小箱(訳注:楽器の左端手前部分)の蓋(lid)の部品はカンナをかけてケースと 鍵盤部左側面部分(left hand key cheek) の間で開閉できるように調整しなければならない。蓋が開閉するに は、一方の端は設計図にあるように丸め、もう一方は指かけ用にノミで削らな ければならない。鍵盤部左側面部分(left hand key cheek) とケース(casework) 左とで形づくられるこの箱は、ケー スのうちもっとも脆い部分なので、もし望むなら小さな角材を低音弦系結横木(bass hitchrail) のキャッピング(capping) と同じ高さで箱の(内側)前面に取り付けて補強してもよい。その 場合、小箱の蓋(box lid) の後端は完全な半円形に丸めなければならない。蓋を注意深く 正確な位置に置き、心軸の位置を半円形の中心に対して正しく印す。そのため にはまず、1.5mm径のドリルでケース(casework) 左側から穴をあけ、蓋の側面に浅く 穴をあける。鍵盤部左側面部分(left hand key cheek) からも同じように穴をあける。小箱の蓋(box lid) を取り外し、 丸まった端からノコギリで細く切れ込みをいれ、その二つの浅い穴をつなげる。 (付録の図2を参照)
このノコギリの切れ込みは一方の側からもう一方へドリルを誘導するためのも のであり、目的を達したらマホガニーの木片を接着して埋める。この切れ目の せいで蓋の強度が弱くなることはない。なぜなら切れ目は木目に沿っているし、 またいずれ埋められるからである。蓋を取り外す場合は、単に心棒を押し出せ ばよい。
注記: 楽器を掃除して最終的に塗装するときに備えて、この段階ではまだ蓋 を取り付けない方がよい。