日本的「知」の方法論とシステムの問題点
論理より経験を重視し, 品質とコストを究極の価値とする, ブルーカラーの生産現場
での集団によって, 情報創造を促進する組織論.
これは, 集団的な暗黙知による「平民の知の方法論」と言える
( 「知」の方法論の日米比較を見よ).
<問題点>
- 同質化競争:
- 製品の概念(コンセプト)による差別化より, それを形にするコスト
効率の競争という, 「他社志向」症候群というべき競争を展開.
限りないコスト効率の競争に陥る結果,
人間が疲弊し, 社会的コストが増大する
- 本質の追求の阻害:
- 効率主義は, 微細な改良に留まりやすく, また異常を見ることを
ルーチン化するので,
日常の世界で深く本質を見たり, 普遍的なものを
追求する方法論を定着させがたい.
- 集団思考の妥協性:
- 集団思考は, 優れた個が主張を貫くことを
阻害し, 妥協を生じさせる.
また, 問題が発生した時に, 全員が動き回らねばならない.
- ライン志向のキャリア形成:
- 階層的昇進を基本としたゼネラリストを志向する.
林 幸雄
(yhayashi@jaist.ac.jp)
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