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人工タンパク質合成システムの開発

 20種類の天然アミノ酸以外のアミノ酸(非天然アミノ酸)をタンパク質へ導入するために、拡張コドンを非天然アミノ酸に割り当てた人工タンパク質生合成システムの開発を行なっています。例えば、導入部位のコドンを4塩基コドンCGGGへ置換した遺伝子を作製し、その一方で、対応する4塩基のアンチコドンCCCGを持ったtRNAを合成し非天然アミノ酸を結合させておきます。これらを大腸菌の抽出液などを用いた無細胞タンパク質合成系へ加えることで、目的部位に非天然アミノ酸を含むタンパク質を合成することができます。これまでに、様々な4塩基コドンが使用できることを確認しており、さらに5塩基コドンも正しく翻訳されることを見い出しています。



タンパク質の構造機能解析のための
新規手法の開発

 4塩基コドンを用いた非天然アミノ酸の導入法を用いて、タンパク質の構造と機能を調べるための新たな方法論の開発を行なっています。特に、蛍光標識アミノ酸をタンパク質へピンポイント導入する手法や、2種類の蛍光標識アミノ酸を導入して蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によりタンパク質の立体構造を解析する手法を開発しています。





人工機能タンパク質の創出

 4塩基コドンを用いた非天然アミノ酸の導入法を用いて、タンパク質へ様々な人工機能の付与を行なっています。これまでに、特定分子に特異的に結合するタンパク質に蛍光性非天然アミノ酸を導入することで標的分子の有無を蛍光により検出したり、光応答性非天然アミノ酸を導入することでタンパク質の機能を光で制御することに成功しています。また、そのような人工機能化を行なうための新規非天然アミノ酸の開発を行なっています。

(下図)抗リゾチーム抗体の抗原結合部位近傍に存在する99位のアスパラギン酸をo-ニトロベンジルアスパラギン酸に置換することで、紫外光照射により抗体の活性を"off"から"on"にすることができました。