ターボ原理に基づく分散ワイヤレスネットワーク構築法に関する研究
COnnect All by Turbo NETwork: COATNET


ビジョン

 シャノンの情報理論によれば、雑音のある無記憶通信路において情報速度が通信路容量を超えなければ、符号化を行うことにより誤り率が任意に小さい通信が可能となる。通信路容量に迫る性能を示す符号は、1993年のターボ符号 の提案、さらにその数年後の低密度パリティ検査(LDPC)符号の再発見により実用化が視野に入った。これらの符号に対する誤り訂正のための復号では、確率伝播に基づくアルゴリズムが用いられるが、本研究課題では、その原理と手法を大規模分散ワイヤレスシステムの諸問題に適用することを主題としている。本プロジェクト名、COATNET(COnnect All by Turbo NETworks)はこの概念に基づいている。

COATNETプロジェクトの特色、独創的な点は、従来個別に行われてきたワイヤレス通信における各ノード、各レイヤにおける処理の最適化を、レイヤをまたがるターボ原理を用いて一元的に達成することである。これによって、資源の究極的有効利用への道筋が示される。さらに成果を一般化すれば、多数の処理ノードが複雑に結合された大規模分散判断システムにおける多くの工学的推論問題をターボ原理により解決することが視野に入る。