JAIST紹介
JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)についてご紹介します。
評価
半年ほど過ごしてみて、JAISTを「個人的に」評価してみました。あくまで個人の感想です。
良いところ
授業料減免・奨学金制度が手厚い
年間の授業料自体は国立大学院と同じですが、家計状況に応じた授業料減免制度が充実しています。また、修士2年次からは成績上位25%が授業料半額、上位10%が全額免除になるという素晴らしい制度があるので、みんな勉強を頑張っています。
寄宿舎(寮)が安い
寄宿舎の基本料は月1万3000円ほどで、光熱費も安いです(バスルームや洗濯機の光熱費は大学負担)。アパートの半額以下で過ごせるので本当にありがたいです。
友達ができやすい
一般大学と違い学部がないので、入学当初から友達を作りやすいです。テストや研究を乗り越えるためにも友人関係の構築は大事なので、積極的に外に出て交友しましょう。
リモート環境が充実
ほとんどの授業はオンラインで受講できるので、学生としては非常に楽です。授業資料やアーカイブもオンラインで確認できます。中には、課題提出やテストまで全てオンラインで行う授業もあります。ただし、ずっと家に引きこもっていると成績も気分も下がるので、できるだけ対面授業に出席したほうがいいです。
公共施設が24時間開放
いつでも施設に入れるので、遅くまで校内で研究したり、眠れない時にフラッと図書館に寄ったりできます。その反面、生活習慣は乱れがちになるので気を付けたいものです。
留学生が多い
全学生の半分以上が留学生です。こんな大学は日本中を探してもほとんどないでしょう。英語を練習するには最適の環境です(もちろん、積極的にしゃべりかけに行かないと彼らとの接点はできません)。
精鋭の教師陣
教員の方々は皆一流の研究者であり、近くで講義や指導を受けられる環境が整っていることは大きな魅力です。専攻が異なる講義も受講できるので、幅広く知識を得ることができます。
悪いところ
交通アクセスが非常に悪い
JAIST最大の欠点です。周囲3kmはろくに店もなく、どこへ行くにも急勾配のJAIST坂を上り下りしなければなりません。街へ遊びに行くどころか、スーパーに行くのさえ一苦労です。車を持っていない人はバスやレンタル自転車を利用してなんとか頑張っています。
虫が多い
周りは全方位山なので、もちろん虫は多いです。私は田舎育ちなのでそこまで気にしませんが、人によっては大変かもしれません。
知名度が低い
「JAIST、北陸先端大」と伝えても、通じる人はめったにいません。石川県内の人でさえ知らない人が多いです。なんとか学校全体で知名度を向上していきたいですね。
学食が高め
学食はおかずの量が少ないのですが、その割にはちょっと高めです。物価高で大変なのは理解できますが、もう少し気軽に学食に行けるようにしてほしいところです。
学生のやる気にムラがある
本学の入学試験には学力テストがないので、良くも悪くも色々な学生が来ます。遊んでばかりで留年する学生も少なくないので、そういう人たちに引っ張られないようにするのが大事だと感じます。
総評
いろいろ長所と短所を挙げてみましたが、感じ方は人それぞれだと思います。例えば、交通アクセスが悪いことは、研究や学業に集中できるというメリットにもなります。私の場合、ウォーキングやサイクリングを楽しむ時間が増えて健康的になりました。山ごもり生活も案外悪くありません。
年間スケジュール
クォーター制
JAISTでは1年を四半期に分けて授業を実施する「クォーター制」が採用されています。
各学期はそれぞれ1-1期、1-2期、2-1期、2-2期と呼ばれており、1-2期と2-1期の間に夏休みがあります。
学修計画
基本的な学修計画は、「修士1年に単位を取り終える→修士2年で研究に取り組む」という流れになります。
修士修了のためには結構な単位数が必要であり(10~14科目)、各学期に平均2~4単位取る人が多いです。
授業は1講義当たり100分間あり、なかなか大変です。
情報科学系に属する講義の多くは中間・期末テストが実施されるので、単位を取ることは簡単ではありません。
授業内容も大変難しく、自己学習が必須な場合がほとんどです。
一方、知識科学系の科目はテストがなく、その代わり課題やレポートが課される場合が多いそうです。
夏休み
JAISTの夏休みは8月初旬から10月初旬まであり、一般の大学より長いです。
夏休み期間中はインターン、旅行、里帰りなどをする人が多いです。また、多くの学生は「夏季集中講座」を利用して短期間で単位を修得しています。
修士1年の夏休みから研究を熱心に行っている学生もいます。
研究室
研究室への配属
通常の大学と同様、学生は全員いずれかの研究室に配属されますが、JAISTには「導入配属制度」というユニークな制度があります。
この制度は、入学後に研究室を決める期間が2か月あるというものです。
入学後はランダムな研究室に配属され(導入配属)、研究室訪問や教授へのインタビューを経て、最終的な研究室を選びます(本配属)。
これは研究のミスマッチを減らすための制度で、大学院大学ならではですね。
また、入学前に行きたい研究室が確定している場合は、「研究室入学前内定制度」なる制度を利用して、事前に配属を決定しておくこともできます。
私も、やりたい研究がある程度定まっていたので本制度を利用して配属を決めました。
内定までの基本的な流れは、「研究室見学」→「入試合格」→「教授との面談」→「内定承認」という感じです。
入試前の研究室見学(対面/オンライン)は必須ではないですが、色々な面を鑑みて教員と顔合わせしていたほうがいいでしょう。
このような制度がある一方、毎年一定数の学生が研究室に馴染めずに研究室変更を行っています。
JAISTでは本配属後も研究室の異動が可能ではありますが、なるべくミスマッチを起こさないように事前調査や教授とのコミュニケーションを入念に行っておいたほうが良いと思います。
共用設備
図書館
図書館は24時間無料開放されており、学生証さえあればいつでも本を読みに行くことができます。
また、学外の人でも平日の17:00頃までは入り口の窓口で閲覧許可証をもらえます。
本は圧倒的に専門書が多く、学会誌や博士論文までそろっているので研究に活用できると思います。
ジム
学内コンビニの上階にジムルームがあります。すべて無料で使えるので積極的に活用しましょう。
端っこに卓球台もあり、リフレッシュや留学生との交流もできます。
Fablab
知識棟1階には学生用の工作設備が配置された無料の作業スペース「Fablab」があります。
3Dプリンタ、レーザーカッター、複合加工機、ボール盤、糸鋸、真空成型機などなど、設備はかなり充実しています。
基本的に材料は自前で準備する必要がありますが、他の人が廃棄した3Dフィラメントなどは自由に使うことができます。研究だけでなく趣味で使うこともできるので、これから積極的に活用していくつもりです。
※使用には学生証の登録や講習などが必要なので、管理人さんに連絡してみてください(連絡先は口コミで探しましょう)。
3Dプリンタ
複合加工機
加工室