僕が1996年に見た映画のいくつかについて、感想およびデータ。
1995 スペイン 1h38
監督: カルロス・サウラ
撮影: ヴィットリト・スタラーロ
出演: パド・デ・ルシア、ホアキン・コルテス、メルチェ・
エスメラルダ
フラメンコの舞台20幕を撮ったもの。はじめ、楽屋からがやが やと人がステージに集まって来て、手拍子、足拍子、カスタネットなどが徐々 に重なっていき複雑なリズムを形成していく。そこへ重なる女性ボーカル。ガー ンと、頭から足の先まで伝わる衝撃。全身が震えてしまうような情熱。フラメ ンコって素晴らしい!
撮影も単なるライブ撮影なんかではもちろんなく、りっぱに映 画に仕上がっている。でも、幕間がほとんどなくハイテンションのフラメンコ が続くので、つかれちゃいます。
1968 ソ連 1:13
監督: Sergei Paradjanov
撮影: Suren Shfbaziyan
音楽: igran Mansuriyan
出演: Aofiko Chiaureli (青年詩人・詩人の恋人・尼僧・
天使・パントマイム)
The Internet Movie Databaseのなかの Sayat Nova のペー ジ。
まさに映像による詩である。この監督はストーリー自体には それほど重きをおいてないのであろうなと思います。 映像の美しさ。音楽の響き。全体から感じとれる崇高さ。 そういうものがすばらしく調和して、まさに芸術作品に しあがっている。
ストーリー自体を重視しないという意味で、乱暴な比較を行なって しまうと、ウォン・カーワイもそういう映画作りをする。 彼の映像もそれなりにきれい、というよりスタイリッシュ。 そしてその背後にあるのは、なんといっても「恋」 (けっして「愛」ではなく)と単純な「かっこよさ」である。 パラジャーノフは、映像の美しさではピカイチ、僕はタルコフスキー くらいしか比肩するものを思い浮かべられない。背後にあるのは、 「愛」である。それは「男女の」ではなく、ロシア正教的な 救いであろう。それが彼の作品を崇高なものにしている 基本ではないかと思う。
1996 日本
監督: 大木裕之
脚本: 伊藤清美、大木裕之
音楽: ジョン・ゾーン
出演:
兄=トモキ 田口朋毅
妹=アキコ 大杉暁子
父=ヒロミ 大木裕之
母=ヒロミ フジタヒロミ
K 伊藤清美
Kっくん Kっくん
The Internet Movie Databaseのなかの Sayat Nova のペー ジ。
演技の下手な素人の俳優たちがやりまくっている (ほんとにしているわけではないが)変な映画。
自分で宇宙人だと思いなやんでいる娘が、その悩みを家族に打ち明けてみると、 実は一家まるごと宇宙人で、"みんなで宇宙に帰ろう"ということになるが、そ の娘は愛する人と暮らすために地球に残るというような話なんだが、結局なに を言いたかったのかわからなかった。
監督: 北野武
出演:
すばらしい!今年一番の映画だった。
人生があまりうまく行かないこと、すれ違い。
少年達の繊細な感情をうまく表現している。
恥ずかしながら、北野武の映画をちゃんと見るのは
初めてなのですが、こんなにいいとは思わなかった。
今までのもチェックしよう。
新人の俳優の目がすごくいいです。死んでない目。
ずっとあの目をしていて欲しい。
1986 ソ連
監督: ゲオルギー・ダネリア
The Internet Movie Databaseのなかの Kin-Dza-Dza のペー
ジ。
ほんとに何でもあるページだな。データだけだけど。
ソビエトのSF映画といえば、アンドレイ・タルコフスキーの
名を思い浮かべるのですが、これはタルコフスキーのような
繊細で美しい画像、神への、そして人類への愛、といった
ものとは全く違う。
突然、砂漠の惑星キン・ザ・ザへ瞬間移動してしまった
二人の男性が、なんとか苦労して地球に帰ってくるまでのはな
し。
階級の違う星の出身の人は鼻に鈴をつけるとか、赤いステテ
コや黄色いステテコをはいた人がえらいなど、変な社会。
で、お役人には絶対服従。でも、赤いステテコは、マッチ棒2
本で買えるらしい。 結構、階級社会批判が入ってる感じ。
