指導方針
研究について(配属希望の学生向けです)
ソフトウェアが正しく動作しているか,機械やロボットが仕様通りに動くかどうか,という検証を行うためには,動作をなんらかの数学的モデルで表現することが必要です.モデルが構築できれば,ソフトウェアや機械,ロボット,さらには遺伝子の発現といった生命現象も同一視でき,計算機のシミュレーションにより正しく動作しているかどうかが検証できます.また,望ましい振る舞いをするためには,どのようにパラメータを修正すればよいかも設計できます.平石研究室では,ソフトウェア,機械,ロボット,生命現象など(一般にシステムと呼びます)を統一的に検証・設計するための基礎的枠組の構築を目指しています.
とくに,最近は数学的モデルとして,連続値と離散値が混在したハイブリッドシステムを用いて,検証・解析・制御の研究を行っています.ハイブリッドシステムの例として,自動車の走行が挙げられます.自動車の走行では連続値(アクセル),離散値(ギア)をうまく使うので,ハイブリッドシステムとして捉えることが可能です.また,ソフトウェアでも,ON/OFFと連続値が混在するのが普通であり,ハイブリッドシステムとして捉えることが重要です.さらに,遺伝子の発現という生命現象も,発現あり/なしという離散値とメッセンジャーRNAやたんぱく質の濃度という連続値で表現できます.
このように,ハイブリッドシステムは実際のシステムを広くカバーしており,理論計算機科学および制御理論の分野で多くの研究がおこなわれています.また,ハイブリッドシステムに関する研究の歴史は浅く,1990年代後半からスタートしたまだ新しい研究分野で,課題はたくさんあります.
平石研究室では,ハイブリッドシステムの検証・解析・制御における新しい枠組の構築を目指しています.また最近は,サービスサイエンスの研究も始めています.計算機実験だけでなく,実際の現場を模擬した仮想フィールドを学内に構築し,様々な実験データを採取しています.得られたデータを基に,数理モデルを導出し解析を行っています.
研究の進め方
(1) 修士論文研究に取りかかる前に,基礎知識を身につけるための輪講を行います(主に,M1の2-1期).
(2) 研究打ち合わせは週1回行っています.
(3) 研究テーマは学生の希望やバックグラウンドを考慮し,
・ 理論的研究, ・ 計算機シミュレーション
などが選択可能となっています.
2013年修了学生の研究テーマ
・ 行動型サービスにおける作業行動の定量的評価法に関する研究(修士)
・ 動的環境化におけるマルチビークルシステムの制御に関する研究(修士)
・ 確率ハイブリッドシステムの離散抽象化に関する研究(修士)
2014年修了学生の研究テーマ
・ 形式手法によるクラウドシステムインフラストラクチャーの信頼性向上(博士)
・ 時間,資源の制約を持つビジネスプロセスの形式検証(博士)
・ 空港面交通モデルの構築と走行時間短縮の検討(修士)
また,その他の研究については,研究テーマ,業績リストを参考にして下さい.