Knowledge Co-creation Award
 

共創賞

『 KBMに基づいた,医療・介護職間の危険予知トレーニング 』
KBM based Kiken-Yochi-Training for Care Staff and Medical Staff
神山 資将1),佐々木 由惠2)
1) 一般社団法人知識環境研究会, 2) 日本社会事業大学

【PDF(730KB)】

2013年度FoKCs共創賞論文は編集委員会が定めた複数の評価者による厳正なる論文評価のもと,上記論文に対して与えることを決定致しました.本賞はFoKCsにおける知識共創を促進させ,論考の質向上はもとより,参加者とともに知識科学を深化させることに大いに寄与したと評価される報告に対し与えられるものです.

ものごとを見る目は,その人の知識バックグランドによって異なることは,良くあることです.この論文は,そうした違いを医療職と介護職の間に見出し,医療を必要とする人へのサービス向上に向けた,相互理解トレーニングの取り組みを報告しています.具体的には,介護サービス提供上での様々な危険状態予知するトレーニングプログラムを実験的に構成・実施し,その結果得られたデータから介護職・医療職の間にどのような認識の違いがあるかをテキストマイニングにより示しています.得られた知見は更なる考察が必要といえますが,現場で生じているタイムリーで深刻な問題を研究テーマとして設定し,現場の知識ギャップ埋めていくためのモデルまで提案できていることは本研究の大きな成果といえます.なお,FoKCsでの研究発表を通じた知識共創からは,そのモデルに新たに追加すべき要素について指摘がありました.筆者らは,それをもとにモデルにループの要素を追加したことで,より現場実践において具体性のある提案をしています.加えて,共創の成果を今後の実験計画に活かすことも検討されており,本フォーラムが目指している知識の共創が十分に行われていることが認められ,共創賞として相応しい論文といえます.