本研究では、地下水を題材に水環境への理解と関心を促進する学習教材の開発を目的に水環境もやい研究所 (川合鑿泉工業株式会社内) と共同研究を行っています。
川合鑿泉工業株式会社の情報
環境教育現場では効果的な教材作成や研修などが盛んに行われており特に教材に対しての関心が非常に高い。しかし、地下水脈や地層など直接見ることの出来ない題材の教材数は少ない。本研究では地下水を題材に水環境への理解と関心を促進する学習教材を開発した。地下水脈に注目し、そのための3次元地質構造モデリングを行うが、作成に必要な地層データの分布には地域差があり、不足する地域では地層データを補完する必要があった。そこで、さく井専門業者の協力により不足する地層データを隣接する地層、形、河川の形などから補完することでモデルの作成が可能となった。
3次元地質構造モデルを用いることで、直観的に地層と水脈の構造を手にとって学ぶことができる。直覚的に理解できることは、教育上、有効であり、親しみをもった深い理解が促され、子ども達が水環境への意識を高める事が期待でき水脈へのより深い理解を促進する地域別水脈モデルの普及につなげたい。
最先端のモデリング技術と3Dプリンタを駆使し「可視化・可触化」したモデル製作の工程を以下に示す。
本地下水脈モデルは地層を構成する地質を大きく8層に分類し、積木のように分解・組立てを可能にするため形状を編集しています。また、実際の地層の厚みは地表面に対し非常に薄い為、縦方向のスケールを視認性のよい倍率まで強調しています。
手取川は幾たびの氾濫を繰り返して現在の手取川扇状地を形成しました。地表付近は礫層であり、不規則に泥層、砂層などの細粒物が地下水を支えています。手取川中流域には金沢平野の南東縁から発達する活断層帯「森本・富樫断層帯」があり、本地下水脈モデルでは水脈と活断層との関係性を見ることが出来ます。
能美市をまたぐ手取川下流域(枠線内)の地下水脈を過去に行われた井戸情報のデータから3Dモデルを製作しました。
出典:平成15 年6月 国土交通省河川局「手取川水系の流域及び河川の概要」より
阿蘇山は30万年の間に4度の大噴火が起きており、それを物語るかのように阿蘇山周辺の地層は凝灰岩と安山岩(軽石)が互層になっている事がわかります。
谷筋からの水脈は河川から伏流により浅井戸で採水が可能であり、山域では地下水量は少ないが火山岩による隙間や亀裂から採水が可能です。また、活断層付近では、度重なる地震の亀裂により水が伏流し、大量の地下水を有し震源地も同様に、地下深くに浸透していると考えられます。