当研究室で使用しているNMR装置の概要は次のとおりです。
Bruker Biospin社製 AVANCE III 800(1H共鳴周波数は800MHz)
ポンピング無しの超伝導磁石
TCI-クライオプローブ
N2再凝縮装置付き
この装置は、ナノセンター1階にある天井の高い部屋に設置されています。
下の写真は、装置の磁石部分です。
横に見えているのは木製ステージの一部です。
液体ヘリウムや液体窒素の充填は、このステージから行います。
相当大きな装置ですが、測定する試料の量は1mLの半分以下です。
装置紹介の動画はこちらです。
https://www.youtube.com/watch?v=HVIQ6ZIHtGA
タンパク質の立体構造を原子分解能で決定する他の方法には、X線結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡があります。しかし、静的な立体構造のほかにダイナミクスや相互作用などの動的変化も研究できるのはNMRだけです。NMR測定には溶液状態の試料を用いるので、結晶化などの難しい前処理は必要ありません。きわめて生理条件に近い状態でタンパク質試料を測定することが可能です。NMRでタンパク質の立体構造が決定できるようになったのは1980年代半ばのことです。それ以来、磁石や分光計・検出器などのハードウエアや制御用・解析用コンピュータの進歩とともに次々と新しい測定方法や解析技術が開発され続けています。