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井口研究室

次世代スーパーコンピュータの基礎技術を研究します

井口研究室 INOGUCHI Laboratory
教授:井口 寧(INOGUCHI Yasushi)

E-mail:E-mai
[研究分野]
超並列システム
[キーワード]
超並列アーキテクチャ、超並列処理、リコンフィギャラブルシステム、スーパーコンピュータ、AIプロセッサ

研究を始めるのに必要な知識・能力

C言語、Python、HDLなど、どれか一つ得意なプログラミング言語があると望ましい。しかしながら、必須と言えるスキルは特にありません。新しいプログラミング言語や技術にチャレンジしても良いですし、自分の得意分野を踏まえて研究テーマを選んでも構いません。およそ半数くらいの学生さんは配属時にC言語やHDLなどのプログラミングができますが、そうでない学生さんも配属後に勉強し書けるようになっています。

この研究で身につく能力

設定する研究テーマにより、次の複数のスキルのうち一つ以上の能力が身につくと期待しています。

  1. 超並列システムの設計法 相互結合網やルーティングなど、次世代超高性能システムに必須な基礎知識
  2. 超並列システムの利用法 MPIやOpenMPなど超並列システムを効率良く利用するための利用技術
  3. GPUコンピューティングの基礎技術 GPGPUの利用法や高効率化手法など
  4. 論理回路設計法 FPGAやASICなどの回路設計スキルやその流れなどを習得します。
  5. CNN回路やAIプロセッサなど、各種特定目的専用アーキテクチャの設計法

【就職先企業・職種】 総合ITメーカー本社、大手通信関連企業、IT系商社、ITベンチャーなど

研究内容

 我々の研究室では、主に超並列を中心に研究を行なっています。超並列とは、多数のプロセッシング要素を高速な相互結合網で結合し、大幅な処理の高速化を目指すシステムです。超並列研究にはさまざまな階層があり、LSIチップ内の演算器レベルの並列化、マイクロプロセッサ(CPU) を多数結合する超並列システム、広域に分散したサーバやワークステーションをソフトウェア的に巨大な仮想計算機として提供するGRIDやCloud などが含まれ、これら超並列システムの構築手法や利用技術について幅広く研究を行なっています。
 近年ではAIや数値計算など特定アプリケーションに特化した 専用ハードウェアを構築するDSA(Domain Specific Architecture)が盛んに研究されています。本研究室でも様々なアプリケーションに有用なアーキテクチャや並列アルゴリズムを解明しています。

現在推進中のプロジェクト

1)「ギガ帯域インターネットにおける電子指紋の超高速・高精度検出と超高速検索」
 本研究では、インターネットに流通するmp3などの音楽ファイルをギガ帯域でリアルタイムに検出し、楽曲を特定・ライセンシングするために必要な、ハードウェア・サポートによる超高速電子指紋検出技術 およびその関連技術について研究する。
2)「超大規模連立一次方程式のGPGPUによる高速解法」
 非常に高い計算能力を持つとして近年注目されている汎用グラフィックスプロセッサ(GPGPU)を用いて、連立一次方程式の高速解法に取り組む。 GPGPUはメモリ量が限られており、大規模な連立一次方程式にGPGPUを用いることができなかった。本研究では疎行列を効率良く圧縮することにより、GPGPUによる連立一次方程式の求解アクセラレーションの適用範囲の拡大を目指す。
3)「高精細音空間コンテンツのための主観的最適化音空間ディスプレイの研究開発」
 専用ASICによるアクセラレーションによるリアルタイム音響シミュレーションの可能性を探る。加減シフト演算のみの簡素な演算で音響をシミュレートできるDHM法を各格子点で計算する専用ASICを構築し、シミュレーションブロックとして結合することで任意の音空間シミュレーションを行う。

inoguchi1.jpg
作成した専用ASICの演算要素回路とチップレイアウト


配属希望者へのメッセージ

 大学は知的レジャーランドです。おもしろい機械や装置、新しい知識、それを語り合う仲間があります。当研究室に配属された皆様には、大いに学び、人間として成長されることを願っています。
 当研究室は出身学部は問いません。 化学や物理、また経済系など、非情報系の学部出身から当研究室に来る皆さんも多くいます。これらの方は、研究室配属後に関連する講義を取るなど、必要な知識を身につけて修了しています。
 当研究室では、次のような次世代計算機システムを研究したい方を歓迎します。

  • CNNチップなど、専用計算機に興味のある方
  • 物理や音響などのシミュレーション

 研究テーマの選び方は、研究室で行っているプロジェクトに参加する方法、自分自身でテーマを選ぶ方法、どちらでも構いません。研究室で実施しているプロジェクトであれば、機材や予算、先輩の成果などを利用することができます。学部での勉強など、自分のバックグラウンドを活かして自分自身で研究テーマを設定することも可能です。

主な研究業績

  1. Faiz Al Faisal, M.M. Hafizur Rahman and Y. Inoguchi, "HFBN: An Energy Efficient High Performance Hierarchical Interconnection Network for Exa-scale Supercomputer", IEEE Access, Vol. 10, pp.3088-3104, Jan., 2022
  2. 河村 知記, 米田 一徳, 岩村 尚, 渡邉 正宏, 井口 寧, "オンサイトでの高精度数値シミュレーション実施のためのGPU向き疎行列圧縮スキーム", 情処論: 数理モデル化と応用, Vol. 13, No. 2, pp.93-106, Aug., 2020
  3. Tan Yiyu, Yasushi Inoguchi, Makoto Otani, Yukio Iwaya and Takao Tsuchiya, "A Real-Time Sound Field Rendering Processor", Applied Sciences, MDPI, Vol. 8, No. 1, 17 pages online, Jan., 2018

使用装置

Xilinx ALVEO U200, Intel Arria10 GX等、各種FPGA搭載システム
nVidia A100, V100, H100等 GPGPUクラスタ
論理回路設計CAD、回路シミュレータ等
超並列システム DELL PowerEdge R6525クラスタ (36,352core)

研究室の指導方針

「プロフェッショナル」として通用する人材育成
自ら目標を設定し、解決のための道筋を構築し、提案し遂行し、一つの目標を完成させる力を身につけていただきたいと考えます。 今はスーパーコンピュータはもとより、PC やスマホでもマルチコア時代です。当研究室で身につけた並列処理技術や思考法を存分に活かし、社会に出たあと、様々な分野で新しいシステムの設計や開発、アプリケーションの開発などで主導的に活躍できる人材を育成することを目指します。

[研究室HP] URL:http://ino-www.jaist.ac.jp

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