しかし、あの「クー」という挨拶は忘れられないなー。
監督: ギャスパー・ノエ
出演: フィリップ・ナオン、ブランディーヌ・ルノワール
フランス映画のページ。フランス語が読める人はどうぞ。
「奇妙で残酷な映画でフランスで若者が絶賛!」と 書かれていたので、見に行きましたが。ほんとに絶賛したの? と思った。「奇妙で残酷」なのは確か。
1971 イギリス
監督: James Bidgood
出演: Bobby Kendall
The Internet Movie Databaseのなかの Pink Narcissus のペー ジ。
こんな映画のデータまであるとは。 ジャンルは erotica/homosexuality に分類されてます。
監督不明の変なゲイ映画で、はっきりとしたストーリはない。
ナルキッソスが自分の世界に浸ったり、トイレで男と絡んだり。
しかしこれは映画館に座ってみるようなものではない。
なにかのイベントのゲイ・ナイトとかクラブなんかで
かかっていて、ビール片手に見るとはなしに見ながら、
話しのネタにするのはいいかもしれない。
こういう映画だからボカシがたくさん入るのだけど、
やっぱりかなりうっとうしい。別に見たいわけではないが、
画面が乱されて見にくい。不愉快だった。
この日は上記の「CARNE」と2本立てだったので、とっても疲
れ。下高井戸の飲みや「海晴亭」でベルギーの白いビールを飲
んで帰りました。
監督: 岩井俊二
出演: CHARA、浅野忠信
最近話題の岩井俊二。結構まわりでも絶賛されてるので、 どんなものかと思って見てみました。岩井俊二って普通の人で すね。たまに画面の作り方がうまいというか、おしゃれという か、そういうところはあるけど、不要な場面もたくさん。 でも、チャラはとってもいい。CDを買ってしまいました。 浅野忠信もかっこいい。
監督: 岩井俊二
出演: 浅野忠信、芳本美代子
ほとんどTVドラマ。こんな映画ばかり作ってていいのでしょう か、日本映画は。 しかし、この映画をつくるインスピレーションを 与えたといわれる、Chara の "Break These Chain" という 曲はすばらしい。
監督: テリー・ギリアム
あの「未来世紀ブラジル」のテリー・ギリアムの新作! と思って気合い入れて見に行ったら、単なるハリウッド 映画になってた。風刺とか暗示とかはそれほどなく、 荒いストーリー。すっごくはらはらさせたりするところも ないので、2流のハリウッド映画かも。そんな映画だし、 映画館もシネマサンシャインなんで、観客の質も悪かった。 でも、実は最後のシーンに鍵があって、僕は見逃してしまって いたらしい。それを見逃すと後味のあまり良くない映画である。
監督: ブラザーズ・クエイ
あの「ストリート・オブ・クロコダイル」のクエイ兄弟の新作 です。いままでは人形アニメだったけど、今度は初の実写。 なんかフェティッシュな暗い世界を作っていて好感。気持ち良 く見れた。でも「ストリート・オブ・クロコダイル」ほどは 良くはなかった。
監督: パトリシア・ロゼマ
出演: パスカル・ビュシエール、 レイチェル・クロフォード
OCTOBER FILMS のなかの、WHEN NIRHT IS FALLING のページ
ゲイ & レズビアンの運動に関するリンクもあります
内容に触れる部分があるため、読みたい人だけどうぞ。 →
1994 香港
監督:ウォン・カーウァイ
出演:ブリジット・リン、トニー・レオン、金城武、フェイ・ウォン
やっぱりうわさ通り「香港版トレンディードラマ」。 2つの恋愛に関するエピソードからなる映画ですが、2つの話の つながりがあまりにもない。
余談だが、「金城武」という俳優は、 「かねしろたけし」と読むらしい。僕ははじめ韓国人の俳優で 「きんじょうぶ」と読むと思っていた。
もうすぐ(96年夏)この監督の新作「天使の涙」が日本で公開されます。 色とスピード感とポップさがよさそう。
1991 香港
監督:ウォン・カーウァイ
出演:
Wong Karwai Page in Pacific Cinematheque