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研究概要

マイクロ・ナノスケールのグラフェンをはじめとする2次元ファン・デル・ワールス(vdW)ヘテロ構造デバイスを作製し、においセンサや雷センサ、熱ダイオード、バレートロニクスなどの研究を行っています。

 

2次元新材料グラフェン

グラフェンは、炭素原子1個分の厚さを持つ六角格子構造の2次元材料です。極めて高いキャリア移動度と優れた機械的安定性を有することから、ポストシリコン材料として、高性能電子デバイス、高感度センサー、NEMS、量子情報処理デバイスなど、幅広い用途に利用できます。

 

2次元新材料グラフェン

グラフェンガスセンサ

ガスセンサ画像A.png
   

(a) GNEM Ultra-High Sensitivity Gas Sensor
(b) Detection of the individual CO2 molecule
adsorption and desorption in the GNEM device.

皮膚から出るわずかな量のガスを検出し、病気の早期発見につなげる技術の需要が高まっています。皮膚ガス分析は、非侵襲で体にダメージがなく、継続的なモニタリングに適しています。しかし、皮膚ガスは極めて微量のためppb(10億分の1)レベルでの検出が必要です。そこで、超高感度ガスセンサを実現するためのデバイスの開発を行っています。

グラフェンは、高移動度、低ノイズなどの優れた電子特性を持っています。特に単層グラフェンは、体積に対する表面積の比が最も大きく、センサに適した材料です。超高感度センサの実現に向けて、グラフェン中の電荷、質量、分子振動の3つの点に着目しながらセンサの機能化を図っています。すでに、両持ち梁グラフェンナノ電気機械(GNEM)デバイスを用いたCO2単一分子の検出に成功しています。

 

組織

襲雷予測に向けたグラフェン電界センサの研究

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    グラフェン電界センサ

雷は人命に関わるだけでなく、莫大な経済損失を引き起こしてきました。気温上昇に伴い落雷発生数は増えており、多方面で電子機器が普及する中、雷サージによる被害も拡大しています。このため、落雷予測の重要性は年々高まっています。従来は、遠方での落雷時の電磁波を検出することで雷の接近を予測していました。私たちは、雷雲と地面の間の電界を読み取ることにより、雷が落ちる前に電気を溜めた危険な雷雲を検知するという研究を行っています。具体的には、グラフェンをベースにした超高感度電界センサの開発に取り組み、落雷予知の実現を目指しています。グラフェン特有のエネルギー分散により、電界への高い応答が可能です。本研究は音羽電機工業株式会社と共同で実施しています。

 

組織

グラフェンナノメッシュデバイスを用いたナノスケール熱制御の研究

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非対称グラフェンナノメッシュによる熱整流素子

宙吊りにしたグラフェンに、最先端技術ヘリウムイオンビームミリング技術を用いて10nm以下のナノ孔を周期的構造(グラフェンナノメッシュ)を形成し、熱の制御を目指しています。現在、熱を一方向に流す熱ダイオードの開発に取り組んでおり、集積回路で深刻な問題となっている発熱の問題や、今後ますます重要となる蓄熱技術の実現などに貢献していきたいと考えています。

 

組織

原子層材料バレートロニクスの研究

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    二層グラフェンのバンド構造とK点K'点のバレー

グラフェンやMoS2といった近年注目されている原子層材料を用いて、バレートロニクスに関する研究を行っています。原子層材料のバレー自由度を新たな情報担体として利用するバレートロニクスは、従来のエレクトロニクスやスピントロニクスを超える将来の情報処理技術として期待されています。我々は、原子層材料を積層した様々な構造における対称性の破れとベリー曲率の発生を、理論と実験の両面から探求しています。


キャンペーン

第一原理計算

DFT画像1.JPG

NVセンターの結晶構造


物性物理学や材料研究の基本は、原子や分子内の電子がさまざまな条件下でどのように振る舞うかを理解することです。物質の電気的、光学的、磁気的特性は、物質中の電子の振る舞いそのものに依存しています。第一原理計算法は、量子力学の基礎方程式を解いて、物質中の電子のこのような性質に関する情報を得ようとするものです。我々の研究室では原子層材料やダイヤモンドを用いた量子構造をターゲットに、様々なソフトウェアと本学にある最新のスーパーコンピュータを用いて第一原理計算を行います。また非平衡量子輸送理論と第一原理計算を組み合わせたシミュレーションも研究しています。

 

キャンペーン

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