TechnologyChallengesCarbon Neutral

技術で挑むカーボンニュートラル
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研究センター概要

持続可能な社会を目指す
高機能材料と行動変容の融合

カーボンニュートラルに寄与する
幅広い技術分野を対象とし、
マテリアルサイエンスの視点に立った
高機能性材料の研究と、
そのような知識を
人々の行動に埋め込むための
施策づくりなどを通じて、
社会の脱炭素化のための
技術開発と行動変容を推進し、
持続可能な社会の早期実現を目指します。

学長挨拶

温室効果ガスが主因とされる地球温暖化は、気候変動、自然環境と生態系の変化を来し、人類の存続基盤も危機に直面しています。2020年10月に政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの達成を宣言し、脱炭素、省エネ・再エネに関する技術開発が、大学をはじめとする研究機関に求められています。
地球環境全体への影響という意味からも社会科学を含む広い分野の研究者が本気になって取り組むべき最も重要な課題の一つであり、本学もカーボンニュートラルの実現に向けて積極的な貢献をしていきたいと考えています。

また、「カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリション」は、大学が、国、自治体、企業、国内外の大学等との連携強化を通じ、国・地域の脱炭素化等に資する研究開発や社会実装の推進、地域やキャンパスのゼロカーボン化などに係る機能や発信力を高め、カーボンニュートラル達成に一層貢献していくための大学等間ネットワークとして、文部科学省、経済産業省、環境省の先導のもと令和3年度に設立されたものであり、現在200近くの大学等が加盟しています。本学は設立当初から参加しており、地域ゼロカーボンWG、イノベーションWG、国際連携・協力WGの運営委員として、カーボンニュートラル達成に向け研究開発と社会実装の推進に取り組んでいます。特に、イノベーションWGでは幹事機関を京都大学や名古屋大学とともに2023年9月6日まで務め、2023年5月31日には、イノベーションWG第4回シンポジウムをオンライン形式にて開催しました。

北陸先端科学技術大学院大学

学長寺野 稔

センターの取り組み

センターは①環境負荷の低いポリマー材料の開発、②再生可能資源、リサイクル可能資源を軸とする資源供給プロセスとその有効利用、③蓄エネルギー、省エネルギー化に寄与する技術革新、④知識科学的アプローチによるカーボンニュートラルへの取り組みを中心として構成されています。
カーボンニュートラルは今後の材料開発の前提条件であり、高機能性のみならず、コストパフォーマンスや実用化についても強く意識すべきであると考えます。社会の脱炭素化や循環型社会の実現に資する研究を突き進めていきます。

プラスチック、ゴム、繊維に使用されている高分子は我々の生活に必要不可欠な材料となっていますが、カーボンニュートラルや廃棄物問題の観点から“上手な使用”が求められています。このような現状の中、マテリアルリサイクル技術の深化・向上、ポリマー材料の長寿命化、バイオマス系ポリマーの活用、成形プロセスに要するエネルギーの削減などに取り組み、社会課題の解決に貢献すべく努力しています。

多様な天然炭素資源を高効率に変換するプロセスの実現に向けた固体触媒の開発を行っています。特に再生可能でカーボンニュートラルな生物由来資源から高機能材料の原料となる化成品へスムーズ(高効率・高選択)に変換するための触媒プロセスの実現を目指し、合金触媒や複合機能触媒を研究しています。また、機械学習などのデータ分析技術を活かした新しい触媒開発手法の開拓や、層状複水酸化物表面に二酸化炭素が吸着することで機能する特異な塩基作用の最大化にも取り組んでいます。優れた触媒の開発は、プロセスの高効率・省エネ化、多様な資源開発に貢献する、次世代の低炭素社会の実現に不可欠な技術です。

青色LEDと蛍光体で構成される白色LEDは、長寿命の省エネルギーデバイスとして白熱電球や蛍光灯などの白色照明の多くを置き換え、持続可能な社会に貢献しています。現在はレーザー励起を利用した高輝度白色光源が注目されており、発光強度が低下しない新規蛍光体の開発をしています。一方、二酸化炭素の固定化・有効利用を志向した炭酸塩蓄光材料の開発も行っています。二酸化炭素を固定化し、日中の太陽光エネルギーを蓄えることが出来る本材料は、夜間の視認性ブロックとして利用でき、カーボンニュートラルの社会への貢献が期待されています。照明や視認性材料に関して、高効率発光や残光など、省エネを意識した光機能への要求は高まっており、光物性の解明を通し、より高い特性を発現する蛍光体を創成します。

先端科学技術は人工物(新素材や情報通信技術)を媒介として私たちの生活を豊かにしてきました。しかし、私たちの生活は大自然である地球に影響し、人間・動物・植物が織りなす生態圏に負荷を与え続けてきました。その結果、国連のSDGsにおいて「7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」、「13.気候変動に具体的な対策を」、「14.海の豊かさを守ろう」という目標が設定されてきております。その中、地球と共生するためのマインドを涵養し、アクションにつなげる知識基盤システムが期待されます。そこで市民がカーボンニュートラルのための高機能材料と現代生活に関わる知識を学び、上記目標のために、自らの行動計画を立案・意思決定する集合知システムや行動変容を促すゲーミフィケーションを開発していきます。