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学生諸君へ

環境問題に関して

 地球上の生物はそれぞれの環境に応じた生命活動を営んでいます。人類は産業革命以後、好きなように環境を制御し今や自らの生活環境を破壊するまで暴走しています。しかも、これらの問題は人間だけでなく他の生物や地球そのものを絶滅に追いやるほど加速しているのです。20世紀後半、科学者達はこの問題の解決のために立ち上がりました。しかし、環境保全には様々な困難が立ちはだかります。果てしもなく大きく分厚い壁が聳え立っています。我々金子研究室一同は知恵を振り絞り環境保全に役立つ高分子化学、有機材料科学、有機ナノ複合材料化学を推し進め環境適応性の高分子材料を創出し続け、かつ現在の自然環境と生物多様性の維持を主たる目的として研究を進めています。

 特に我々は、天然分子の構造を利用した高性能バイオプラスチックや環境分解性プラスチックなど新しい環境適応型材料を創製する研究を進めています。しかし天然分子は構造が多様であり複雑であるだけでなく、そのほとんどが易分解性でありすぐに変性してしまいます。物質科学者からみればこのような扱いにくいものは研究対象にはなり得ません。しかし、金子研究室ではこれら天然分子の特徴を長所に変える新しい「バイオマス高分子科学」を展開し、地球環境保全のために、日々、研究に奮闘しています。

 環境問題は全ての人類が共有する問題であり、その対策法や解決案の提示は人類だけではなく全ての生物をも保護するものとなります。さらに、子供達の未来を維持するための重要な研究でもあります。今や「環境」は、あらゆる分野に於けるキーワードと成っています。その中で学生諸君は環境問題をどのように捉えていますか。環境問題とは様々な問題の複合体であり、どんな分野をバックグラウンドに持つ諸君も、この問題対策を進めることは可能です。ただ、問題が顕在化されていない事が多く、自分がどの問題対策に貢献出来るかは非常に分かりにくいことがあります。しかし、君たちが大学院で学んだこと全ては、いずれかの環境問題対策に必ず役立ちます。そして自分達の現代生活と未来社会のために還ってきます。学生の間に精一杯、がむしゃらに学んで下さい。

進路について

 自分自身の将来を良く見つめて下さい。目の前のことに惑わされずグローバルな視点で見定めて下さい。何が起こるか分からないこの国際社会で自分の目指す人生を歩むには、知識を蓄え、知恵を養い、技術を培うことが必要不可欠となります。これには勉学と経験を積むことが必須です。従って、修士課程だけではなく博士課程に進めばより多くの勉強が出来、様々な経験を積むことが出来ます。君たちが博士課程で色んな事を勉強し研究し、その中で得たものは必ず君たちが生きていくための術となります。出来る限り多くの術を学んで欲しいと思っています。また、これからはインターナショナルな資格を取得することが重要となります。博士は数少ない国際資格です。是非、これを取得し自分の進むべき人生を歩んで下さい。

 迷ったときにはいつでも相談に来て下さい。