研究・技術計画学会は1985年に設立され、2005年度学会創立20周年を迎えました。この間学会では、学会誌の刊行と、毎春秋のシンポジュウムと年次学術大会の開催等の活動を続け、「科学技術と研究開発の経営と政策」に係る研究と実践を展開してきました。このような学会活動はこの分野における日本で唯一のものであり、実務的学際領域の開拓と実務的専門人材の養成において本学会はパイオニア的役割を果たして来たものと自負しています。
今日、この20年の足跡を経て回顧しますと、これは、1980年代のハイテク・ミラクル、1990年代のロストディケードから最近の復調の兆しの軌跡と期を一にするものであり、この間にあげた成果は当該分野の研究教育や実務上からも極めて示唆に富むものであることがうかがわれます。他方、科学技術と経営政策の間のギャップだけではなく、科学や技術の専門分化と深化が一層進み、これら個別領域を俯瞰する新たな知の体系の創出が強く望まれています。「研究技術計画叢書」は、この課題に応える一つの試みとして、この間学会に集積された刊行物等の知的資産を現代の観点から課題毎に再編成し、課題毎の総説と過去の代表的論文とを合わせて新たに刊行するものであります。
昨今、技術経営や政策研究等の実務的研究の展開と専門的人材の養成の重要性が夙に叫ばれており、本シリーズが研究教育や実務の現場で有効に活用されることを期待しております。