博物館に1人で行くなんてもったいない!みんなの視点を活かせば知識がもっと広がりますよ.
世界には,たくさんの博物館や美術館が存在し,それぞれに非常に特徴のある展示を行っています. 旅行に出かけた際,訪れた場所にある博物館や美術館を訪れることを楽しみにしている人も多いのではないでしょうか. 訪問者は,それぞれの知識や興味に基づいて,展示を見学します. そのため,自分の知識や興味から外れた展示物については,ほとんど注意を払わないこともしばしばあります. まさに今,目の前に自分の知識や興味を深め,広げてくれる有益な情報があるというのに素通りしてしまうなんて,あまりにももったいない! なんとかそんな「注目対象外」の展示物に対する興味を惹き付ける手段は無いものでしょうか.
Synergistic Museum では,一緒に博物館や美術館を訪れる「同行者」に注目しました. 皆さんも,友人などと一緒に博物館や美術館を訪れたとき,自分があまり興味を持てなかった展示物に対して同行者がふともらした感想に,目から鱗が落ちた経験はないでしょうか? 本研究では,このような,同行者が持つ,自分には無い視点の獲得を促進するためのシステムを構築しました. まず,最初の見学時には,訪問者はそれぞれに「視点入力用のスマホアプリ」を使いながら展示を見学します. このアプリでは,各展示物について「すごい」「びっくり」「いいね」「すてき」「はてな」などの直感的な印象を1クリックで入力し,保存することができます. 見学を終えたら,カフェなどに設置されている「視点交換用のWebアプリ」を同行者と一緒に見て,お互いにどの展示物にどのような印象付けをしたのか,なぜそんな印象を持ったのかなどについて雑談することにより, 互いが持つ視点を交換し,新たに興味を持った展示物を「お気に入りリスト」に登録します. その後,スマホアプリを使用してお気に入り登録した展示物を中心に,再度展示を見学します. これによって,1人だけで見学していたのでは得られなかった新たな知識や興味を,同行者の視点から獲得することができるようになるのです.