Kaneko'92(Y.Hayashi)

表裏一体の情報のvulnerability(ひ弱さ)と力

<揺らぐ希少性と所有権>

(何回使っても減らず, コピー可能な)情報は「無限」に存在しうるのであるから, 資源として情報をみたとき, 「限られた資源を競って手に入れることで優位性を確保 する」という, これまでのアプローチをとる必要がなくなる可能性がある. また, 資金や物品を「もつもの」と「もたぬもの」に区分することでできる序列に よって経済秩序をつけるという従来の考え方も, これまでのような妥当性を失う可能 性が出てきた.

さらに, 情報は, 「与えることで, 与えられる」という特性を持っている. われわれが 「動的情報」 と呼んだ考え方によれば, 情報の意味や価値は, 情報を隠すことからは生まれず, 情報を積極的に開示し, 相手とのつながりをつける ことによってしか, 発生しないから. 但し, 自分から情報を提供することは, 人を他人から攻撃されやすく, 傷つきやすく する「vulnerability」を持つが, それは情報の力と表裏一体となる.


<企業と情報>

実際の経済を動かし, 企業活動を有効なものにしているのは, 企業がその統制下に 収めている静的情報ではなく, 企画, 製造, 販売などの 実際の場面で, ことにあたる「当時者が」が, 他の人びとや状況の中で獲得する動的な情報なのである.

情報を内部化し, 蓄積することでは, 動的情報は得られない. 動的情報を発生させるには, すべての要素を内部に取り込むことではなく, 企業の外部とのダイナミックなつながり, つまり, ネットワーク, を形成してゆくことが必要である. 企業活動によって本質的なのは, したがって, 静的な情報を権限によって支配することではなく, 動的情報を発生させるネットワークプロセスの渦中に, 自らかかっわてゆく ということである.


<ネットワークとは>

[金子92]より引用.


林 幸雄 (yhayashi@jaist.ac.jp)
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