未来社会創造事業 - 材料イノベーション創出

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「ハイスループット実験+データ科学→ゼロからの材料設計」

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2025.04.11 by 張 葉平 Yohei Cho光触媒反応は、光吸収から励起キャリアの拡散、表面での酸化還元反応まで、複数の過程が同時並行的に進行するため、反応速度を制限する律速過程の特定は容易ではありません。本研究では、表面における励起キャリアの過不足が反応温度に反映される現象を利用することで、励起キャリアの供給と表面反応による消費のどちらが律速段階になっているかを明らかにできることを示しました。この成果は、光触媒の性能向上に直接的に貢献するだけでなく、従来の研究で曖昧であった設計仮説の精度向上にもつながると期待されます。

2025.02.27 by 和田 透 Toru Wadaポリエチレンやポリプロピレンを合成する分子触媒は、活性化剤と接触して触媒機能を発現します。メチルアルミノキサン(MAO)は最も広く使われる活性化剤ですが、その構造は未解明で、触媒の活性化機構の理解や新規活性化剤の開発を妨げています。本研究では、シンクロトロンX線全散乱を用いてMAOの分子構造を解析し、直径約2 nmの板状分子であることを突き止めました。この成果はMAOの作用機構の解明に重要であり、新たな助触媒やプラスチック素材の開発につながると期待されます。

2025.01.21 by 藤原 綾 Aya Fujiwara従来の触媒探索は、既知の高性能触媒の周辺領域を対象とした探索や最適化に限定されており、広範な探索空間の全体像を把握したり、触媒系間で知見を転用したりすることが困難でした。本研究では、この課題を克服するために、メタンの酸化的カップリングを例題に、ハイスループット実験と記述子設計に関する2つの独自技術を併用しました。その結果、5つの触媒系について、それぞれ包括的な触媒知識を数式として獲得しました。これにより、触媒設計則の体系的な理解が可能となり、触媒系間での触媒知識の転用をデータ科学的に実践することも達成しました。

2025.01.05 by Wentao DU従来、固体触媒の開発は、研究者の知識や経験に基づく試行錯誤で進められてきました。近年、機械学習とハイスループット実験を組み合わせることで、先入観や偏りを排除しながら、未知の化学領域を効率的に探求する取り組みが進んでいます。本研究では、この新たな方法をメタンのドライリフォーミングを対象に実践しました。具体的には、周期表の17元素をランダムに組み合わせた256個のγ-Al₂O₃担持触媒を用い、偏りのないデータセットを構築しました。特定の元素に関する仮定を排除することで、機械学習を通して予想外のトレンドや触媒を発見することが可能となりました。

2024.04.24 by 谷池 俊明 Toshiaki Taniikeプロピレン重合用Ziegler-Natta触媒の進化は、主に内部ドナーと呼ばれる有機ルイス塩基化合物によって駆動されてきました。しかし、新しい内部ドナーの発見はマンパワーを要する経験的な作業です。人工知能技術の適用も期待されていますが、質の高いデータセットの不足が大きな課題でした。本論文では、私たちとナポリ大学がチームを組み、触媒合成からプロピレン重合、ポリプロピレンの構造分析までを包括する統合されたハイスループット実験フローを確立しました。内部ドナーライブラリに関する高品質なデータセットを獲得し、特徴量設計技術を用いて正確な機械学習モデルを構築することに成功しました。Ziegler-Natta触媒の研究開発の加速につながる大きな進展です。