紙ヤスリを作業台手前の方にテープで貼り、ローズウッドでできた部品を木目 に沿って縦に動かし、上面と側面、および前面を滑らかにする。最初は中程度 の粗さのサンドペーパーから始めて、後で細かいペーパーを使う。この作業で 使ったサンドペーパーは、他の部品につかってはならない。ローズウッドの屑 のせいで色が着いてしまうからである。上面と正面の角は心持ち丸めて、鍵盤 の触感を滑らかにする。
黒鍵 は、部品の状態そのままに表面が水平になるように取り付けてもよい が、元の楽器では設計図にあるように斜めになっている。難しい作業ではない ので、同じようにしてもよいだろう。黒鍵 を取付け時の向きにし、後部に 下面から2mmの位置に線を引く。印をつけるゲージがあると正確にできるだろ う。そうしたら、裏返して後部で止まって動かないように置き、その面をカン ナで削る。(付録の図11を参照) 後部から削り始め、2mmの線まで削る。正面 の方は約2mmの幅で、元々の下側面を削らずに残す。下側面にカンナの削り跡 が残っても気にすることはない。
黒鍵レバー(sharp key lever) を元の位置に戻して鍵盤レバー(key) と一緒に楽器に取付け、最初の黒鍵レバー(sharp key lever) に接着剤をつける。前後に何度か動かして接着剤を延ばし、左右両側に余分な 部分が均等に出るよう、正面には1mmの余分が残るようにして接着する。もっ とも良い方法は、厚さ1mm、幅約8mmの木製または金属製の「隙間ゲージ」を用 意し、余白として残すべきところに差し込んで、黒鍵 を強く前方へ押して いる間、それより先へ進まないようにするやり方である。
この隙間ゲージは、また左右の余分部分を確認するためにも使えるが、その際 には目で見て簡単に確認できるだろう。接着した部品、すなわち黒鍵レバー(sharp key lever) と ローズウッドは両方とも厚みがあるので、曲がったり、分解してしまう恐れは まったくない。したがって、部品はクランプを使わずに接着してよい。もしど うしても完全を期したいのであれば、それぞれの黒鍵レバー(sharp key lever) を取り外して、張 り合わせた部品を前と後ろでマスキングテープでぐるぐる巻にし、もう一度、 元の位置に戻して接着部分が動いていないことを確認してもよい。