もともと大学では、建築の勉強をしていて、そのうち都市防災の設計や災害発生時の通信ネットワークへと興味が広がっていきました。卒業後は、都市防災の仕事に関われるということで某設計事務所に就職。ところが配属されたのは、なぜか系列会社の塾講師でした。配置換えはないとの会社からの通告に落胆していた時、友人宅で偶然目にしたのがJAISTのパンフレットでした。何気なく見ると、林研究室の紹介ページで手が止まりました。「これ、自分がやりたかった研究だ」と思い、林幸雄先生に連絡をとってみると関連書籍を送ってくださいました。「もうJAISTで林先生に学ぶしかない!」と人生の方向転換を決心。入試に向け、全力で準備を始めました。
JAISTで得たものは、いろいろあります。まったく縁がなかったプログラミングも、必要に迫られたとはいえ身に付きました。サーバ室で先輩と泊まりこんで、死にものぐるいで論文を仕上げたことも…。そして、大きな財産になっているのが、林先生に教えられた「ネットワーク」という考え方です。コレとコレを繋げたら何か面白いモノになるかな?と考える癖がついていますね。
今は防災と少し離れ、無線や電磁波の研究部署にいます。実は、自動車の探知レーダーをはじめ、無線通信や電磁波技術の利用拡大が予想されるのに、世界的に無線技術者が不足しているのです。最近は無線の専門家として私も臨時講師を頼まれることもあります。教わる側だった自分が教える側にいるのは妙な気分ですが、学ぶという最良のチャンスをくれたJAIST時代を思い出し、若い人を育てる一端を担えればと思っています。