研究内容
携帯電子機器が小型化される一方で、必要な電力は増加しており、実際のデバイス開発では、限られた寸法内で電源の出力密度をより高くすることが望まれています。リチウムイオン電池の出力密度は400 - 800 mWcm-3程度であるのに対して、固体高分子形燃料電池(PEFC)のそれは、800 mW cm-3以上と言われています。燃料電池が水しか排出しないことはよく知られていますが、燃料電池の出力密度がリチウムイオン電池のそれと比較して2倍以上になる事は、あまり知られていないことと思われます。そんなことよりも、リチウムイオン電池の使い勝手は魅力的なものです。
我々業務従事者らは、ナノ・サブマイクロメートル領域における固体内のプロトン伝導性がバルクのそれと比較して最大で1000倍以上も向上するプロトン伝導促進現象(ナノプロトニクス現象)の研究を進めると共に、それを応用した燃料電池を作ることを目指しています。具体的には、トップダウンプロセスであるインプリント技術およびボトムアッププロセスである自己組織化技術を駆使することで新デザインμPEFC(ナノプロトニクス燃料電池)の開発に挑戦しています。この電池は使い勝手とは異なる魅力を提供する事ができると考えています。
また、我々業務従事者らは脱白金触媒の研究開発にも関心があります。それが燃料電池普及のためのコスト的な問題を解決することができるからです。脱白金触媒を開発するだけでなく、機能分子を素子化する技術を開発し、脱白金触媒を電解質や電極等に結合させる異種機能接合技術の開拓も行っています。
本研究過程および成果から期待される発展分野としては、次世代の高出力密度電源の開発だけでなく、パターニング技術やナノ空間領域における高速キャリアー輸送を利用した次世代デバイス、機能性分子を逐次素子化する総合技術やデバイスの修復・書換え技術の展開等が挙げられます。