせてくれる場合があります。その場合は,ゼミへの早期参加を促されたりするので,アナウンスがあったらぜひ参加しましょう。
展開配属になると,研究室管理者から研究室でのルールなどいろいろと説明を聞くと思いますので,その指示に従いましょう。
だいたい各研究室では展開配属先発表後にこういうことをやっていると思います。
- 導入配属先から展開配属先への引っ越し
- 研究室のカードキー登録(要学生証)
- 個人ブースの決定(研究室によっては強制的に決められる)
- クラウドサービス(J-storage)への登録
- 連絡ツール(SlackやML),カレンダー等への登録
- 初回ゼミで自己紹介(これまでの履歴や興味があること,趣味特技などを発表)
- 新入生歓迎パーティ
- 新M1が取り組む課題の発表(指定図書や論文を読んだレポートを書けとかが多い)
目指す学位の選択(知識科学系)
知識科学系の研究室には,知識科学の学位を目指す学生と情報科学の学位を目指す学生が混在している研究室がいくつかあります。
これは,知識科学系教員の研究室に所属していても情報科学の学位を取得することができるようになっているためです(一応制度の上では情報系(マテ系)研究室所属で知識学位を目指すこともできるはずですが聞いたことはないですね)。
知識科学系研究室所属で情報科学の学位を目指す場合には,知識科学の学位を目指す場合とは異なっている点があるので注意が必要です。
まず,修了に必要な単位は情報科学系の科目を中心に履修して修得しなければいけないことになっています。JAISTでは目指す学位によって科目の扱いが変わるので,知識科学系研究室に所属していたとしても情報科学の学位申請に準じた単位の数え方をしなければいけません。
また,学位論文の最終審査では情報科学系教員2名以上を含む3人の先生方が審査に当たります。そのため,知識科学系教員とは異なる視点から問題を指摘されることも多々あり,ゼミなどでの想定質問で対策がしづらいといった点があります。
実際に情報科学の学位を目指すことができるかどうかは,配属希望先の先生に聞いてみるのが一番確実です。研究室によってはOBOGの取得学位をウェブページで公開している場合があるので参考にしてみるとよいと思います。
他研究室への移籍
研究室選びは先生との相性の問題もあります。短時間の面接だけではなかなか合う合わないを本質的に見極めることは不可能です。
配属後どうしても合わないと思った場合は,他の研究室に移籍することもできます。
ただ,移籍は最終手段なのでよく考えた上で申し出ましょう。
移籍すれば研究テーマの変更はほぼ避けられません。そうなった場合に,標準年限で修了できるかどうかなどシビアな問題もあるので,必要なら第三者に相談して本当によくよく考えてから結論は出してください。