“探索・学習・予測”のシナジーを実践する
次世代マテリアル設計
谷池研究室 TANIIKE Laboratory
教授:谷池 俊明(TANIIKE Toshiaki)
E-mail:
[研究分野]
ハイスループット実験、マテリアルズインフォマティクス、計算化学
[キーワード]
固体触媒、重合、ナノコンポジット、分離膜、グラフェン、データ科学
研究を始めるのに必要な知識・能力
私たちの研究はユニークであり、様々な専門の研究者が活躍できる非常に学際的なものです。新しい分野に創意工夫を持って挑戦する志を重視し、元々の専門分野を問わず多様な学生を受け入れています。所属学生の専門は、例えば、化学(触媒・高分子・ナノ材料)、化学・機械工学、データ科学、計算科学などです。
この研究で身につく能力
所属学生は、自身の研究やゼミ活動への参画を通して、1)ハイスループット実験、データ科学、計算化学のいずれか、ないしはこれらを組み合わせて用いる先進的な材料科学研究の実践方法、2)与えられた資源の中で成果を最大化するための研究計画能力、3)国際・学際的な環境でチームワークするスキルなどを習得できます。
【就職先企業・職種】 材料、化学、化学工学、マテリアルズインフォマティクスなどに関する研究開発職
研究内容
ハイスループット実験とマテリアルズインフォマティクスによる材料科学研究
気候変動や少子高齢化など、人類社会や我が国が置かれた避けられない課題に鑑み、谷池研究室では、ハイスループット実験、データサイエンス(マテリアルズインフォマティクス)、シミュレーションを基盤とした、イノベーション志向の物質科学を目指しています。かつてない効率で膨大な材料候補を探索し、社会問題の解決を目指しています。
❶ ハイスループット実験
異なる元素や物質を組み合わせることで得られる材料の数は膨大です。マテリアルサイエンスの目標の一つは、特別に優れた組み合わせやうまい組み合わせ方(プロセス)を発見し、より優れた材料を生み出すことです。私たちの研究室では、高度に自動化・並列化された実験装置を駆使するハイスループット実験を行っています。新しい装置やプロトコルの開発を通して実験のスループットを最大化し、浮いた時間を思考や情報収集に当てる研究スタイルを志向します。
➋ データ科学
ハイスループット実験は材料の合成条件、構造、性能を紐づけた材料ビッグデータを生み出します。効率的な材料探索を行うためには、良い材料を選出するだけでなく、材料性能の良し悪しがどのような因子と相関しているかを見極める構造性能相関を明らかにしていく必要があります。多変量解析や機械学習を駆使し、全てのデータから余すことなく学習することで物質探索を飛躍的に加速します。
➌ コンピュータシミュレーション
コンピュータや計算化学の発展によって、現実的な精度でのシミュレーションが可能になってきました。一方で、コンピュータを使った新しい材料の予測(in-silico設計)にはまだまだ距離があります。最も難しい問題は、複雑な材料を代表するような分子モデルを如何に構築するかです。実験も行う当研究室では、実践的な計算化学を標榜し、計算化学の夢であるin-silico材料設計に取り組んでいます。
ハイスループット実験装置の開発やデータサイエンスのプログラミングに加え、以下5つのテーマに注力しています:触媒・ポリマーインフォマティクス、構造性能相関、MOF やグラフェンなどのナノマテリアル、ポリマーナノコンポジット。
主な研究業績
- L. Takahashi, T. Taniike, K. Takahashi et al., Constructing Catalyst Knowledge Networks from Catalysts Big Data in Oxidative Coupling for Methane for Designing Catalysts, Chemical Science 2021, 12, 12546-12555 (press released, selected as Front Cover).
- T.N. Nguyen, K. Takahashi, T. Taniike et al., High-Throughput Experimentation and Catalyst Informatics for Oxidative Coupling of Methane, ACS Catalysis, 2020, 10, 921-932 (press released).
- G. Takasao, Toru Wada, T. Taniike et al., Machine Learning-Aided Structure Determination for TiCl4-Capped MgCl2 Nanoplate of Heterogeneous Ziegler-Natta Catalyst, ACS Catalysis, 2019, 9, 2599-2609.
使用装置
ピペッティングロボット Andrew+
多目的並列反応装置(研究室開発装置)
自動マイクロ波合成装置
触媒スクリーニング装置(研究室開発装置)
光触媒スクリーニング装置(研究室開発装置)
オペランド化学発光分析装置(研究室開発装置)
化学発光イメージング装置(研究室開発装置)
その場中・遠赤外分光光度計
レーザラマン分光光度計
マイクロプレートリーダー
X線回折装置 (オートサンプラー付)
蛍光X線分析装置 (オートサンプラー付)
研究室の指導方針
私たちの研究室にはコアタイムがありません。実験や研究のスループットを最大化し、ワークライフバランスを自身で設計して下さい。豊富なスタッフ陣があなたの研究をサポートします。チームミーティング(数週間に1回)やコロキウム(月に1回)を通して密な議論や指導を行います。また、国内外の学会への参加も積極的に支援しています。
[研究室HP] URL:https://www.jaist.ac.jp/ms/labs/taniike/