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村田研究室

表面と界面を支配せよ、未来志向型有機半導体デバイスの創出

村田研究室 MURATA Laboratory
講師:江口 敬太郎(EGUCHI Keitaro)

E-mail:E-mai
[研究分野]
表面物性化学、有機エレクトロニクス
[キーワード]
有機ナノ薄膜、動作環境下計測、有機メモリ素子、ナノテクノロジー

研究を始めるのに必要な知識・能力

化学系や物理系を専攻してきた学生や真空装置を扱ったことがある学生は研究に取り組みやすいでしょう。しかし、「好きこそものの上手なれ」ということわざがあるように、興味がある研究に携われば、専門的な知識や能力はすぐに身についていきます。

この研究で身につく能力

主に有機薄膜を用いた研究に取り組むことになりますので、分子科学や固体物理学の基礎となる考え方を学ぶことができます。また、実験を通じて、実験装置の動作原理や実験手法の原理を理解し、正しく操作する方法や正しく実験データを取得・解釈する方法を身に着けることができます。その他にも、科学論文やレポートを書くときに必要となるテクニカルライティングのスキルや学会発表などで必要となる伝わるプレゼンテーション能力を向上させることができます。

【就職先企業・職種】 半導体産業、エレクトロニクス産業、材料メーカー、化学メーカー

研究内容

“The interface is the device.(界面はデバイスである)”はノーベル物理学賞受賞者であるHerbert Kroemerが言ったとされる言葉です。様々な物質と物質の界面は、新しい機能をもったデバイスとなり得ることを物語っています。また、表面や界面といったバルクとは異なる環境では、バルクの性質に埋もれていた物質の新たな性質が現れることもあります。私たちは、このような表面や界面を舞台として研究を行っています。研究内容としては、界面物質・界面構造・界面電子状態の設計による、新しいメカニズムで動作する機能性デバイスの創出やデバイス動作環境下での電子状態計測手法の開発を行っています。

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図. 有機半導体を流れる電流とイオン液体との相互作用を表した模式図.

■ 機能性有機半導体デバイスの開発

有機半導体とイオン液体を組み合わせることで、メモリ機能を備えたデバイスの開発を行っています。2端子型の素子や3端子型の電界効果トランジスタを用いてメモリ特性を制御する研究を行っています。

■ デバイス動作環境下での有機薄膜の電子状態解明

動作中の有機エレクトロニクスデバイスにおける分子材料の構造や電子状態を評価するために、デバイス動作環境下での測定手法の開発を行っています。一般的な測定では “観る” ことのできない状態を “観る” ことで、有機薄膜の中をどのように電流が流れているのか理解を深めていきたいと考えています。そして、デバイスが動作していない状態と動作している状態における電子の状態がデバイス特性にどのように関わっているのかを明らかにし、デバイス特性の向上や新規デバイスの開発につなげていきます。

主な研究業績

  1. Keitaro Eguchi and Hideyuki Murata, “Evolution of the Ionization energy in Two- and Three-Dimensional Thin Films of Pentacene Grown on Silicon Oxide Surfaces”, The Journal of Physical Chemistry Letters 12, 9407-9412 (2021).
  2. Keitaro Eguchi and Hideyuki Murata, “Electronic States of Pentacene Thin Films at Interfaces with Ionic-Liquid Layers Probed by Photoelectron Yield Spectroscopy”, The Journal of Physical Chemistry C 127, 14940-14948 (2023).
  3. Keitaro Eguchi and Hideyuki Murata, “The ionization energy of α-sexithiophene and p-sexiphenyl in 2D and 3D thin films grown on silicon oxide surfaces”, Physical Chemistry Chemical Physics 26, 8687-8694 (2024).

使用装置

超高真空装置/高真空装置、光電子収量分光装置/逆光電子分光装置/X線光電子分光装置、原子間力顕微鏡、X線回折装置、微小電流計測装置、紫外・可視・近赤外分光装置

研究室の指導方針

 学生の興味に基づいて、研究テーマを一緒に決めます。実験方法を伝授しますので、日々の実験により腕に磨きをかけたり、アレンジしたりして、実験を楽しんでください。研究室内での研究イベントとして、論文紹介と研究報告会が毎月それぞれ1回ずつあり、内容について議論します。研究成果については、学会での発表を行うとともに、論文として学術誌で公表できるように指導を行ってきます。

[研究室HP] URL:https://www.jaist.ac.jp/ms/labs/murata/index.html

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