Nonaka'90(Y.Hayashi)

近代組織論

下記のいずれも, 人間の諸能力の限界に立脚し, 組織を問題解決システムとして概念化したトップダウン的情報処理の理論である.

これは, 形式的で論理的な「貴族の知の方法論」と言える ( 「知」の方法論の日米比較を見よ).

名称 特徴
バーナード理論 意思決定において個々人の行動知や能動的精神の役割を重視したが, あくまで人間の諸限界への対応策で, 創造性を問題にしてない.
サイモン理論 情報と知識の徹底的な形式化. 非言語の世界や暗黙知の捨象で, 現実の意思決定の重要なことを見落 とす.
コンティジェンシー 有効な組織化の方法は環境特性に依存するという考え方. あくまで過去の経験から蓄積された「データの分析」に頼るもの.
ゴミ箱モデル 教育機関の公的組織の分析による理論で, 組織の 「曖昧さ」に着目しているが, 企業組織に当てはまるか疑問.

<求められる組織論>

環境の変化にダイナミックに対応する組織は, 情報処理を効率化するのみならず, 革新への思いを持って知識や情報を「創造する」組織である.

それには, これまでの多様性を削減して均衡を達成する組織イメージから, 主体的に多様性を増幅させ, 既存の知識を破壊し, 新たな思考や行動様式を創造することによって, 自らを変革する組織のイメージへと視点を根本的に変えなければならない.


林 幸雄 (yhayashi@jaist.ac.jp)
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