オンラインでコミュニケーションを取る際、従来のような顔映像を共有する方法だと圧迫感を感じたり、顔映像のみなので会話に繋がりにくいと思います。
そこで、物理的なオブジェクトの持つ力を借りてオンラインでも円滑に雑談を行えるように支援をします。
物理的オブジェクトの役割
雑談を誘発するにあたって物理的なオブジェクトには次ような役割があると思われます。
■物理共通空間に行く・居座りやすくさせる役割
現実世界だと共通の空間に居合わせることでコミュニケーションが発生している。その空間に居座りやすくさせるために、空間内のオブジェクトを触ることがある。
例)共通の空間で会話が発生していないと居心地が悪いが、空間内の雑誌を読むことで居座りやすくさせる。
■話題提供の役割
現実世界だと、手に持っている物理的オブジェクトが話題になることがある。
例)手に持っているアイスを見て「そのアイスどこで買ったの?」など、オブジェクトがトピックになる。
提案システム
顔ではなく、それぞれ好きな物理的オブジェクトを配信することで日常的な雑談を行う、ビデオチャット・テキストチャットのハイブリッド型を開発しました。
システムではオブジェクトの機能をそれぞれ反映しました。
居座りやすくさせる機能 ⇨ 他人の配信している映像
(誰がどんな映像を配信しているのか興味を沸かせ、画面を見やすくさせる)
話題提供機能 ⇨ 誰かが配信したオブジェクト映像
(個人のオブジェクトが会話を誘発させる)
結果
顔投影時とオブジェクト投影時で圧迫感や映像を共有する抵抗感があるかどうか確認したところ、
オブジェクト投影時の方が圧迫感・抵抗感が少ないこと
会話分析したところオブジェクト由来の雑談が発生していること
がわかりました。
今後は視線による興味推定を更に活用することや、文字ではなくオブジェクトを活用したコミュニケーションを提案することで、より雑談を発生させることができるのではないかと考えています。
執筆者:犬伏