人間情報学研究領域の岡田准教授が人工知能学会研究会優秀賞を受賞
人間情報学研究領域の岡田将吾准教授が一般社団法人人工知能学会の研究会優秀賞を受賞しました。
人工知能学会は、人工知能に関する研究の進展と知識の普及を図り、もって学術・技術ならびに産業・社会の発展に寄与することを目的として設立されました。
同学会では、人工知能分野の研究活動を奨励し、併せて研究会への研究発表を促進することを目的として研究会優秀賞を設けています。同賞は、人工知能学会研究会(第2種研究会を含む)で発表された研究のうち、独創性、学術・技術上の寄与と波及効果、表現のわかり易さの観点から、特に優秀なものを選び表彰するものです。
※参考:人工知能学会
■受賞年月日
令和6年6月28日
■研究課題名
発話意欲推定に基づく適応的対話戦略を備えたインタビューロボット対話システム
■研究者、著者
長澤史記(博士後期課程3年)、岡田将吾
■受賞対象となった研究の内容
本論文では、音声・動作から人の発話意欲(質問に意欲的に回答したい/回答したくない)を推定して、適応的に質問するインタビューロボットを開発しました。また発話意欲を推定・適応する対話ロボットが、人の発話意欲をさらに引き出せることを定量的に検証しました。対話者の心に寄り添い共感するAIの実現に向けて、モデルが推定した内面状態に従って、システム・ロボット等のAIの実体がいかに適応するかを設計し、その効果を検証する必要があります。本研究はインタビュー中に変化する発話意欲を自動推定するモデルを備え、推定結果に基づき、意欲が高ければ質問を掘り下げ、意欲が低ければ異なるトピックの質問をするよう質問戦略を切り替えるインタビューロボットを新規に開発しました。
開発したロボットの発話意欲推定と適応的な質問戦略の効果を検証するため、20代~60代の一般参加者を募集し、ロボットによるインタビュー対話実験を実施しました。発話意欲の推定に基づき質問戦略を切り替える条件と、ランダムに質問戦略を切り替える条件とで比較検証し、参加者のロボットへの印象、参加者の発話意欲の変化、発話意欲の推定精度、を検証した結果、次のことがわかりました。
(1)発話意欲の高低は平均72%の精度で自動推定できること。
(2)提案する発話意欲に基づく適応戦略は、ロボットがインタビュアーとしての適切な聞き手としての態度を印象付
けられること。
(3)提案する発話意欲に基づく適応戦略は、有意に意欲の高い発言を増やすことができること。
(1)―(3)をまとめて、必ずしも完全でない発話意欲推定モデル(精度72%)を有するインタビューロボットでも、意欲推定に応じて、質問を掘り下げたり・質問トピックを変更したりすることで、インタビュー対象者の発話意欲の高い発言を引き出すことができることを示しました。今後、インタビュータスクに限らず、ユーザの相談に乗りながら内面状態をセンシングし、適切かつ適応的な対話を行う基盤を構築することで、個人に寄り添うAIの実現に向けた研究を継続したいと考えています。
■受賞にあたって一言
この度、人工知能学会研究会優秀賞を賜りまして大変光栄に思います。今回の受賞を励みに、当該研究分野の発展により貢献できるよう研究を進めてまいります。
令和6年7月31日