Hokuriku Innovators

先端バイオ×DXで、次世代の医療を実現/超越バイオメディカルDX研究拠点の開設

世界最先端の研究と、社会との連携でイノベーション創出を目指す、北陸先端科学技術大学院大学では、様々な分野において産学官の多種多様な機関が円滑に連携するためのプラットフォーム作りを進めています。今回は、現在注目されるバイオメディカル分野における、本学の研究と最新の取り組みをご紹介します。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

先端バイオメディカルの未来ビジョン

 

 

〇先端バイオ技術で、新素材・デバイスの開発に挑む
世界各国で最先端の研究シーズを活かした新技術の開発が進められているなか、注目を集めているのが「医療」「健康」「新素材」そして「デバイス開発」の分野です。
本学では以下の4研究室をはじめとして、世界最先端のバイオ技術によって新素材・デバイスの開発を目指しています。

物質化学フロンティア研究領域 都 英次郎准教授研究室
紅色光合成細菌が、がん腫瘍に集まって育成・増殖する特性を活かし、赤外光で体内の光合成細菌を活性化させてがん細胞を死滅させるという、次世代がん診断・治療技術の研究を進めています。

都准教授
「高齢化、少子化が進む中、今後ヘルスケアは必要不可欠になる研究開発の一つと考えています。特に、「産学官金」のこの4つのシナジティック(=共働作用)によって研究開発を進めていくことができれば、魅力的な新しい技術開発につなげられるはずです。」

 

 

物質化学フロンティア研究領域 松村和明教授研究室
細胞・組織の機能を制御する高分子材料を創成し、医療に役立てる研究を行う松村研究室では、iPSなどの細胞を質の高い状態で保管する保護剤の開発に成功。組織や臓器を構築するための足場材料の開発や、再生医療に用いられる保存技術の確立を目指します。

物質化学フロンティア研究領域 栗澤元一教授研究室
がんをはじめとする、難治性疾患の治療を目指したドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究を展開する栗澤元一教授研究室では、薬に緑茶カテキン・ナノ粒子を用い、抗がん剤と緑茶カテキンのシナジー効果によって抗腫瘍効果をさらに高める治療法の開発を目指します。

バイオ機能医工学研究領域 高村 禅教授研究室
高村研究室では、ナノとバイオの両技術を融合し、これまで精度の高い検査機が必要とされた血糖値・インスリンの測定を、家庭で行える測定器を開発。メタボリックシンドローム管理のための測定チップの製品化を目指します。

これら物質科学の研究を超高速に進めているのが、物質科学と情報学とを融合させた「マテリアルズインフォアティックス(MI)」という研究手法。
本校では、サステナブルイノベーション研究領域の本郷研太准教授が参加し、スーパーコンピュータなどの最新の研究設備を駆使し、新素材開発の加速化を図ります。

 

サステナブルイノベーション研究領域 本郷研太准教授
「プロジェクトにおける私の役割は、データベース類を作ること。データを自動的に処理してデータベースに登録し、そのデータを機械学習や人工知能技術に入れます。それからターゲットを絞って候補になるような材料を調べていきます。その候補を研究の先生方にフィードバックし、実験の検証を繰り返し行なっていきます。こういったスパコン、人工知能の技術の開発をしていることが、大きな強みにもなっています。」

 

MIとは、これまでの膨大な物質科学研究データから、スパコンやAIなどの最新技を活用した実験シミュレーションの計算を行うことで、物質探索を可能にするという技術です。この強みが研究の超高速化、高速化を可能にします。

先端バイオメディカル×DXが、今後の研究にもたらすもの

こうした革新的物質設計を、北陸地域の産学官共同による総合知にも活用したいと、2023年3月本校構内に「超越バイオメディカルDX研究拠点」を開設しました。

施設は、研究のベースとして企業のご要望にも対応していくためのオープンラボで、細胞培養室や動物実験室など本格的な研究設備を備えています。世界トップレベルのバイオメディカル分野の研究に、スーパーコンピュータを活用したデータ駆動型のDXを組み合わせ、ヘルスケアイノベーションを目指します。また、技術や知識をシェアして共創する、シェアードオープンイノベーションという新たな考えに基づき、多種多様な業種、業界の交流の場を設けています。北陸先端大から世界へと未来の医療を創造し、バイオメディカル分野に活きる革新を目指します。

【お問い合わせ】
北陸先端科学技術大学院大学 未来創造イノベーション推進本部
Tel: 0761-51-1070
Email: ricenter@ml.jaist.ac.jp