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受賞

知識マネジメント領域の黒川助教が日本進化学会研究奨励賞を受賞

 知識マネジメント領域の黒川 瞬助教が一般社団法人日本進化学会研究奨励賞を受賞しました。

 日本進化学会は、進化に関する広範な研究および教育を推進し、我が国におけるこの分野の発展に寄与することを目的としています。
 研究奨励賞は、進化学や関連する分野において、研究業績上大きな発展が期待される若手の学会員に授与されます。毎年それぞれ若干名に授与され、受賞者には学会からの賞状が送られます。

■受賞年月日
 令和3年8月20日

■研究題目
 進化ゲーム理論を用いた協力の進化に関する理論研究

■受賞対象となった研究の内容(日本進化学会HPより引用)
 黒川氏は、協力の進化について進化ゲーム理論を用いた理論研究を主におこなってきた。「協力」がどのように進化してきたかは、長年にわたり進化生物学、とりわけ数理生物学の分野で多くの研究者がとりあげてきたテーマである。しかしこれまでの理論研究では、二者間の相互作用を想定した二人ゲームの取り扱いが中心であり、三者以上のグループでの協力の進化を扱った研究は限られていた。協力の初期進化のプロセスの解明、つまり非協力者の集団に協力者の侵入が可能かどうかという問題の解決には確率論的扱いが不可欠であるが、この確率論的扱いもこれまでは二人ゲームの場合に限られていた。
 黒川氏は、二人ゲームの確率論的扱いを、一般的なn人ゲームに拡張することに初めて成功し、グループによる協力の進化を扱うための確率論的枠組みを作り上げた。さらに、このn人の枠組みを囚人のジレンマゲームに適用することを試みた。その結果、大きなグループでは互恵性による協力の進化が起こりにくいという従来の知見が、遺伝的浮動を考慮した場合には必ずしも成り立たないことを見出した。ヒトの進化においては、狩猟や防衛をはじめとした様々な場面でグループによる協力が重要な役割を果たしてきたと考えられる。特に、ヒトの社会行動の進化を理解するためには、グループによる協力の進化理論が不可欠である。この黒川氏の理論的研究は、初期の人類においても、互恵性を介してグループによる協力が進化した可能性を示した。

*出典:日本進化学会 学会賞受賞者(2021年)

■受賞にあたって一言
 日本進化学会よりこのたび研究奨励賞を頂けたこと、嬉しく思います。さらなる研究成果をあげるべく引き続き研究に取り組んでいきたいと思います。

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日本進化学会提供

令和3年9月8日

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