化粧品をつくりたい、その一念で

 以前から化粧品に興味があり、常にアンテナを張ってまわりの友人たちに新しい情報を提供していたので、学部で就職活動を始める際にも、やはり化粧品に関わる仕事がしたい! と思ったのです。ただ、情報科学を専攻していた自分にとっては未知の世界であり基礎知識もない。そこで大学院で関連分野を勉強しようと決心して探したところ、専門外の私にも門戸を開いてくれたのがJAISTでした。

 入学後の半年間ほどは、それまで無縁だった生物等の勉強に集中し、研究室配属後には人工細胞膜である“リポソーム”の性質について、ひたすら実験、解析、考察を繰り返す毎日。リポソームとは何者なんだろうという、答のない課題に取り組んだ時間は、自分の探究心のままに突き進むことのできた貴重な経験になりました。この時に身につけた何かを解明するためのプロセスは、その後念願だった化粧品開発の仕事に就き、実際の製品づくりに臨んで様々な試行錯誤をする中で活かされてきました。

 JAISTの研究室で仲間と一緒に頑張った時間は、とても充実していましたが、研究一辺倒ではなく、入学後すぐに友達の輪が広がって、自然の中でバーベキューをしたり、スキーなどに連れだって出かけたりと、大学院生活の楽しかった思い出がたくさん残っています。山の中に忽然とビルがあって、“要塞”とも呼ばれる環境ですが、何もないことがかえって学生同士の結びつきを強くしたようです。一言で言えば、私にとってとても濃い2年間でしたが、前向きに頑張ろうと言う人を、JAISTはきっと同じように迎えてくれるでしょう。

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