修了生の川北さんがAHFE 2024において Best Student Paper Awardを受賞
修了生の川北輝さん (令和6年3月博士前期課程修了、創造社会デザイン研究領域、金井研究室) が国際会議AHFE 2024において、Best Student Paper Awardを受賞しました。受賞対象になった論文は、公益財団法人日本科学協会の2023年度笹川科学研究助成を受けて実施した研究の成果をまとめたもので、川北さんが在学中に執筆・投稿し、査読を経て採択されました。
※参考: 修了生の川北さんが日本科学協会2023年度笹川科学研究奨励賞を受賞
15th International Conference on Applied Human Factors and Ergonomics (AHFE 2024) and the Affiliated Conferencesは、7月24日~27日にかけてフランスのニースで開催された人間工学に関する大規模な国際会議で、計算機科学、ヒューマンコンピュータインタラクション (HCI)、工学、デザイン、ヘルスケア、心理学など幅広い分野のトピックを扱っています。
AHFE 2024は全体で45のカンファレンストラックがあり、同賞はKansei Engineering (感性工学)トラック から選出されました。
■受賞年月日
令和6年7月27日
■研究題目、論文タイトル等
Assessing Self-disclosure Willingness in Metaverse-Based Structured Group Encounter
■研究者、著者
Teru Kawakita, Hideaki Kanai
■受賞対象となった研究の内容
本研究では、Metaverse-Based Structured Group Encounter (M-SGE) を提案し、実施前後の心理状態の比較を行い、その効果を検証しました。M-SGEでは、メタバースでアバターを通じて構成的グループエンカウンターを行うことができます。そのため、人と対面して話すことが苦手な方であっても、時間や場所の制約を受けずに、アバターを通じたコミュニケーションが可能になります。実験では、状態不安、ポジティブ/ネガティブ気分、自己開示の意欲の3つを測定しました。得られたデータに対して、対応あり t 検定を行った結果、(1) 状態不安が有意に低下すること、(2) 自己開示の意欲が有意に高まること、という二つが明らかになりました。一方、ポジティブ/ネガティブ気分では、統計的に有意な差は確認できておらず、実験中に生じたオンライン特有の音声問題が気分状態に影響したと考えられます。
※参考: Assessing Self-disclosure Willingness in Metaverse-Based Structured Group Encounter
■受賞にあたって一言
この度は、AHFE 2024 Best Student Paper Awardを受賞することができて、大変嬉しく思っています。大変熱心にご指導してくださった金井秀明准教授、実験に参加してくださった皆様、2023年度笹川科学研究助成でご支援をしてくださった日本科学協会の方々など、多くの人に支えられて受賞に至ったと感じています。本論文はAHFE Open AccessのKansei Engineering (感性工学) に収録されています。今後、M-SGEの発展に向けて、より人間の感性や感情を考慮したインタラクションデザイン、ユーザーの体験性を高める感性設計、生成AIを活用した対話システムなどが必要だと考えています。
令和6年9月13日