英会話の練習,ネイティブの人にゆっくり話してもらいたい.でも,言い出せない.どうしよう.
英会話の練習などにおいて,英語の母語話者と英語の初学者が会話することがあります. そんなとき,英語母語話者は初めのうちは気をつかってゆっくりわかりやすく話してくれたりもしますが,会話が進むにつれて次第に普段のペースで話すようになってしまい, 初学者がそのスピードについていけなくなり,話の内容が理解できなくなるという事態がしばしば生じます. そんなとき,英語母語話者の話に割り込んで「すみません,もっとゆっくり話して下さい」と言えればいいのですが, 特に初学者にとっては,そうやって割り込んで発話すること自体が難しいのでs. こうして,英語に対してますます苦手意識を持つようになる人がたくさんいると思われます.どうにかこの問題を解決できないものでしょうか.
DAFlingual は,聴覚遅延フィードバックを利用してこの問題を解決します. 聴覚遅延フィードバック(DAF)とは,話者に対して,発話中にその発話音声を200msecほど遅らせて聞かせると,流暢な発話を続けることが難しくなり, 間延びしたりどもったりするようになる効果のことを言います. つまり,この効果を利用すると,速いスピードで話す話者の発話スピードを若干遅くすることができます. そこで,英語母語話者にヘッドフォンとマイクを装着してもらい,発話音声を遅延させてヘッドフォンから出力して英語母語話者に聞かせるようにした状況で, 英語母語話者と英語初学者が会話する実験を行いました. 結果として,被検者によって差異はあるものの,特に聴覚遅延フィードバックが無い状況から有る状況に切り替えた条件において, 聴覚遅延フィードバックによって英語母語話者の発話速度が低下したり言いよどみが生じたりして,英語初学者が割り込むタイミングが生じる可能性が示唆されました.