Nonaka'90(Y.Hayashi)
日本的「知」の方法論とシステムの再構築
<経営システム変革>
暗黙知と形式知との循環を生産システムだけでなく, 経営システム全体に拡大 させることや, 日米の共同開発などでの異種交配による相乗効果を追求することが求められる.
<個の確立>
今後の日本企業にとっての最大の課題は, 「組織における個人の尊重の実践」である. 以下に, 個人の知を豊かにするマネジメントを示す.
専門性の確立:
深い専門性を持った人材の育成
が可能なキャリア開発を計画的に行なうこと.
知的リーダーの開発:
組織成員全体の質を高めると同時に, 知的エリートの資質を持った
高質の人材の選別
を行なうこと.
その資質とは, 自らの目的意識, 多次的な方法論が駆使できる能力, 品性(美や本質への追求心), 人間としての信頼性, 議論を建設的にリードする能力, 歴史に基づく未来への展望能力 などである.
豊かさを実感できる配分:
低すぎたホワイトカラーの知的労働の価値評価を改め, 活力, やる気を 生み出せるようにすること.
豊かな暗黙知の熟成:
個人に豊かな原体験を与える場の提供や環境整備, 専門に関する知的教育,
異端の許容
, 健全なる懐疑主義(冷静な客観視)の獲得,
市民性の回復
(脱ブルーカラー化)などが必要.
林 幸雄
(yhayashi@jaist.ac.jp)
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