このままではいけない、と選んだ大学院大学への道

 厳しい場に身を置こうという思いで、JAISTを志望しました。学部の延長ではなく、一から学び直すのにふさわしい大学院大学で勉強に打ち込み、自分を磨きたかったんです。その気持ちに至ったきっかけの一つは、NHKの番組で大学生が国際会議に出ている姿を見たことでした。学生としての本分を追究していて、自分とはだいぶ違う。このままではいけない、自分を変えたいという焦りが生じたんです。入学後、研究室へ入る際も一番厳しそうなところを、と考え、情報セキュリティの分野で有名な宮地充子先生の研究室を希望しました。入るためにはそれまでの授業で優秀な成績を修めねばならず、大学に寝泊まりして勉強したものです。念願叶って、宮地先生の下で暗号の解析をテーマに研究を行いました。当時は世界的に使用されていた暗号がハッキングされ、情報の安全に危機意識が高まってまっていた頃でした。宮地先生の活躍の場も広がり、アメリカにも行かれていましたので、現地と結んで、早朝5時に研究室の会議ということもあって、学生泣かせでしたね。しかし、そんなアクティビティの高い研究室でしたので、私も国際会議で発表したり、論文が論文誌にも掲載されるなどの成果をあげることができました。そして、宮地先生の下で問題の本質を見極める力を養ったことは、仕事にも役立つ大きな糧となっています。厳しくも充実したJAISTでの2年間で、私は自分自身を変えることができました。とても恵まれていたと思います。同じように、自分を変えたい、努力をして夢ややりがいをみつけたい、そんな人にとってうってつけの場であると思います。

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