何よりも大学院へ進学する意義は、知の創造という自己実現の手段を獲得できる点にあるでしょう。専門分野の研究活動に従事することを通じて、自ら課題を設定し、探究し、解決策を導き出すという研究スキルを身に付けられるのは、大学院の持つ最大の魅力の一つといえます。ワンランク上の専門性を身につけるとともに、高い学識や能力を証明する「修士号」や「博士号」という称号を得ることもできます。
現在、理工系においては、産業界等で研究開発を担う専門人材となるためには、修士号の取得が標準となりつつあります。また、文部科学省による令和4年度学校基本調査によれば、博士号取得者の約60%が大学等の教育機関や学術研究機関以外の業種へ就職しており、社会全体において博士号取得者の能力を生かせる可能性が拡大し、活躍の場が多様化していることがうかがえます。
大学院への進学は、国際比較の観点からも重要です。日本を除く主要国における博士号取得者数は近年急激に増加しており、人口100万人当たりでみると、我が国が123人にとどまっているのと比べて、英国340人、ドイツ338人、韓国317人、米国285人となっており、今や業種や職種によっては、国際社会で活躍するためには博士号の取得が必須となってきています。
(出典)文部科学省科学技術・学術政策研究所、科学技術指標2023、調査資料-328、2023年8月
また、大学院へ進学するメリットの一つに、経済的な効果があります。一般的に大学院教育を受けた者の生産性は大卒者よりも高く、生涯所得も高いとされています。内閣府経済社会総合研究所が2014年に発表した論文によると、大学院修了者の平均生涯所得は、大学卒と比べて男性の場合は4,846万円、女性の場合は4,334万円高くなっています。
(出典)「大学院卒の賃金プレミアム ―マイクロデータによる年齢-賃金プロファイルの分析―」(2014)、柿澤寿信ほか、ESRI Discussion Paper Series No.310
大学院という新たなステージへ、一歩踏み出してみませんか。